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ヒト第二のゲノムと呼ばれる「腸内細菌」が健康を支配

2023-02-22 09:27:50 | 健康・医療
「腸内細菌」はお腹の調子を整えてくれるイメージがありますが、最近の研究で腸内細菌が生み出すさまざまな物質が睡眠や筋力、太りやすさに至るまで、想像以上に大きな影響を与えていることが分かってきました。

この腸内細菌は1000種類以上で、100兆個も腸内に生息しているといわれています。腸内細菌に注目する企業も増え、腸内細菌をターゲットにした食品や医薬品、サプリメント、化粧品などの開発も加速しています。

さらに腸内環境を意のままに変えることで、健康維持や体質改善だけでなく、パフォーマンスの向上や人体の機能拡張までできるようになると専門家は予測しています。

慶応大学の研究チームは、腸内細菌が持久力の向上に貢献しているかもしれないと推測し、マウスによる実験を行いある種の細菌を投与されたマウスは、非投与のマウスに比べて倍以上も長く泳ぐことができました。

このカギを握るのがこの腸内細菌が生み出す酢酸やプロピオン酸などの代謝物です。酢酸やプロピオン酸が腸で吸収されると、血管を通って肝臓に運ばれ、肝臓の働きが活性化されてグルコースが作られます。

消費されたグルコースが補われることで、持久力が向上すると考えられます。大腸は呼吸に関わる口や鼻から遠く、消化管の最終経路にあるため人体の中でもまれな極めて酸素が少ない領域になっています。

食事をすると食物繊維など消化しきれないものが腸まで届き、これが腸内細菌のエサになります。エサが豊富なうえ腸内細菌は酸素を好まないものも多いため、酸素が少ない大腸は格好の住みかというわけです。

腸内細菌は腸にやってきたエサを食べてエネルギーに変えています。その際に生み出す「代謝物」が人間のパフォーマンスに影響を与えています。腸内細菌はそれぞれ特徴があり、自分で作れない代謝物を別な細菌に作ってもらいながら、互いに補い合って生きています。

その中のいくつかが人間の役に立っていて、それをうまく利用しています。腸内細菌はヒトに色々なことをもたらし、ヒトは菌のために腸という住みやすい環境を提供しているということになります。

人体に良い影響を与える代謝物を出す腸内細菌が、ここ数年で次々に見つかっています。例えばブラウティアという菌は、日本人の肥満に関与していると発表されています。この菌が少ない人は肥満になりやすいと考えられるようです。

また別な菌は睡眠にいい影響を与えることも分かってきました。治療が難しいとされてきた神経変性疾患や認知機能の低下などに腸内細菌の代謝物が影響している可能性も明らかになっています。

こうしたメカニズムの解明が進めば、色々な治療法の確立につながると期待されているようです。


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