ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

寄生虫アニサキスで「ガン治療」の可能性

2022-07-18 10:30:17 | 健康・医療
現在線虫を使用し一滴の尿でガンの有無を判定するという方法が、すでに実用化され宣伝されています。

この線虫を用いたガンの診断法は九州大学のチームが開発したものですが、こういった寄生虫にはガンを検出するいわば嗅覚が備わっているようです。

サバやアジなどの魚介類に寄生するアニサキスがいますが、これに感染すると痛みなど大変なようです。ところがこのアニサキスもガン細胞を好むようで、この性質を利用してガン治療に役立てようという研究が大阪大学で行われています。

研究グループはアニサキスなどの線虫の表面を暑さ0.01ミリほどの軟らかい膜でコーティングする手法を開発しました。長さ2〜3センチほどのアニサキスに、20分程度でスーツを仕立てるようにコーティングします。

膜はゲル状で軟らかく、コーティングしてもアニサキスは生きたまま匂いも検知し自由に動き回ることができます。

研究グループは、ガン細胞を攻撃する過酸化水素を作り出す酵素をこの膜に組み込み、それをアニサキスにコーティングしてガン細胞を含む培養液に入れたところ、24時間後にはガン細胞を死滅させることができたとしています。

この研究は2年ほど前に開始しましたが、そのきっかけはサバを食べた男性が腹痛を訴え、その男性は胃にアニサキスが食いつき、その周辺にガン細胞が見つかりました。アニサキスはガンの匂いが分かるのではないかという仮説から生まれた研究成果でした。

研究グループは長年動物細胞の表面に新たな機能を持たせる研究を続けてきました。今回ガンの匂いを検知して移動するアニサキスは、ガン細胞を攻撃する物質の「輸送体」として魅力的だと考え表面をコーティングするアイデアに思い至ったようです。

当然ですがこの治療法は胃ガンや大腸ガンなどの消化管ガンにしか適用できませんが、それでも乗り超えるべき課題も多いとしています。

まず体内に入れたアニサキスが不要になった場合にすぐに殺す技術や、アレルギー反応を起こさないなどの技術開発が必要です。またアニサキスの培養法もまだ確立されておらず、アニサキスの確保にも課題が残っています。これは今回の研究でも苦労した点のひとつのようです。

この辺りは前述の九州大学の線虫は克服しており、何らかの参考になるのかもしれません。まだ動物実験すら終了していませんが、この技術が確立できれば「ガンの治療のためににアニサキスを飲む」「ガンがあるかもしれないからアニサキスを飲む」といった新しいガン治療法の道が切り開かれる可能性もあります。

ガン治療のために寄生虫を利用するというのは、面白い発想ではあるのですが、現実的には難しいような気もします。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