NECカシオモバイルコミュニケーションズはアジア市場に再参入する。4月からタイに防水機能付きのスマートフォンを投入。
3年後にタイのスマートフォン市場で約5%に相当する50万台の販売を目指す。インドネシアやマレーシアの市場への参入も模索する。NECカシオは国内シェアがシャープなどに及ばず、米アップルなどにも押されている。
新興市場の需要を開拓して巻き返す。
●現地代理店と提携
投入するのは、厚さが約8mmの「メディアス」。米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載しており、現地仕様に文字入力などを改良した。
タイでは約1千店の販売網を持つ代理店のSiSディストリビューション社と提携し、同社の販売網を活用して拡販する。タイでは洪水などを背景に防水機能の需要が高まっているという。
NECカシオは、携帯電話事業の不振を背景にNEC埼玉(埼玉県神川町)でのスマートフォンの自社生産を取りやめ、アジアのメーカーとの開発協力・生産委託に転換する方針を打ち出した。
新興国向けに9月末をメドに製造原価を3-4割削減する。タイ市場は第3世代携帯電話が2011年に始まり、スマートフォンヘの移行が加速している。タイのスマートフォン市場は、14年に11年比で2倍の1千万台に拡大する見通し。
NECカシオは、NECとカシオ計算機、日立製作所の携帯電話事業が統合して10年に設立した。
海外市場では、北米の通信事業者ベライゾン向けに「Gショック」の技術を使った強度の高いスマホを供給している。ベライゾン向けは旧カシオ分の事業を引き継いでおり、12年3月期は約150万台とNECカシオ全体の出荷量(約500万台)の3割を振り向ける。
●6年ぶり再参入
NECは1994年から中国で携帯電話を販売していたが、過剰在庫などを抱えて2006年に撤退した。NECカシオとして、アジア市場に6年ぶりに再参入する。
携帯電話端末メーカーは日本の携帯電話市場が独自仕様となっていたこともあり、海外進出が遅れた。スマートフォンの登場でOSが共通化し、スマートフォン市湯が世界的に拡大していることも受けて海外進出を急いでいる。
シャープは、08年に進出した中国で年間約100万台の携帯電話を販売している。
【記事引用】 「日本経済新聞/2012年2月21日(火)/11面」