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古くて新しい「結核」

2018-07-23 10:42:15 | 健康・医療
昔は死の病として恐れられた結核も治る病気になりましたが、今でも国内では年間約1万8千人が発症し、2千人近くが亡くなっています。

結核は「結核菌」という細長い細菌による感染症で、2016年に国内で結核を発症した患者数は1万7625人で、3分の2は65歳以上の高齢者が多く、性別では男性が6割を占めています。地域別では大都市やその周辺部で多く、西日本の方が発症率が高い傾向にあります。

戦後の1950年までは年間10万人以上が結核で亡くなりました。私の父も私が2歳の時に結核で亡くなっていますので、ちょうどこのころに当たります。私の父の兄(伯父さん)も小学生のころやはり結核で亡くなり、私の家系は結核になりやすいのかと心配していた記憶があります。

この頃は発症者も年間50万人以上いましたが、結核予防法の改定や治療薬の普及などで発症者は毎年1割ほどのペースで減少しました。しかし1980年代に入ると減り方が鈍くなってきました。結核が流行していた若い時に感染した世代が高齢になり、免疫の低下で発症することなどが影響しているようです。

世界では年間約1千万人が結核を発症し、死者は170万人で、うち95%は低・中所得国となっています。日本の人口10万人当たりの発症者は13.9人で、欧米諸国より多いのが現状です。

最も少ないのがアメリカで2.7人、逆に多いのはフィリピンで322人となっています。2020年までに、世界保健機構(WHO)が「低蔓延国」と分類する10人以下の実現を目指していますが、数年遅れる見通しのようです。

国内患者の8割は肺結核で、結核菌が肺で増殖し炎症を起こします。最初は風邪のような症状で、咳やタン、発熱が長引くのが特徴です。重症化すると血の混じるタンが出たり、血を吐いたりし呼吸困難で亡くなることもあります。

感染した人が必ず発症するわけではなく、発症リスクは1~3割といわれ、それ以外が潜在性結核感染症となります。また発症する場合は2年以内が大半ですが、数十年経って発症する人もいるようです。

治療は、最初に4種類の抗結核薬を、その後減らして2種類を毎日服用するのが一般的です。半年ほどきちんと飲み続けるとほぼ治りますが、勝手に薬を止めたりすると、治療が長引き結核菌が耐性を獲得して薬が効かなくなる恐れがあるようです。

課題として受診の遅れも指摘されています。16年の発症者のうち2割の人が、受診まで2か月以上かかりました。この様に結核は恐ろしい病気ではなくなりましたが、結核菌がいなくなったわけではなく、2週間以上咳や微熱が続く場合は結核を疑ってみる必要がありそうです。

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