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重い水蒸気で天気予報の精度向上

2021-11-22 10:25:08 | 自然
水素には重水素と呼ばれる重い同位元素が存在し、酸素にも同じように重い安定同位元素があります。

水はこの水素と酸素が結合したものですが、ごく微量ですが重水素が入った水や重い酸素が入った水も天然には存在し、これを重い水蒸気と呼んでいます。

重水素でできた水を重水(D2O)と呼んでおり、これは原子力発電の冷却水として使われていますので、少しはなじみのあるものです。

東京大学生産技術研究所の研究グループが、「重い水蒸気」を人工衛星で宇宙から観測し、「データ同化」により天気予報の精度が向上することを実証したと発表しました。

天気予報は毎日聞いていますが、どのような手法により出しているのか、またどうやって宇宙からの観測で重い水蒸気がどんな形で出るのか分かりませんので、全体を理解できていないのですが簡単に紹介します。

天然に存在する重水素(2H、D)の比率が0.016%で重酸素(O18)が0.2%程度といわれていますので、水の中に重水素や重酸素が含まれる確率は非常に少ないのですが、この重い水蒸気が宇宙からの観測で判別できるという方がすごい技術のような気がします。

この水の同位体を研究することにより、地球上に遍在する水の起源や移動の把握、地球の水の循環の様相の解明が可能となり、将来の気象変動予測、台風、豪雨などの気象予報や災害の予測につながるとしています。

現在までに水循環の研究では、地球上にどこにどれくらい雨が降って、どれくらい蒸発しどれくらい川に流れているかについてはある程度分かっています。しかし温暖化や寒冷化によって水循環がどのように変わるかは、まだ未知の部分が多いとのことです。

蒸発という現象でも、水面からの蒸発や土壌からの蒸発に加えて植物からの蒸散があったり、川に流れるにしても地表面を流れるのか、地中を流れるのかというような割合が分かっていません。このような水循環の詳細を知ることの助けになるのが「水の同位体」の研究のようです。

研究グループは欧州の衛星の分光センサIASI(赤外線大気探測干渉計)のデータを使って、データ同化を行ったところ、実際に気象に関連する数値の解析精度が向上していることが実証されました。

実際にIASIのデータが手に入り、理論的な実証が始まったのが2017年ごろで、実証に成功したのが2019年としています。

研究グループは、水の同位体だけでなく、さまざまな観測情報を用いて高精度なシミュレーションを行うことで、日々の天気だけでなく、洪水、高波、渇水などの自然災害も事前に精度よく予測できるような未来を想定しています。

具体的なことはよくわかりませんが、こういった手法でこれから多くなりそうな洪水などの事前予測に繋げてほしいものです。