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新型コロナウイルスの基礎知識

2020-04-22 10:30:01 | 自然
世界中で猛威を振るっている新型コロナの記事が多くなっていますが、今回はこのウイルスの基礎知識的なことをまとめてみます。

正式名称はSARS-CoV-2となっていますが、ここでは新型コロナで書いていきます。新型コロナは遺伝情報としてRNAを持つウイルスの仲間です。

分類上はコロナウイルス科のオルソコロナウイルス亜科に属し、さらにその下の分類の属のうちベータコロナウイルス属となっています。ヒトに感染するものとしてはこれまで6種類が知られており、今回が7種類目となっています。

このうち4種類はいわゆる風邪を起こすウイルスで、風邪の10〜15%程度、流行期では35%程度はこのコロナウイルスによるものと言われています。残りの2種がSARSとMARSを引き起こし、それに今回の新型が加わったことになります。

コロナウイルスはすべてウイルス学的にはプラス鎖の一本鎖RNAをゲノムとするウイルスで、大きさは100〜120ナノメートルぐらいの球形で、表面の突起(スパイクタンパク質)が王冠のように見えることからコロナウイルスと名付けられました。

ウイルスの表面はエンベロープと呼ばれる脂質二重膜でできた成分が覆っています。このエンベロープがあるという事は、一般にアルコール消毒や界面活性剤(石鹸など)に弱いという事になります。

新型コロナの設計図であるRNAには、複数のタンパク質となる情報が書き込まれており、サイズは約30kb(塩基が3万つながっている)で、これはRNAウイルスとしては最も大きい部類です。

今回の流行に際して、ゲノム情報は非常に速く解読・解析がなされ、2020年1月にはデータベースサイトに公開されています。スパイクタンパク質はワクチンのターゲットとなり、ウイルス自身の酵素などは抗ウイルス薬のターゲットになります。

現在臨床試験中の薬もこのRNAポリメラーゼをターゲットとしています。新型コロナは表面に突きだしているスパイクタンパク質が、細胞の表面にある受容体に結合することから侵入を開始します。

この受容体は新型コロナの場合には、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)という分子であることが分かっています。これはコロナウイルス全般が認識する受容体のようです。

コロナウイルスの遺伝情報を比較すると、類似度の高いコロナウイルスがコウモリやセンザンコウなどから見つかっています。従って今回の新型コロナの祖先は、コウモリなどの野生動物に感染するコロナウイルスであろうと考えられます。

こういった基礎情報を基に、早く治療薬が開発されることを祈っています。


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