携帯電話業界ブログ

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SIMロック解除、来年4月から 義務化は留保、顧客への普及は不透明

2010-05-30 | 市場動向/日本



 総務省は26日、1台の携帯電話端末で複数の通信会社を自由に乗り換えられる「SIMロックの解除」を2011年4月に導入する方針を公表した。

 通信会社への義務化は見送り、自主的な取り組みを各社に促す。


●解除は通信会社次第

 SIMロックが解除されると、携帯電話番号などの加入者情報を記録したICカード「SIMカード」を差し替えることで通信会社を乗り換えられる。

 例えば、ソフトバンクモバイルの利用者が同じ端末を使い続けながらNTTドコモのサービスを使えるようになる。

 だが導入には多くの課題を残す。まず携帯各社で通信方式や使用する周波数が違うため、当面はNTTドコモとソフトバンクモバイルなど一部の組み合わせに限られる。

 通信方式や使用周波数が対応する場合も、「iモード」など携帯各社が独自に提供するサービスは使えない。それまで利用していたコンテンツの多くも著作権などの問題で引き継げない。

 このため、総務省が26日公表したガイドライン案では「当分の間、法制化の検討は留保」とした。

 11年4月以降に発売する端末のうち、「対応可能なものからSIMロック解除を実施する」としており、実際にどの程度の対応端末を提供するかは通信会社次第となる。


●問われる経産省の手腕

 NTTドコモは、「顧客が望むのであれば解除に応じていきたい」(山田隆持社長)。ソフトバンクモバイルも、「2割よりもっと多くの端末を用意したい」(孫正義社長)とするが、顧客が実際に利用するかどうかは別。

 ある通信コンサルタントは、「実際に利用するのは3年後でも数十万人いるかどうか」と指摘する。

 SIMロック解除のニーズが高そうなのは、携帯各社の独自サービスに対応しないスマートフォン。だが、義務化でなければ米アップルの「iPhone」などの人気端末は解除の対象にならない可能性が高い。

 さらにソフトバンクの孫社長は、「同じ機種でもロックのない端末はあるものに比べて4万円ほど端末代が高くなる。そうなると8割くらいの顧客はやはり安い方を選ぶと思う」と指摘する。

 KDDI(au)の立場も難しい。SIMロック端末を提供するにはドコモやソフトバンクの通信方式にも対応しなければならず、端末価格が高くなる。今後、総務省の手腕が問われる。





【記事引用】 「日経産業新聞/2010年5月27日(木)/3面」


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