HAYASHI-NO-KO

北岳と甲斐駒ヶ岳

2005.10-1

2004-12-15 | 過去ログ

十月。九月に幾つかの懐かしい出会いがあった。
夏の陽射しの下で、遠いとおい日に机を並べた高校三年生たちが、
四十年以上経って、還暦同窓会。
舞子ビラから見晴るかす明石海峡には「夢の架け橋」が現に架かっている。
顔を合わせた人たちは、屈託無く昔語りをはじめ、時に顔を赤らめた。
それぞれの四十年を持ち寄って、また同じ場所で別れた。
懐かしさだけでは無かったし、「花」に関わる幾つかの話も登場したから、
私の記録もこれから先に続きそうだ。
萩が咲き、彼岸花が咲き、やがて木々の葉も色づき始めるのだろう。
楽しみな花の後の果実も幾つもある。
撮り溜めた花たちは、今年もまた次の年への準備を始めている。


アキカラマツ 秋唐松
この花も、長い間咲き続けている。
名前に秋が冠せられているのだけれど、白金台では真夏だった。

アキグミ
グミ科 グミ属 Elaeagnus umbellata Thunb.
春に花が咲き、秋に稔るから秋茱萸。
サンシュユ(山茱萸)の果実も、同じ頃に赤く熟している。
明石公園、東の丸には何故か一本だけグミの樹があった。
幼馴染を訪ねた帰りは、必ず北向地蔵から公園を抜けて帰るのだけど、
そこにグミがあることを知ったのは、つい最近の事だ。
あの独特の葉裏の白を見せていなければ、そのまま通り過ぎていただろう。
懐かしい果実は、もうすっかり鳥たちに啄ばまれていた。
アキグミを最初に見つけたのは、明石ではなかったけれど、
何故だか遠いとおい子供の頃に繋がる、懐かしい味を思い出して摘んでみた。
やはり茱萸…だったから、安心した。

アキノノゲシ 秋の野芥子
キク科アキノノゲシ属 Lactuca indica var. laciniata
ハルノノゲシのイメージを持っていると驚かされる。
咲き始めはさほどでもないのだけれど、この花の背丈は一メートル五十センチ以上はあった。
花色は、ハルノノゲシよりも淡い黄色。
雑草然としているし、これだけの大きさになると逞しささえ感じてしまう。

アザミ
キバナコスモスはすっかり刈り取られて、
お陰で随分スッキリとした景観に戻った場所では、大きな棘を持ったこの薊。
 長い間咲いている。
周りはすっかり刈り取られても、その棘で身を守っているのだろうか。

アメリカハナグルマ
キク科 Wedelia trilobata A.S.Hitch
「ハナグルマ」、ガーベラにそんな名前が…。
そう思ったけど、この花には「アメリカ」が付いていた。
キクの仲間だから、似たようなものだ。

オオバショウマ
キンポウゲ科 Cimicifuga acerina
浄智寺の石段は、遠めにも磨り減っているのが解る。
朝陽に照らし出されていたその階段を、先客が一人辿っている。
その石段の、ちょうど中ほどにこの花は咲いていた。
そこから、三門には向わずに左する小道が分れ、その茂みにはもっと多くの大葉升麻が…。
残念ながら殆ど咲き終わって、花頂部分に辛うじて花が残っていた程度だった。

カカオ
初めて見ると、不思議な花の付き方に驚く。
突然、ゴツゴツとした不恰好な幹のあちこちに、
小さな花柄が伸びてきて、それが開く。
花は地味だし、気をつけていないと見過ごす程度に小さい。
花を追って行くと、同じ場所にもう果実が付いていたりする。
だけど、カカオの果実なんて普段はお目にかかるものではないから、
これだって見過ごしてしまうだろう。
だから、ロッテ・ガーナチョコレートの写真が要るんだ。

カカオ
「これ、花ですか??」「カカオ、チョコレートの???」「木から直接出て……、そのまま実が出来てる?」
幾つ??が続いたろうか。
「あっ、ロッテ・ガーナチョコレートだ」
そう言って、説明写真にあった製品の写真をご覧になってやっと安心されたようだ。

