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抗ガン剤による抜け毛を減らす治療

2023-08-10 10:36:01 | 健康・医療
私は抗ガン税の研究をしていましたが、ガン細胞が自身の細胞であることからガン細胞と正常細胞を区別することが大きな問題となっていました。

現在使われている抗ガン剤の多くは、ガン細胞が正常細胞より早く分裂・増殖することを利用しています。つまり抗ガン剤は、細胞に作用するわけではなく、分裂するときに作用しそれを妨げることによって細胞を殺すというメカニズムです。

従って分裂が盛んなガン細胞に作用して、正常細胞が分裂する前に体外に排泄するという性質が必要になるわけです。しかし正常細胞でも比較的分裂増殖が活発な細胞があり、その代表的な細胞が「毛母細胞」です。

そのため「脱毛」が抗ガン剤の代表的な副作用となってしまいます。最近乳ガン治療の際に頭皮を冷やして分裂を抑える「頭皮冷却療法」を行う医療機関が増えているようです。

抗ガン剤による副作用のうち、脱毛は女性に強いストレスを与え、不安で抗ガン剤治療をためらう患者いるようです。頭皮冷却療法は頭皮を冷やして血管を収縮させることで、毛母細胞に流れ込む抗ガン剤の量を減らし脱毛を抑えようとするものです。

氷点下の冷却液が中を流れるキャップを患者はかぶり、冷却液は専用装置から送られます。抗ガン剤の点滴を受ける30〜40分前から始め、点滴投与中やその後の90分間を含め、数時間頭皮を冷やします。

2016年から2018年に国内5カ所の医療機関で行われた臨床試験で、頭皮冷却を受けた乳がん患者30人にのうち8人が「脱毛なし」か「脱毛が50%未満でかつら不要」となりました。抗ガン剤治療を終えた後の発毛も、頭皮冷却を受けた患者の方が早いことが分かりました。

頭皮冷却のキャップや装置は2019年3月に英国製、2020年3月に国産が国から承認されています。臨床試験に携わった医師によると「頭皮冷却で脱毛を完全には防げませんが、患者の生活の質を向上させ、ガン治療に前向きになる患者もいる」と説明しています。

残念ながらまだ頭皮冷却療法は医療保険が適用されていませんので、費用は患者の自己負担となっているようです。こういったガン治療の最大の副作用である脱毛を防ぐことができるのであれば、患者にとって大きなメリットとなりますので、さらに実用化を進めてほしい治療法といえます。


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