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ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

「脳の疲れに甘いもの」説は正しいか?

2018-11-29 10:11:27 | グルメ
仕事のし過ぎで疲れた頭には「甘いもの」が効くという、昔からよく知られた食生活の知恵といえますが、本当に甘いものを摂取することは脳の疲労回復に効果的なのでしょうか。

脳のエネルギー源はグルコース(糖質)のみだから、毎食しっかり炭水化物を取ろうという話があります。どうもこの常識が変わってきているという説が出てきました。

もちろん脳のエネルギー源は糖質が主で、糖以外の栄養素は、脳の血液脳関門(BBB、脳にとって有害な物質が脳内に侵入するのを防ぐ機構)を通過しないので、脳のエネルギー源としては利用できません。そのため脳をきちんと働かせるためには、糖質がいちばん大事だと考えられてきました。

人類の長い進化の歴史の中では、飢餓という危機と隣り合わせの時代がとても長く続いていました。そこでヒトの細胞は、この危機を乗り越えるため、糖質が少ない状態でも脂質やタンパク質のもとであるアミノ酸を燃焼させてエネルギーを生産する仕組みを獲得しました。

体内で糖質が枯渇した状態になると、肝臓を構成する肝細胞の中で脂肪酸が燃焼され「ケトン体」という物質ができます。このケトン体は、細胞膜や血液脳関門を通過し、ミトコンドリアで代謝されることで、脳や多くの臓器のエネルギー源になるのです。

しかし即座にエネルギーの供給を受けることができれば、脳は疲労を忘れ元気づくことができます。疲れた脳は早く疲労から逃れたいがゆえに、炭水化物や砂糖など糖質が豊富なものを欲しがるのです。

ただここに大きな落とし穴があるそうです。糖質を過剰に摂取すれば、肥満や糖尿病のリスクが高まります。肥満になれば体内の活性酸素量が爆発的に増えてしまいます。ですから脳がいくら炭水化物や砂糖を欲しがっても、食べ過ぎてはいけないのです。

ここ20~30年の私たちの食生活を見ていると、脳がいち早く満足するような糖質たっぷりの食べ物ばかり口にしているように思えます。しかしそれは脳内の活性酸素量をいたずらに増やし、脳細胞の老化を引き起こす原因になります。

長期的な目で見れば、脳の疲労回復に甘いものを食べることは、むしろ脳を疲れやすくしていると言えるようです。その他この記事では糖の摂取が認知症を引き起こす可能性などに触れていますが、結局脳が疲れたときに糖を取らずに何をすればよいかは触れられていません。

つまり糖の過剰摂取の危険性を脳にからめて述べているだけのようです。私の結論としては、脳が疲れたときに糖分を要求するのであれば、適切な量の糖分を取ることが効果的であるとなるような気がしています。

毒の見分け困難な「雑種フグ」急増

2018-10-22 10:21:53 | グルメ
涼しくなってくるとフグの美味しい季節と感じますが、近年有毒部位が不明な「雑種フグ」が増えているようです。

温暖化で生息域が変わったことによる異種交配が要因と見られ、漁業地域も変化しています。種類不明のフグは市場や調理者が排除していますが、見た目が従来種と酷似したものも見つかっています。

フグを選別する調理者の資格基準は自治体で異なっており、鍋シーズンを迎える中関係者からは食中毒などの懸念の声が上がっています。

水産大学が2012~14年に茨城、福島、岩手の3県の太平洋沖で漁獲された種類不明のフグ252匹のDNA型を調べたところ、半数以上の149匹が雑種と判明しました。主に太平洋に生育するショウサイフグと、日本海に多いゴマフグが掛け合わされたものでした。

余談ですが、このフグ毒であるテトロドトキシンは美しい構造を持っていると感じています。分子量が300程度の小さな化合物で、基本は糖類の骨格ですが、それにアミジンという構造と、珍しいオルソエステルという構造を持っています。

これを美しいと感じるのは有機化学者だけなのですが、天然有機化合物の神秘さを感じるような構造となっています。こんなものをどうやって作り出すか全くわからず、卒業後3年ぐらいの天然有機化合物討論会という学会で、名古屋大学の岸義人先生がこの全合成を発表されたときに非常に興奮した記憶があります。

さてこのフグの雑種が増加している原因は、温暖化の影響で海水温が上昇してゴマフグが北上し、太平洋側に入り込んだためと推測されています。雑種は見た目がショウサイフグとほとんど変わらないものもいるようです。

