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iPS細胞10年の成果と課題

2016-06-19 10:33:09 | 健康・医療
iPS細胞が開発されてから早いものでもう10年が経過したようです。無限に増殖し、体の様々な細胞に変化する性質を生かし、再生医療分野では色々な成果が出てきたような気がします。

確か最初の臨床応用がされたのが、網膜細胞で黄班変性の病気の人に移植した実験で、2014年ですのでもうかなりの結果が出ているようですが、安全性に対する評価項目は達成できたようです。しかしこのiPS細胞の問題点は、やはり膨大なコストがかかるという点かもしれません。

まだ初期研究の段階ですので、お金がかかるのは当然ですが、それにしてもこの患者本人から作製した網膜移植に1年近くかかり、コストも1億円程度とされています。山中さんも患者自身の細胞を使う自家移植は考えていた以上に大変であるというような発言をしているようです。

そこであらかじめ品質を確認したiPS細胞を準備しておき必要な機関に配るというようなプロジェクトも開始されたようです。細胞は多くの日本人に移植しても、拒絶反応が起こりにくい人から提供されたようです。それでもどの程度安価になるのか、課題は多そうです。

現在話題になっているのが心筋細胞のようです。この心筋細胞シートは、顕微鏡で拡大すると全体が連動して拍動しているのが分かるようです。これは当然虚血性心筋症などの、心臓移植を必要とする患者に移植するわけですが、現在は人に使う安全性を確認する最終段階まで来ているようです。

そのほか色々な細胞がすでに準備されているようですが、どうも日本は徹底的な安全性の確認が義務付けられていますので、ある意味進展が遅いような印象を持ちます。こういった再生医療という今までになかった分野については、それに適し安全性など見直す必要がありそうです。

この細胞のもう一つの使い方として、創薬への応用です。私はこの方面にかなり期待しているのですが、人間の細胞として取り出すことができない、脳の組織や神経細胞が作り出せるわけです。これを使えば薬が細胞にどのように作用するかなど、人間の細胞を使って確認できます。こういった手法により軟骨の難病の治療薬の可能性のある物質を見出したようです。

こういったiPS細胞のプロジェクトには、国なども多額の支援をしているようです。これが本当に良い傾向なのかは分かりませんが、こういった分野の研究には多額の資金が必要なことは確かです。再生医療分野は世界的にも競争が激しく、日本が1歩でもリードするためにはこれからどういった方向性を出していくのか注目されるところです。

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