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肥満となる食欲制御タンパク質を発見

2021-11-12 10:25:09 | 健康・医療
日本人には海外ほど肥満の人はいないようですが、肥満は多くの病気をもたらすとして治療する必要があるとされています。

沖縄科学技術大学院大学の研究グループが、脳や食欲や代謝を制御するのに重要な役割をするタンパク質を発見したと発表しました。この大学は最近興味深い研究を発表しており、注目していました。

世界中で6億5000万人以上の成人が肥満とみられ、肥満は循環器病や2型糖尿病など多くの病気と関連しています。肥満は食物の摂取量とエネルギー消費の不均衡により起こりますが、脳がどのように食欲や代謝を制御しているかについてはほとんど解明されていません。

研究グループは、mRNA分解の最終段階を制御し、遺伝子活性に重要な役割をしている「XRN1」というタンパク質に着目しました。

研究グループは前脳の一部でXRN1を欠損したマウスを作製して実験しました。その結果脳内にXRN1がないマウスは生後6週間で急速に体重が増え始め、生後12週までに肥満になりました。マウスの体内の脂肪組織や肝臓などに脂肪が蓄積していることを確認できました。

欠損マウスは対照群の正常マウスと比べ、1日あたりの摂取量が約2倍に増加していました。このXRN1欠損マウスの過食の原因を調べるため、食欲を抑えるホルモンである「レプチン」の血中濃度を測定したところ、欠損マウスは正常マウスと比べて高い値となっていました。

レプチン量が正常であればマウスは食欲を感じなくなるはずで、欠損マウスはレプチン量が多くなっても効果が表れず、食欲が抑制されないレプチン抵抗性があることが判明しました。

このほかXRN1欠損マウスは、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの値がレプチンの上昇とともに著しく高くなることも確認できました。欠損マウスはレプチンに反応しないため摂食行動を続けて血糖値が上がり、その結果インスリン値も上がったとみています。

エネルギー消費量の低下と肥満の関係を調べるため、マウスを酸素消費量が測定できる特殊なケージに入れて実験しました。その結果6週齢のマウスはエネルギー消費量に差はありませんでした。

しかし正常マウスは夜間に炭水化物を燃焼し、日中に脂肪を燃焼するという切り替えができていましたが、欠損マウスは昼夜を問わず脂肪を消費できず、炭水化物をエネルギー源としていたことが分かりました。

このようにXRN1タンパク質を活性化したり、レプチン抵抗性がどのように生じるかを解明すれば、肥満に対する分子レベルの標的療法につながる可能性があるとしています。

しかし脳内タンパク質の活性化などは、まだまだ乗り越える壁が高そうな気がします。