この2種はトラフグ属で、日本海西部や瀬戸内海などで獲れる最高級品のトラフグほど一般的ではありませんが、いずれもフグ料理店で出されることがあり、インターネット通販でも調理品が売られています。

フグは種類によって有毒部位が異なるため、厚生労働省は自治体向けの通知で、食べられる部位を種類別に限定しています。種類不明のフグは有毒部位も不明なため、厳重に選別排除し消費者の口に入らない様市場関係者らに求めています。

雑種フグ急増の要因とみられる生息域の変化は、漁獲量にも表れており、近年では北海道の漁獲量が増加し、全国の1割近くを占めるようになってきたようです。

このように雑種フグをいかに排除するかが問題となっているようですが、私が行く比較的安いフグ料理店などはすべて養殖フグと思われますので、雑種フグが混入することは全くなく、安心して食べられそうです。

ビールの美味しい季節になってきました

2018-05-15 10:44:03 | グルメ
春から夏に向かいビールの美味しい季節になってきました。私は夕食時など季節を問わずほぼ毎日ビールを飲んでいますので、季節には関係ないような気もします。

ビールにも様々ありますが、私はどちらかと言えば軽めのビール、海外産ではバドワイザーのようなすっきりしたものが好みです。このあたりはあえて言えば程度ですので、それほどこだわっているわけではありません。

ただしビールの味が変わるのは確かで、もうずいぶん昔ですが私の勤務していた会社が、フランスの輸入ビールの販売をしていました。一般には販売せず業務用のやや高級ビールだったのですが、これの売れ残り(賞味期限内ではあったのですが)を社員に非常に安く販売していました。

これを何回か買ったことがあるのですが、かなりまずい印象でした。ところが銀座かどこかのクラブに行ったときこのビールが出て、なんだこれかと思って飲んだら非常においしかった記憶があります。

ただビールなどは飲む環境によって味が変わることは多く、沖縄で飲むオリオンビールはおいしいのですが、お土産に買って帰るとまずいビールになるというのがその典型かもしれません。

私はあくまで好きで嗜好品として飲んでいるので、健康などは考えていませんが、適量であれば健康にメリットがあるという記事がありました。

まずビールにはかなり栄養があるようで、飲み物というよりは液体の食べ物であるという形容がふさわしいようです。確かに飲み会などではビールばかり飲むと食べられなくなるので、それなりに栄養があるのかもしれません。

ビールにはワインよりも多くのビタミンBとタンパク質が多く含まれ、その他リン、葉酸、ナイアシン、抗酸化物質が含まれているようです。また「ビール腹」のイメージに反し、適量のビール飲酒習慣を持つ人は肥満が少ないことが指摘されています。

デンマークの研究では、週に1杯以上6杯未満のビール飲酒習慣のある人は、全く飲まない者より肥満リスクが21%低下することが報告されています。アメリカの心臓協会の2016年の研究では、8万人の健康データを6年間追跡した結果、適度な飲酒習慣が循環器系疾病リスクを下げることを報告しています。

特にビールの飲酒習慣を持つ人は心臓疾患での致死率が42%も低下することを示しています。ビールは牛乳よりも骨に良いようで、2013年のアメリカオーランドの研究では、ビールの飲酒習慣を持つ男性は骨密度が高いことが示されています。

これはビールに多く含まれるシリコンが骨の形成に好影響を及ぼしているのではないかと説明されています。その他知的能力を高める、歯に良い、炎症を抑える、長寿につながる等が上がっていました。

こういったことがあるとこれからよりおいしくビールが飲めるような気がします。

「パスタ」を食べても太らない?

2018-04-23 10:41:50 | グルメ
イタリア料理のパスタはダイエットの大敵などと言われてきましたが、パスタを食べても太らないという論文が話題になっているようです。

私もパスタは好きで、特にナポリタンなどを時々食べていますが(冷凍食です)、あまり太るかどうかなど気にしたことはありません。パスタはヂュラコムギによって作られるようですが、意外にGI値が低い食べ物のようです。

GI値というのはグリセミック・インデックスといい、ブドウ糖を100の基準にしたときの食事後の血糖値の上がりやすさを示す指標です。例えばヂュラコムギの全粒粉パスタを塩を入れた湯で10分ボイルした後のGI値は58で、白米のGI値78に比べかなり低い値が出ています。

