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血液ガン検査の危うさ

2020-03-24 10:24:37 | 健康・医療
ガン検診には次々と新しい手法が開発され、血液一滴で調べたり、少量の尿で判別する方法が開発されています。

こういった検査をリキッドバイオプシーと呼ばれていますが、内視鏡や胃カメラと違って、非常に簡単に検査できることから早期実用化が図られています。このリキッドバイオプシーについては、このブログでも個別に取り上げていますので、ここでは簡単に説明します。

現在実用化が進んでいるのは血液検査で、13種のガンを判別する方法です。これは血液中のマイクロRNAという、ガン細胞から分泌される小さな核酸を調べるもので、ガンの種類によって組成が変わってくるものを検出するという画期的なものです。

私はこの理論についてはほとんど分かりませんが、高い精度で判定できるものと思っていました。ところがこの実用化を急ぐことはリスクもはらんでいるようです。

新しいガン検査の研究が進むなか、リキッドバイオプシーのきちんとした検査性能を証明できていない段階で、即ビジネスにつなげようという動きが危ういといいます。

最近話題になっている検査技術は、ほとんどがガン患者の血液と、ガンではない人の血液を測る検査との2本立てを合体する方法で開発されています。それだと100%に近い高めの数値が出やすくなります。

例えばマイクロRNA法では、脳腫瘍のある人とない人計580人の血液を調べたところ、特に頻度の高い悪性腫瘍であるグリオーマについて、グリオーマに罹患している人の95%を「陽性」と判別しています。

一方ガンに罹患していない人の97%を「陰性」と判別できたとしています。しかしこれはあくまでも「仮の精度」にすぎず、現実の値はもっと下がるというのが科学者の常識のようです。

それに対し「リアルな精度」とは、数千人から1万人規模の母数の中から数人含まれるであろうガンの人をきちんと見わけ、そうでない人を「ガンではない」と判別できる割合となります。この数字をもって実際に使える検査か否かが判別できるわけです。

そこまで検証するには、5〜10年近い歳月と、途方もない予算が必要です。そこで「仮の精度」を錦の御旗に実用化を急ぎ、精度の低い検査が世に出回ると、精度の低い検査で「異常」だと判定された人が医療機関に殺到することになります。

もし偽陽性であれば、「医者にもわからない」「自分はガンかもしれない」と思いながら、長年検査を受け続けることは、ひどい不安を招きかねません。陽性と出たら追加でどこまでの検査が必要で、どこまで必要としないかのといった「検査後」のエビデンスが必要です。

基礎研究で良い結果が得られても、検査を実用化するまでにはどうしても時間がかかってしまうようです。


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