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NECカシオ、12年度に世界出荷1200万台へ 国内テコ入れ、他社のパイ奪取

2010-05-30 |  NECカシオ



 NECカシオモバイルコミュニケーションズは25日、携帯電話端末の世界出荷台数を2012年度までに09年度比1.6倍の1200万台に引き上げる中期目標を発表した。

 焦点は海外展開で、北米、欧州、インドなど新興国へ広げていく。NECは06年に海外市場から撤退しているだけに、海外再進出でその教訓を生かせるかどうかがカギとなる。

 旧カシオ日立モバイルコミユニケーションズが築いた北米市場での足場を生かすとともに、国内市場もテコ入れし、トップのシャープに挑む。


●統合効果で開発負担低下

 「12年に1200万台。うち400万台は海外で稼ぐ」。NECカシオモバイルの山崎耕司社長は携帯電話夏モデルのお披露目の席でこう発表した。

 同社は5月1日に発足、6月1日付でNECの携帯電話部門とカシオ日立モバイルを統合する。

 09年度のシェアトップは、シャープの26.2%。NECとカシオ日立を単純合算すると14.6%となり、パナソニック(15.1%)や富士通(15.0%)と並ぶ2位グループとなる。

 だが、ここ数年の国内携帯端末出荷の低迷ぶりは山崎社長の強気の読みとは逆。NECカシオの合算は08年度には800万台程度だったが、09年度には720万台程度まで落ち込んだ。

 国内全体の出荷もピークだった07年度の5200万台から数年で急落。10年度は3100万台まで落ち込む見通し。

 携帯加入者の伸びが鈍っているのに加えて、NTTドコモなど通信会社が販売奨励金を削減し店頭価格が跳ね上がった「07年ショック」の後遺症から立ち直っていない。

 そんな中で、NECカシオはいち早く業界再編に踏み切った。狙いの1つは国内市場の攻略。統合効果で開発負担を下げ、「品ぞろえを増やして他社のパイを奪う」(山崎社長)。

 統合によってNECカシオは、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社に端末を供給できるようになる。開発費削減効果は出荷台数が少ないカシオ側の端末で特に効果が表れ始めているという。


●海外端末納入を拡大

 もう1つは海外市場。カシオが米携帯電話2強の一角であるベライゾン・ワイヤレスで築いた販路を拡大し、もう一方のAT&Tに横展開すること。

 シャープは、スマートフォンの基本ソフト(OS)を手掛ける米マイクロソフトと組んで欧米市場に参入したが、NECカシオは国内と同様に通信会社とのつながりをベースに端末の納入を拡大する戦略。

 ユニークな技術を地域や使い方に応じてマッチングさせるのが基本戦略で、カシオが持つ防水、防塵、高耐久性の技術のほか、NECのクラウドコンピューティングサービスを生かして、特長ある製品開発を目指す。

 NECは02年に中国市場に進出したものの、出荷拡大を急ぐあまり、在庫が膨らみ過ぎ、06年に撤退した。NEC出身の山崎社長は当時の中国担当者。

 教訓をもとに堅実な海外展開を企てるが、自ら掲げたハードルは高そう。





【記事引用】 「日経産業新聞/2010年5月26日(水)/3面」
       「日刊工業新聞/2010年5月26日(水)/3面」


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