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放置すると重症化する「鼠径ヘルニア」のはなし

2021-08-25 10:25:31 | 健康・医療
今では「鼠径ヘルニア」ということをあまり聞きませんが、昔は脱腸といわれかなり多かった気がします。

それでも日本には年間推定13万人の患者がいるようですので、かなり一般的なのかもしれません。鼠径ヘルニアは大腸や小腸、卵巣、膀胱などの臓器が、腹部筋肉の隙間から皮膚の下に飛び出してしまう病気です。

下腹部と太ももの境目にあたる鼠蹊部にふくらみができて見つかる場合が多いようです。三つの筋肉が重なっている鼠蹊部には、筋肉の隙間ができやすくなっています。

重いものを運ぶなどして腹圧がかかったり、加齢で筋肉量が落ちたりすると、隙間から腹膜が出てきて臓器が飛び出してきます。患者の8割以上が男性で、自然に治ることはありません。立ち仕事の多い人やおなかに力を入れることが多い肥満気味の人よく咳をする人が要注意です。

最初のうちはお腹に力を入れると飛び出し、力を抜いた時や指で押すと引っ込みます。仰向けに寝たときも臓器が背中側へ動くので元に戻り、ふくらみがあまり目立たないこともあるようです。

しかし放置していると次第に膨らみが大きくなり、痛みも出てきて日常生活に支障が出てきます。悪化すると飛び出した臓器が周囲の筋肉に締め付けられて元に戻らなくなる「嵌頓(かんとん)」という状態になり、血流が妨げられて組織が壊死してしまうことがあります。

腹部にかなり強い痛みが出て、嘔吐などの症状が現れ、緊急の手術が必要になります。手術は隙間をナイロン製の医療用メッシュでふさぐのが一般的で、最近は腹腔鏡による手術が増えています。

腹部に小さな穴を3カ所開け、そのうちのひとつから腹腔鏡を入れて観察しながら、他の穴から入れた手術器具で腹膜を切り体の内側からふさぎます。開腹手術にくらべて切開する部分が小さく、身体への負担も少ないとされています。

隙間が小さい人や妊娠出産の予定がある人は、メッシュを使わず隙間を縫い合わせて閉じることもあります。ほかに腹膜を切らずにメッシュを入れる方法などもあるようです。

1か月ほど静養すれば運動も可能で、発症前と変わらない生活ができるようになります。ただし確率は低いものの、腹腔鏡手術も回復手術も生殖機能が失われるリスクが伴うとされています。

以上が鼠径ヘルニアの概要ですが、発症初期はほとんど症状がありませんので、若干の違和感程度のようです。前述のように自然治癒することはないようですので、気づいたら早めの受診が必要な病気といえそうです。


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