スマートフォンなど携帯情報端末を巡る訴訟が増えている。米アップルは韓国のサムスン電子を特許権侵害で提訴し、世界の主要スマートフォンメーカーとの対立が鮮明になった。
携帯情報端末は新製品の発売で市場が急拡大している。相次ぐ訴訟は、陣取り合戦の厳しさを示している。
●サムスンは反訴計画
アップルは15日、サムスンのスマートフォン「ギャラクシーS」やタブレット端末「ギャラクシータブ」などが自社の特許を侵害しているとして、米カリフォルニア州の裁判所に提訴した。
これに対しサムスンは19日、「取引先(アップル)が当社に先に特許訴訟を提起してきたので、やむをえず反訴していく計画だ」とのコメントを発表。
その上で、「競争力強化のため核心技術の開発及び主要特許を確保するための努力を持続している」と強調した。
スマートフォンを巡る訴訟は2010年から増加している。アップルはノキアや台湾HTCなどとも訴訟を抱え、米マイクロソフトと米モトローラ(現モトローラ・モビリティー)も相互に訴えている。
スマートフォン市場ではまずアップルが先行。サムスンなど米グーグルから基本ソフト(OS)「アンドロイド」の供給を受けるメーカーが追い上げている。
そこに、2月に提携を決めたマイクロソフト(MS)・ノキア陣営が挑む構図になっている。
●アンドロイド躍進
米調査会社のガートナーによると、10年のスマートフォンの世界販売台数は前年比72%増の2億9664万台に急拡大。OS別シェアでみると、アンドロイドが一気に20ポイント近く伸ばして5位以下から2位に浮上した。
一方、ノキアなどが採用してきたシンビアンは10ポイント近く落とし、同社はマイクロソフトからのOS調達を決めた。
【記事引用】 「日本経済新聞/2011年4月20日(水)/9面」