カキ 柿
自転車を走らせていると、最初の目的地に辿り着くまでに
どれだけの時間が掛かるのか、自分でもわからなくなる。
今日もそうだった。
だから、今日も寄り道の方が愉快だったから、存分に境内を歩いた。
去年秋、ハム次郎さん、エクボさんと三人で紅葉とコスモスを撮った場所に、
今年もそろそろ色付き始めた紅葉と公孫樹。
そんな記憶を、もう一年も経ったのか…と思う時と、
まだまだ一年なんだ…と思う場合、
不思議なもので花たちは、そんな人の感傷などはお構い無しに、
花を咲かせ、果実を稔らせ、さして葉を色付かせている。
足元に、薄いピンクのソメツルソバが咲きそろっていた。
エクボさんが、長身屈めて撮ってたなぁ~。

カリガネソウ
六甲山で見たのが、お盆の頃。二ヶ月経って、小石川植物園で見た。
綺麗に伸びた蘂は、見た目には愉快な被写体だけど
いざ撮ってみると、微妙に揺れていたり、花弁にピントが合っていると、
蘂はボケていたり…。
それでも、この花が細い枝に咲きそろっている図は優しい。

クサボタン、それだけを目的に出かけたけれど、カリガネソウが咲いていた。 六甲山で見たのは八月、お盆の時期だったからもうかれこれ二ヶ月。
確かに、場所の違いもあるだろうけれど…。
撮りにくい花だ。
飛び出して弧を描いた蘂は、どうしてもボケてしまう。

カワラノギク 河原野菊
ひょんなことから、熊坂さんにお願いして見せていただいた花。
今年三月に相模原に移られたから、頭の中には無かったけれど、
そのルーツを記載した説明板とともに、今年は去年以上に育ったものを見せていただけた。
確かに稀少品種はこうして手厚い保護の下でしか見れなくなっているのだろうけれど、
できれば元々住んでいた場所で、仲間たちと咲いている姿に戻される事を祈りたい。

カントウヨメナ
「あぁきの ゆぅうひぃに てぇるぅやまぁもみぃいじぃ~」 そんな声が聞こえた。
「何を写してらっしゃるのですか??」「あぁ、のぎく。」「とぉおい やまからぁ ふぅいぃてぇくぅるぅ~」と続いた。
静かなしずかな、新林の朝だった。

キイジョウロウホトトギス 紀伊上臈杜鵑
ユリ科 ホトトギス属 Tricyrtis macranthopsis Masamune.
環境庁のレッドデータブックで絶滅危急種に指定、そんな記事を新宿で見た。
だから、植物園では手厚く保護された環境で栽培されているのだと説明される。
山野草は、狭い日本のどこかしこで同じ境遇に居る。
そっとそのままにしておくことの大切さを唱える一方、
自生地が無くなってゆく環境を作った人たちの手で、無残にもその場所から持ち出されて…。
やがて、その危急種は「危急種」故に、繁殖・栽培された形で園芸店に並ぶ。
だから、何処までが自生種で、何処からが栽培種なのかの議論は果てしない。

キツネノマゴ
一ヶ月ほど前には、白い彼岸花が咲いていた、土手の斜面。
今日は、ツリガネニンジンの花茎が二本立っている。
その土手の一番したには、びっしりと朝霧に濡れたキツネノマゴ。
花が小さいから、水滴に埋もれているものもいる。

キバナアキギリ
学名 Salvia nipponica は、日本のサルビア。
アキノタムラソウは、Salvia japonica、 いずれも「日本のサルビア」だから、代表選手。
こんなに可愛いのにシソ科?、そう質問されたから、そうです、と答えた。
シソ科、シソの葉や花穂は刺身のツマ、 先入観は良くないし差別も良くない。

キンエノコロ
池はかなり濁っているし、藻が繁殖していて汚れている。
それでも、ザリガニ釣に興じている親子連れの歓声は、終日響いている場所。
その池の周囲にちょっとした広場がある。
そこに、キンエノコロが一面に生えていることに気付いたのは昨日の午後だった。
余りの見事さに、思わず女房殿に電話したほどだ。
残念ながら、わずか十分程度のことだったから、
到着したときは既に、太陽が山の端に隠れてしまった後だった。
だから今日午後、そのシーンの再現を期待して出かけた。
期待通りの輝きだった。

