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胃ガンの発症とピロリ菌との関連はあるのか

2023-04-17 10:32:45 | 健康・医療
最近は胃ガンの原因はピロリ菌であり、この除菌をすれば胃ガンは100%制御できるといった記事をよく見かけるようになりました。

こういった胃ガンのピロリ菌説がいつごろから出てきたのか分かりませんが、私はこの説を大いに疑っています。

ガンが「遺伝子変異による細胞の病気」である以上、細菌がヒトの遺伝子を変異させるとは考えにくいことです。昔は胃の中に微生物が生息するとは考えられていませんでした。胃の中は胃酸(主に塩酸です)によって強酸性となっており、細菌などの微生物の生育に適さない環境です。

ところが1970年代胃の中からピロリ菌が発見され大注目を集めました。その後ピロリ菌の研究は盛んになり、なぜ強酸性の胃の中で生育できるのかが突き止められました。

ピロリ菌はウレアーゼという酵素を持っており、胃の中に存在する尿素(ウレア)を分解してアンモニアを発生させ、これにより胃酸を中和し自身の生育を可能にしていることが分かりました。

こうした結果により、ピロリ菌と胃の病気との関連が大規模に調査されたのです。その中に胃ガン患者のピロリ菌保有率を調べる大規模な疫学調査が世界中で何件も実施されました。そのほとんどが胃ガンの患者は、健常な人に比べてピロリ菌の保有者が多いことが判明しました。

この結果を受けWHO(世界保健機構)は1994年にピロリ菌をグループ1の発癌物質と指定しました。つまりピロリ菌はタバコや肝炎ウイルスなどと同様な危険性があると認定したのです。

また2014年には胃ガンの78%がピロリ菌に起因するものであり、ピロリ菌の除菌治療で30〜40%の胃ガン予防効果があると報告しています。どうもこの辺りが胃ガンのピロリ菌原因説の根拠となっているようです。

しかしこれはあくまでも疫学調査の結果であり、どういうメカニズムでピロリ菌が胃ガンを発症させるのかは全く分かっていません。このころからピロリ菌の除菌が推奨され、日本でも多くの人が実施されるようになりました。

このようにピロリ菌の保菌者数は減少していますが、実際の胃ガンの患者数は減っているのでしょうか。国立がん研究センターの統計によれば、ガンの罹患者数は2000年には年間約10万人でしたが、その後徐々に増加しています。

最近はその増加率は減少しやや横ばい風になっていますが、2019年では12万4000人と報告されています。このようにピロリ菌の除菌が進んでいるにもかかわらず、胃ガンの患者数が減少していないという事は、根拠となっている疫学調査の結論がおかしいという事になりそうです。

私はピロリ菌の検査すらやっていませんので除菌の必要があるのかもわかりませんが、ピロリ菌はいわば常在菌であり昔はほとんどの人が持っているものです。それを胃ガンと結びつけるのはやはりおかしいといわざるを得ません。


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