GI値が低いと血糖値が上がりにくく、インスリンによる血糖値の調整と糖の吸収バランスが取れるようになります。逆にGI値が高いと食事中に急に血糖値が上がるため、インスリンも過剰に分泌され、糖をため込んで太りやすくなるとされています。

冒頭の論文は、カナダのトロント大学などの研究グループによるものですが、食事によってパスタを含む低GI値グループ(オートミール、豆類など)と高GI値グループ(白パン、ベイクドポテトなど)に分けて比較した過去の32論文を検証しています。

この結果をもとに分析してみると、低GI値の食事をとったグループの方が高GI値の食事をとったグループよりも体重が減り(-0.63kg)、BMI値も減少した(-0.26)ことが分かったと報告しています。

ただし32論文の中でパスタを含む低GI値の食事グループで体重が増加した研究論文は9つあり、体重とBMI値、内臓脂肪などの評価では、低GI値グループのほうが良好とはいえなかったようです。また低GI値グループがパスタばかり食べていたわけではなく、いくつかの低GI値の食物を選択して食べてもらったという研究論文を比較したことになります。

いずれにしても、パスタが白米や白パンに比べて血糖値をあげにくい低GI値炭水化物ということは間違いなく、適量のパスタを食べたからといって必ずしも体重が増えるわけではないようです。

糖質制限ダイエットの弊害も取りざたされていますが、炭水化物を含む必須栄養素をバランスよく取ることが重要でしょう。パスタを含む地中海食を使って児童で行われたスペインの研究では、肥満気味の児童の11.3%がこうした食事によって減量に成功したという事例もあるようです。

結局パスタは成分なども多様で加工法もいろいろありますが、総じてGI値が低いことは共通しており、食物繊維も豊富なので満腹感も得やすく、消化吸収が穏やかではらもちが良いため、エネルギーの総摂取量を減らすのには効果的なようです。どんなものでも適量を食べるということが重要なのかもしれません。

コーヒーは健康に良いのか悪いのか

2018-04-20 10:47:12 | グルメ
私はわりとコーヒーが好きで、1日2杯程度飲んでいます。その他にも缶コーヒー(コーヒー飲料とはいいがたいのですが)も独特の味が好きで1日1缶程度は飲むことが多いようです。

このコーヒーが健康に良いのか悪いのか、という議論がアメリカの裁判をきっかけに様々な意見が飛び交っているようです。発端は今月初めにアメリカカルフォルニア州の裁判所が、「コーヒーの販売業者は発ガンリスクに関する警告を表示しなければならない」という判断を下しました。

アメリカの教育研究団体CERTが起こした、コーヒーショップは発ガン性が指摘される化学物質のアクリルアミドについて、消費者に明確かつ合理的な警告を表示してこなかったという訴えに対する裁判です。関連企業の一部は、すでに警告表示を行うことに合意しているようです。

このアクリルアミドについては、国際ガン研究機関も「ヒトに対しておそらく発ガン性がある物質(グループ2A)」と分類しています。食品中のアクリルアミドについてはこのブログでも取り上げ、別に気にするほどのもではないだろうという記事を書きました。それでも気にする人は多いようです。

一方コーヒーに様々な健康効果があることも報告されています。コーヒー推進派は、コーヒーには約1000種類もの化学物質が含まれており、アクリルアミドはその一つにすぎず、それだけを取り上げてコーヒーは身体によくないというのは間違っており、あくまでもトータルで考えるべきと言っています。

確かに最近の研究報告では、コーヒーのメリットが多いような気もします。2017年の研究では、1日3~4杯コーヒーを飲む人は、飲まない人と比較して動脈硬化の病気で死亡するリスクが20%近く低下し、ガンになる人も20%弱少なくなり、総死亡のリスクも17%低下すると報告されています。

また国立がん研究センターの調査では、コーヒーをほとんど飲まない人に比べ、毎日飲む人は肝臓がんの発生率が約半分になり、毎日5杯以上飲む人は約4分の1に抑えられることが分かっています。

コーヒーに含まれているカフェイン、クロロゲン酸、ニコチン酸類(ビタミンB)、NMPといった物質が、こうしたさまざまな健康効果に主体的に作用していると考えられ、世界中で研究されています。またカフェインの過剰摂取は血圧の上昇や不整脈の原因になることも指摘されています。

こういった多くの研究報告がありますが、基本はコーヒーが嗜好品であるということではないでしょうか。好きだから少々健康に問題があっても飲むし、健康に良ければなおよい程度の問題のような気がします。私はどんな報告が出ても今のスタイルは変わらないと思っています。