世界最大の携帯電話見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)2012」が27日、スペイン・バルセロナで開幕した。
シェアを伸ばす韓国、中国勢が動画性能や保存容量を高めたパソコン並みの性能を持つスマートフォンを相次ぎ発表。富士通など日本勢も世界仕様モデルを公表し巻き返しを狙う。
情報機器の主役となったスマートフォン市場で高機能競争が加速しそう。
●主力製品を出展
メーカー各社が今春から初夏にかけて世界市場で投入する主力製品を出展した。
目玉の1つが「クアッドコア」と呼ばれる4つの半導体をまとめた次世代CPUを搭載したスマートフォン。立体表示ゲームや動画の表現力が高まる。
韓国・LG電子のほか中国・華為技術、富士通も同CPUを採用した機種を発表した。
米アップルとスマートフォンメーカー首位を争う韓国のサムスン電子はプロジェクター内蔵のスマートフォンを発表。台湾のHTCは連続撮影が可能な高性能カメラ搭載の機種を紹介。1万枚の写真が保存できるなど各社ともパソコン並みの性能を打ち出す。
携帯電話の世界シェアが3割を下回り、2割強のサムスンに追い上げられたフィンランドのノキアはマイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズフォン」を搭載した5機種を出展、挽回を狙う。
日本勢では、ソニーが人気機種の「エクスペリア」に3機種を追加。テレビとのコンテンツ連携機能などを盛り込んだ。
●世界仕様モデルで巻き返し
ソニーを除き3%程度の世界シェアにとどまる日本勢も巻き返しへ相次ぎ世界仕様モデルを投入する。パナソニックモバイルコミュニケーションズは5型画面を持つスマホを欧州で販売する計画。
NECカシオモバイルコミュニケーションズは画面を2つ搭載した機種で北米や新興国市場の開拓を狙う。MWCに米アップルは参加せず、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」の搭載機種が主な展示となった。
米調査会社のガートナーによると、世界のスマートフォン出荷に占めるアンドロイドのシェアは11年に46%と首位に立った。
同日、グーグルのアンデイ・ルービン上級副社長はアンドロイド搭載スマートフォン販売台数が1日あたり85万台に達したことを明らかにした。
ただ、タブレット端末ではアップルの「iPad」が世界シェアの6割以上を握っている。ルービン氏は「この分野でも勝者になる」と強調。同分野でのアンドロイド普及に向け、新たなサービス開発や機能拡充を急ぐ方針。
【記事引用】 「日本経済新聞/2012年2月28日(火)/9面」