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悪者とされる「内臓脂肪」の重要な役割

2022-05-30 10:31:24 | 健康・医療
日本人は内臓脂肪がつきやすい体質とされていますが、私は測ったことがありませんがそれほどなさそうな気がします。

ただし65歳を過ぎたころから、やや下腹がぷっくりしてきたのですがあまり気にしていません。脂肪には大きく分けて内臓脂肪と皮下脂肪があり、内臓脂肪はその名の通り肝臓、膵臓、腎臓などの内臓の周囲に溜まります。

脂肪は単なる脂(あぶら)の固まりではなく、アディポサイトカインと呼ばれるさまざまな物質からなっています。

アディポサイトカインはこれまでに100種類以上確認されており、高血圧や糖尿病、脂質異常症をはじめとする生活習慣病や乳ガン、大腸ガンなどの発生を促すものがあるとされています。

40代の日本人男性と欧州系米国人男性約420人を対象にCTスキャンを実施して内臓脂肪と皮下脂肪の面積を比較した研究があります。

その結果日本人は欧州系米国人より平均で約10センチ腹囲が小さかったのですが、同じ腹囲の人を比較すると日本人男性の方が内臓脂肪が多く、皮下脂肪を1としたときの内臓脂肪の面積は日本人が1.02で欧州系米国人が0.75でした。

実際に同じ体系どうしで比較すると、東アジア人は他の国と比較して高血圧と糖尿病になりやすいことを示す報告が多数あります。こういった内臓脂肪がつきやすいという不利な体質がなぜ受け継がれているかの答えは、内臓脂肪には本来重要な役割があるためのようです。

ヒトは動物と違い体を立てて生活するため、そのままだと臓器が重力で下がってしまいます。内臓脂肪がある程度ついていれば臓器を程よく固定でき、身体に受けた衝撃から臓器を守るのに役立ちます。

この内臓脂肪が東アジア人に付きやすい原因は、筋力の強さとの関係で説明されています。筋肉は白筋と赤筋という性質の異なる二つの成分が混じってできています。白筋が瞬間的に大きな力を発揮して瞬発力を生むのに対して、赤筋はゆっくり長い時間にわたって働くことで持久力をもたらします。

赤筋と白筋の比率はACTNという遺伝子のタイプで決まり、人種による差が大きく、アフリカ系、欧州系、アジア系の順で白筋の割合が高いとされています。内臓を支えるのに役立つ筋肉は腹直筋があり、その両側に位置しているのが内臓を支える腹横筋と腹斜筋となっています。

どちらも主に白筋でできているため、白筋の力が弱い日本人は筋力が弱く内臓を支えることができません。これを補うには内臓脂肪がある程度ついている方が良いといえます。

こういった理由で日本人は人種的に内臓脂肪が多くなる体質となっているようです。当然程度によりますが、内臓脂肪がある程度ついていることは、自然の成り行きといってよいのかもしれません。


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