キンモクセイ
誰もが知っているのだろうけれど、花を撮ってもあの匂いを表現できない。
金木犀が咲いている、とは言わないで、
金木犀が匂っている…、そう言うほうが適語表現に思える。

ギンモクセイ
金木犀という木の名前を知ったのは、高校時代。
今でも当時の記憶が時に鮮明になるこの花の香りだが、
銀木犀は、明石公園東の丸にあった、仲良し広場で見たきり。
だから、同じようにもう四十年経っている。
木場公園にあるよ、そう教えてもらって訪れた日、同じ場所で薄黄木犀の花が咲いているのを見つけた。
今年の秋は、ホトトギスを少し寂しい思いで見つけたり、
金木犀の香りを、甘酸っぱい記憶と共にかいでいる。

クサボタン
キンポウゲ科 Clematis stans
葉がボタンに似ていて、草だから、クサボタン。
たいていは、そんな説明が付けられている。
けれど良く見ると茎はたいてい木質化してる。
だからと言って、木じゃないけどね。
その茎頂や葉腋から柄を出して、薄青紫の花をびっしり付けている。
キンポウゲの仲間、クレマチス。
だから、花弁に見えるのはガク。
センニンソウと同じように果実はヒゲセンニン様になる。
最盛期を過ぎていたケレド、まだまだ蕾も、カールし始めたばかりのも、蘂が伸びきってるのも…。
果実が出来始めていたから、少し時間を置いてまた来ないといけないなぁ~。

一部が、既に果実を稔らせていた。
これが、センニンソウの如く髭を伸ばし始めるのだ。

クジャクソウ 孔雀草
英勝寺のヒガンバナは、通常なら鎌倉駅に近い側にある三門を通って、鐘楼のある方から入るのだろう。
そこには、見事なヒガンバナ。
そして同じ時期、ジンジャーが芳しい香りを漂わせる。
しかし、現在もなお再建されていないため、境内へは少し北に歩いた場所から入る。
だから、ヒガンバナの咲いている場所は直ぐには見えない。
反対に、このクジャクアスターが、前衛のように観光客を迎える。

ケナフ
どうしてここに??、そんな場所だった。
バラ園から紅葉トンネル抜けて第二神明の取り付け道路を渡った場所には、名残のコスモス。
遠目にもはっきりと、十月桜が見渡せた。
その中心部分に背丈は三メートル以上にも育っていただろう、ケナフが薄黄色の花を一杯付けて突っ立っていた。

ゲンノショウコ 現の証拠
同じ場所ではミコシグサへの変身も見つけたけれど、
まだまだ赤花は元気に、寄り添うように二つの花を付けている。
右下に花びらを落としているのは、ナルトサワギク。
こちらは、ほぼ通年咲いているように思う。

良かった。 木場と同じくらいに、秋祭り。

昨日からの雨が、今朝も降っていたから今日は弾けるのは無理だなぁ、
少しでも気温が上がってくれたら良かったのに。
それでも、明日か、明後日には弾ける予定だね。
手前はもう三、四日後かな??
花が一緒に咲いてるけど、こちらは一週間くらい後だ。

赤花の御輿草。
そろそろ秋祭りの季節になって、ゲンノショウコもミコシグサに変身し始めた。
下に写っている葉は、ゲンノショウコのものではなく、タマザキクサフジの葉。
これも、密かに期待していた被写体。
大木戸門を入って、休憩所の南にあった「取って置きの場所」に咲いていた赤花ゲンノシヨウコに、
幾つかのミコシクザを見つけてたから、のんびりと二つの秋の実を撮ってから、温室前に着いた。
去年秋、種村さんに教わった場所には同じように種を弾き飛ばした姿が残っていた。

何度撮っても飽きない。
だから、何度も撮っている。
木場には、白花よりも赤花の方が多いから、御輿も少し小振りだ。
弾け方も、少し違うのかな??

まだまだ、花も咲いている。
咲き終わった直後の果実もあるし、種を弾き飛ばしたミコシグサもある。
ちいさなちいさなプランターだけど、近寄って見ていると不思議な世界に見える。

 (2005.10)
画像下のコメントは原文のまま、撮影順にはなっていない。
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