スマートフォンの旧機種の値崩れが進んでいる。
利用者の伸びは続いているが、14日に新機種が発売される米アップル「iPhone」など一部機種に人気が集中し、優勝劣敗が鮮明となりつつある。
安売り拡大は値引き原資を負担する通信各社の収益圧迫につながるほか、国内外の端末メーカー問の競争にも影響を及ぼしそう。
●値下がり目立つ
都内各地の家電量販店などでは10月上旬、NTTドコモの「MEDIAS N-04C」(3月発売)を4980円(新規契約・一括払い)などで販売。この2カ月で約8割下がった。
約20の販売店がひしめくJR秋葉原駅周辺では「EVO WiMAX」(au)など一部機種で「0円」表示も登場。関西圏でも大阪・日本橋などで値下がりが目立つ。
調査会社のMM総研によると、携帯電話契約数に占めるスマートフォンの割合は2010年度末の1割弱から11年度末には2割強に伸びる見通し。
通信各社は、米グーグルの基本ソフト「アンドロイド」搭載機種を中心に50モデル以上を発売した。ブランドカやデザインに特徴のある新機種に人気は移りがち。
このため、旧機種の処分売りや在庫調整が年末商戦向けの新端末投入を控えて広がっている面もある。
14日にソフトバンクモバイルとKDDIが発売する人気機種「iPhone4S」で容量16Gバイトの機種は事実上0円で購入できることも、他機種の安売りに拍車をかけている。
販売店は通信各社からの手数料を値引き原資とするが、競争激化で「利益を削り、台数をかせぐ消耗戦になる」(大手販売代理店幹部)との声もある。
●海外勢が有利
新機種発売後、現行モデルは一段と値下がりするとみられる。値下がりで国内携帯電話メーカーも通信会社から納入価格の引き下げを迫られそう。
日本市場中心の端末はグローバル展開する海外メーカーに比べてコスト削減の余力が限られ、「値下げを求められると海外勢が有利」(国内メーカー)との声もある。
消費者も、新製品を待って様子見を決め込んでいる。調査会社のBCNによると、スマートフォンの販売台数は7、8月は前年同月比約3倍だったが9月は約2倍にとどまった。
【記事引用】 「日本経済新聞/2011年10月12日(水)/1面」