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臓器移植と脳死判定

2020-10-06 10:28:22 | その他
免許証などの裏には臓器提供の意思表示ができるようになっていますが、どんなプロセスで脳死の判定がなされ、どんなプロセスで臓器移植となるのかはあまり知られていないようです。

日本の法律には死の定義は書かれていません。法律で「こうなったら死亡」と決められているわけではなく、医師が死亡していると判断すれば、死亡していることになります。

死亡診断するための診察にも決められてやり方はありません。医学が発展し、人間は生命活動が営めなくなるような変化が起こっても、蘇生を施して何とかなることも増えてきました。

心臓が止まっても再開させることができるようになり、呼吸が止まっても人工的に呼吸させることができます。1981年に米国大統領委員会報告書と米国統一死亡判定法で、「心肺機能の不可逆的な停止か、脳幹を含む脳機能全体の不可逆的停止の状態になった個人は死んでいる」とされました。

この定義は、日本も含め多くの国でコンセンサスが得られているようです。日本の場合は脳死を除くと、死の三徴(心停止、呼吸停止、瞳孔散大)を確認できた時点をもって死亡と診断していると思われます。

日本では死の定義はあいまいですが、脳死については臓器移植法で詳細に記述されています。脳死は脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止することで、脳死判定は厚生労働省令で定められた方法で行い、十分な知識及び経験を有する二人以上の医師の判断の一致をもってなされるということです。

この医師は臓器を摘出したり、移植手術を行ったりする医師とは別な医師が脳死判定をしなければならないとされています。

さらに脳死判定は、本人に臓器移植をする意思表明があり家族も同意している場合か、本人の臓器移植を拒む意思が確認できないが、家族は臓器の摘出に同意している場合のみ行われます。臓器摘出をしないならば、脳死判定は行わないということです。

脳死と混同されがちな状況にいわゆる植物状態(大脳の機能が損なわれ、意識のない状態ですが脳幹や小脳の機能は残っており、自発呼吸などの生命活動がみられる)がありますが、これは脳死とは異なります。

植物状態であれば人工呼吸なしに生きられるかもしれませんが、脳死は不可能です。脳死はいつ心停止となってもおかしくない状態で、最大限の努力をしてギリギリ生命維持をしている状況といえるようです。

この様に脳死判定は非常に厳密な状態で行われます。心臓が動いているのに臓器を摘出するということには抵抗があるかもしれませんが、それによって病気の人を救うということは意義があると思います。

私は臓器提供ができる年齢を超えてしまいましたが、臓器提供は積極的に進めるべき活動と思っています。


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