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腸と脳の深い関係

2020-04-05 10:23:55 | 自然
脳と腸が互いの健康状態にかかわっていることが分かり、免疫細胞や神経回路を通して影響を与え合っています。

腸に良いとされる乳酸菌やビフィズス菌を取ることで認知機能が改善されたという報告や、食物繊維を多くとる人たちはうつ病になるリスクが低いといった報告も相次いでいます。

脳と腸の関係でよく知られているのは、ストレスに伴う急な下痢症状や便秘です。腸の働きには自律神経が大きく関わっていて、精神的ストレスにさらされたり激しい運動を行ったりすることで、交感神経が優位になると胃腸の働きは低下します。

そのため胃があれ下痢を引き起こしたり、逆に腸の働きが鈍ることで便秘につながったりします。近年腸の研究が進み、「脳腸相関」を解明する研究が続出しています。

最近は脳やメンタルの状態が腸に影響するだけでなく、どんな腸内細菌が多いかといった腸内細菌叢の質が、うつや自閉症、ストレスの反応などに関係するという報告が増えてきました。これを受けて腸内環境を整え維持することが「脳の健康」に役立つのではないかという期待が高まっています。

2018年の内閣府高齢者白書によると、日本における65歳以上の認知症有病者数は2020年で約600万〜630万人とされています。注目を集めたのが、2019年に国立長寿医療研究センターが発表した、認知症と腸内細菌の関連についての報告です。

同センターのもの忘れ外来を受診した認知症および非認知症の患者127人から便を採取し、腸内細菌を調べたところ、両者には腸内細菌叢に違いがみられたといいます。認知症患者ではバクテロイデスという種類の腸内細菌が少ない人が明らかに多かったようです。

バクテロイデスは日本人の大腸に多い「日和見菌」といわれ、近年この菌が少ないことが肥満や動脈硬化などと関連することを示唆する研究が複数報告されています。

そのほか認知症の半分以上を占めるアルツハイマー型認知症の患者の脳の変異に、大腸菌をはじめとするグラム陰性菌という種類の菌とそれがつくる毒素が関係していそうだとする研究など、バクテロイデス以外の菌による影響を指摘する報告も多くでています。

現在は認知症ならではの腸内細菌叢の特徴が明らかになるまでには至っていませんが、腸内細菌が認知機能に関与する可能性は高いといえそうです。

その他腸内細菌の構成以外に、認知症の腸内では炎症を引き起こす原因になるインドールなどの物質が増えており、腸内環境の乱れが何らかのリスク要因になっているのは確かなようです。

食事で腸内細菌の構成は大きく変わる可能性があるので、どんな食事が認知症予防に効果があるのかが今後の課題としています。このように腸と脳には深い関係があるようで、今後の研究の進展に期待しています。


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