ごっとさんのブログ

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日本国内だけ使われている薬

2019-12-01 10:25:38 | 
海外では効果が十分でなかったり、副作用が認められる薬は保険から外されていますが、日本ではいったん適用されると見直しなどが全くないようです。

2017年フランスではARBという比較的新しい降圧剤の一種であるオルテメックという薬が保険から外されました。

脳卒中や心筋梗塞を減らす効果は示されていない一方で、重度の慢性の下痢をまたラス腸疾患などの副作用が報告され、安全面でほかのARBに劣ると判断されたのです。

オルテメックは、日本で使われている降圧剤の中でもトップクラスに処方数が多く、2016年度では2億4000万錠も処方されています。日本では、効き目が疑わしい薬であっても、害が大きくなければ使い続ける傾向にあります。

ARBのような新しい薬は値段が高く、製薬会社は従来の薬より少しでも良い点を見つけて、「新しい=良い」と誇大に宣伝します。日本では、医者も患者もこの思惑に騙されて、新しい薬ばかりが重宝されているようです。

アメリカには国民皆保険がなく、民間保険であるため高価なのに効果の薄い薬を使用することは保険会社が許さないという仕組みができています。糖尿病治療薬でも、日本で頻繁に処方されている薬が、海外では扱いが異なっています。

新しいDPP-4阻害薬であるジャヌビアは、フランスでは保険適用に制限が付けられています。DPP-4阻害薬は、低血糖のリスクが少ないという評価がある一方で、新しい作用機序のため未知の重大な副作用を懸念する声もあります。

なかでもジャヌビアは、呼吸困難や湿疹、嘔吐をもたらすアナフィラキシー反応や膵炎が報告されています。こういった海外の先進国では使われていない生活習慣病の薬が多数あるようです。

なかにはヨーロッパで医薬品として承認できないと判断されたにもかかわらず、日本で販売が開始され、甚大な被害をもたらしている薬まであります。

今年3月に日本で販売が開始された、骨粗しょう症を治療するイベニティは、5か月間で死亡例が11件も報告されているそうです。イベニティは骨の形成を促進する画期的な薬として世界的に注目を集めていましたが、第3段階の治験で心血管の重篤な副作用が報告されたのです。

そこで欧州医薬品庁は承認を拒否したのですが、日本は世界に先んじてイベニティを承認してしまったのです。この背景として、政府は革新的な医薬品を通常の半分の期間で承認し、諸外国より先に新薬を日本で早期実現させる「先駆け審査指定制度」を創設しました。

環境を整えて日本で創薬ビジネスを盛り上げたいという思惑がありますが、やはりそれなりの危険性もあったようです。

生活習慣病の治療薬は、中年までには必要ですが、高齢者に濫用することも問題のような気がします。


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