電気通信事業者協会が１１日発表した２０１１年１２月末の携帯電話・ＰＨＳ契約数によると、新規契約から解約を差し引いた純増数はＮＴＴドコモが４２万９９００件と１０年３月以来、２１カ月ぶりに首位となった。
ネット対戦が楽しめるソニー・コンピュータエンタテインメント（ＳＣＥ）の新型ゲーム機「プレイステーション（ＰＳ）ヴィータ」向けにプリペイド方式の携帯電話回線を提供。約１９万件を確保したことが純増数を押し上げた。
●「非携帯」の割合増加
前月まで２０カ月連続首位のソフトバンクは、３７万７３００件で２位。米アップルのスマートフォン「ｉＰｈｏｎｅ４Ｓ」が好調を持続、通信機能付きのデジタルフオトフレーム「フォトビジョン」なども契約者の増加に寄与している。
今回ドコモが首位に立ったことは、携帯電話各社の新規契約の獲得競争で「非携帯」の占める割合が増えていることを反映したと言える。
ゲーム機やフォトフレームだけでなく、今後は設備や機器に無線通信機能を持たせ、遠隔制御や監視に役立てる機器間通信（Ｍ２Ｍ）が普及する見通しで各社の契約数拡大の攻防を左右する要因となりそう。
ただ、ドコモはＰＳヴィータ向けに２０時間までで９８０円という料金を設定。ソフトバンクもデジタルフォトフレームの通信料金を月額４９０円にしている。
スマホとは一契約当たりの収入が大きく異なり、純増数だけでは各社の収益の伸びを判断するのは難しくなっている。
一方、携帯事業者を変更しても同じ電話番号が使える「番号持ち運び制度（ＭＮＰ）」の１２月末の利用件数は、ＫＤＤＩが５万５４００件、ソフトバンクが３万９０００件とともに転入超過だった。
逆にドコモは９万４４００件の転出超過で、ＫＤＤＩとソフトバンクに利用者を奪われた格好。ＫＤＤＩは、ＭＮＰでは３カ月連続の首位を維持した。
●通年首位はソフトバンク
１１年通年の純増数は、ソフトバンクがｉＰｈｏｎｅの好調などを背景に３４３万５４００件と４年連続で首位を維持。２位はドコモで２４１万４４００件、３位はＫＤＤＩで１７７万５００件だった。
【記事引用】 「日経産業新聞／２０１２年１月１２日（木）／３面」
