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KDDI、秋冬携帯電話の新機種に新高速通信を搭載 新技術導入で新規顧客獲得へ

2010-11-08 |  KDDI



 KDDI(au)は11月から順次発売を始めた携帯電話やスマートフォンの新機種に、新しい高速データ通信規格「WIN HIGH SPEED」を搭載する。

 動画など大容量コンテンツのダウンロード速度を従来に比べ最大3倍に引き上げる技術で、利用者は動画添付メールなどもストレスなく楽しめるようになる。


●3車線の高速道に

 「WIN HIGH SPEED」は、KDDIが2006年から導入している高速通信規格「EV-DO Rev・A」の拡張技術にあたる。最大3本の電波(キャリア)を同時に使ってデータを送受信する技術「EVDOマルチキャリア」が特徴。

 一般向けには、WIN HIGH SPEEDのブランド名でサービスを開始した。基地局は複数の電波を送受信し、携帯端末はそのうち1本の電波を使ってデータを送受信している。

 ただ、利用者は常にデータを送受信しているわけではない。例えば、ある利用者が動画をダウンロードした後、別の利用者が接続してデータ受信するまでには空き時間ができる。

 モバイルネットワーク開発本部の技術陣は「この空き時間を有効活用できないか」(au技術企画部の川島優子主任)と考え、08年から開発を進めてきた。

 基地局が2-3本の電波を同時に利用してデータ送信できるようにシステムを変更。近くの電波が空いていればそこを埋める形で詰めて送信し、受信時間を短縮した。

 受信時の速度は最大毎秒9.2M(Mは100万)ビット、送信時で5.5Mビットと従来比3倍に高速化。川島主任は「1車線の高速道が3車線になった」と説明する。

 基地局のシステム変更と対応lCチップ搭載で済み、従来の高速化技術に比べて投資負担が少ないことも利点。

 1月上旬に千葉・幕張で開かれたIT・電機技術展示会「シーテック」の来場者386人にKDDIがアンケートしたところ、88%が「速いと感じた」と回答したという。


●競争条件の不利をカバー

 KDDIが「WIN HIGH SPEED」導入に踏み切った背景には、広い周波数帯域を利用する次世代規格「LTE」(受信時最大70Mビット以上)の導入時期が、NTTドコモに遅れる事情がある。

 NTTドコモは、LTEを今年12月下旬にまずパソコン向けデータ通信カードに導入し、携帯電話では11年度の導入を目指している。

 一方のKDDIは導入が12年末になる予定で、競争条件の不利を少しでもカバーしておきたい考え。

 モバイルアクセス技術部の古畑和弘課長はNTTドコモが現在導入している高速通信サービス「FOMAハイスピード」(受信で最大7.2Mビット)と比べても「WIN HIGHは速度で優位」と強調する。

 まず搭載するのは、5日に発売したデザイン携帯「iida」ブランドの「X-RAY」や今後発売する韓国パンテック製「シリウスα IS06」、東芝製「レグザフォンIS04」などのスマートフォンなど7機種から。

 KDDIは音楽配信「LISMO!」で映像配信を拡充しているほか、11年度には新機種の半数をスマートフォンにする計画を打ち出している。

 スマートフォンの普及によって携帯電話網のデータ通信量は加速度的に増えており、新技術の導入を新規顧客の獲得に生かす狙い。

  


【記事引用】 「日経産業新聞/2010年11月8日(月)/5面」


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