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「腎臓ガン」の70%に未知の発ガン要因

2024-06-18 10:31:56 | 健康・医療
数年前大学の同級生が、腎臓ガンとなり片側の腎臓を摘出したと言っていました。多分すぐ残った腎臓もガンになると言っており、元気そうでしたが2年前に亡くなってしまいました。

最近国立がん研究センターなどの研究グループが、世界11か国の腎臓ガン患者のガン細胞を全ゲノム解析したところ、日本人患者の7割に特有の遺伝子変異があったと発表しました。

研究グループは、淡明細胞型腎細胞ガンの発症頻度の異なる日本を含む11か国から962症例のサンプルを収集し、全ゲノム解析を行いました。この962症例は日本から36症例、イギリスから115症例、チェコから259症例などとなっています。

これらの症例を対象に、全ゲノム解析データから突然変異を検出して解析し、「変異シグネチャー」と呼ばれる、ガン細胞のゲノムに発生する様々な変異が要因で示されるパターンを抽出しました。

その結果、日本の淡明細胞型腎細胞ガンの72%の症例でSBS12が検出されたものの、他の国では2%程度の症例でしか検出されませんでした。このSBS12について過去の遺伝子解析研究では、日本人の肝細胞ガンで多く検出されていたものです。

研究グループは、これらの結果から日本での腎細胞ガンそして肝細胞ガンでのSBS12を誘発する発ガン物質に接する頻度が高く、他の国では珍しい事であるとしています。

SBS12を誘発する要因は現在のところ不明としていますが、遺伝子変異パターンから、高確率で環境要因の発ガン物質であることが示唆されたとしています。

研究グループは、今回の結果について、今後の研究で原因物質やこの変異パターンによって誘発されるドライバー異常が明らかになれば、日本における淡明細胞型腎細胞ガンの新たな予防法や治療法の開発が期待されるとしています。

腎臓ガンについては、腎臓の細胞がガン化したものが腎臓ガンです。腎実質の細胞がガン化して悪性腫瘍となったものが腎細胞ガンで、腎盂にある細胞がガン化したものが腎盂ガンです。腎細胞ガンは肺に転移しやすく、骨や肝臓、副腎や脳などに転移することもあります。

日本国内の腎臓ガンの患者は、2019年には2万1347人が新たに診断されています。腎臓ガンは初期段階ではほとんど自覚症状が出ないので、早期発見されるケースの多くは健康診断などで偶然発見されます。

腎細胞ガンは抗ガン剤や放射線治療が非常に効きにくく、唯一の治療が手術とインターフェロンしかない時代が長く続きました。

今回の研究が腎細胞ガンの新たな原因の追及につながると共に、そこから新しい治療方法が見つかり、腎細胞ガン患者の予後の改善へとつながることを期待されているようです。


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