ごっとさんのブログ

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カビが原因の夏型過敏性肺炎

2020-10-13 10:25:17 | 健康・医療
夏になると風邪のような症状が出て咳を繰り返すのは、エアコンなどのカビが原因で起こる「夏型過敏性肺炎」かもしれません。

そもそも日本の住宅は、如何に夏に対処するかを中心に作られてきました。日本古来の茅葺屋根の住まいを見ると、遮熱効果のある屋根と気化熱冷却効果で、夏の蒸し暑さや湿気を防ぎ、かつ室温を下げる風通しの良い構造になっています。

また風通しを良くすることは、家に使われている木材をカビや木材を腐らせる「腐朽菌」から防ぐための知恵でもありました。しかし当然冬は寒い家となっていたのです。

この構造に大きな変化が現れたのは、1970年代のオイルショックと称された経済混乱が起き、日本は省エネ社会の実現に向けて取り組みを始めました。この時代に断熱が重視され、日本の住宅にもグラスウールなどの断熱材が使われるようになります。

これらの断熱材によって開口部の高断熱化・気密化が進み、省エネかつ断熱性能が向上した冬暖かい家が作られるようになってきました。しかし高気密・高断熱住宅が一般的に普及した一方で、従来では考えられなかった問題が発生するようになりました。

トラブルのひとつが、換気不足による結露の発生です。昔の日本の家は隙間風が多かったので、何もしなくても室内の空気はすぐ入れ替わっていました。

しかし現在の日本家屋は高気密化して空気の入れ替わりが悪くなると、室内で発生した水蒸気や人の呼吸で発生する水蒸気の行き場をなくし、家の中に湿気が溜まりやすくなります。室内に少しでも温度差ができれば、その部分に結露が発生しやすくなってしまったのです。

カビは結露によって生じる濡れてジメジメした場所が大好きです。風通しが悪くて湿度が高い場所は、カビの格好の繁殖場所となります。エアコンで冷房や除湿運転をしていると、エアコンの内部や冷風が当たる壁面などは湿気だらけで濡れた状態となり、結露しやすくなります。

エアコンの内部にカビが繁殖すると、部屋中にカビの胞子が飛び散る原因になってしまいます。カビは一般的には無害なのですが、体調によっては健康にも多大な影響を及ぼします。多いのがカビの胞子がアレルギーの原因となる、喘息やアレルギー性鼻炎です。

カビが目に見える状態で室内に存在するということは、周囲に相当な量のカビが飛んでいて、健康には非常に良くない状態です。普通の家なら、ハウスダスト(ホコリ)1グラム当たり数十万個の胞子が存在しており、多い家になると1億個を超えることがあるようです。

夏型過敏性肺炎は、病院でも単なる夏風邪だと誤診されやすいのですが、原因はカビの一種であるトリコスポロンです。

これを防ぐ方法は現代の家の構造ではかなり難しいようですが、コロナ対策も含めて換気を十分に行う程度しかないような気がします。