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従来型携帯電話市場、スマートフォン普及で急速に縮小 国内携帯電話メーカー、迫られる難しい対応 

2011-11-17 | 市場動向/日本



 スマートフォンの普及拡大に押され、従来型携帯電話の市場が急速に縮小している。

 調査会社のMM総研によると、スマートフォンの2011年度通期の国内出荷台数は2330万台と総出荷台数の56%に達する見通し。

 しかし、従来型は今後も一定の需要が見込まれているため、その取り扱いを巡って国内メーカーも難しい対応を迫られている。


●商品構成を再編成

 NTTドコモは、冬春商戦に向けた新機種から端末の商品構成を再編成した。

 スマートフォンは商品の拡充に合わせて分類を2つに分ける一方、従来型携帯電話は5つの分類を2つに縮小。従来型は色やデザインなどを重視した「スタイル」と、中高年向けの「らくらくホン」シリーズに絞った。

 機種数も1年前の半分以下となる8種に減ったが、個々の端末機能は充実している。高機能カメラの搭載や防水対応は当たり前。様々な機能を盛り込んだ「全部入り」が増え、シンプルなデザインから女子中高生向けまで取り揃えた。

 ドコモが従来型に依然として力を入れる背景には、一定の需要を見込めるため。

 米グーグルのスマートフォンの場合には使用前にアカウントを取得しなければならず、「高齢者など一部の利用者には難しい面がある。スマートフォン一色は時期尚早とみている」(丸山誠治プロダクト部長)という。

 ドコモが来年3月に終了する第2世代携帯電話(2G)の受け皿としても従来型は重要な位置付けとなる。2G利用者は新機種に飛び付かない保守的な利用者層。2G終了で乗り換え先となる端末は必然的に従来型が中心となる。

 対照的なのがソフトバンクモバイル。孫正義社長は1年以上前から、端末メーカー各社に対して「もうスマートフォン以外は(提案を)持ってくるな」と叱り飛ばし、同社の周辺幹部が慌てて諭した経緯がある。

 「従来型も1、2機種は継続するが、基本はスマートフォンにシフトしていく」(孫社長)方針。今回の冬春商戦向けでも新機種は色数が豊富な定番機種1種だけとした。

 KDDI(au)も年末にかけて3機種を販売するが、企業向けを除いた個人向けでは従来型は実質2機種。春商戦向けは未発表だが、1年前に16機種あったのに比べて大幅な縮小となりそう。


●難しいかじ取り

 従来型携帯電話は、スマートフォンの登場以前から伸び悩んでいた面がある。

 携帯端末向け地上デジタル放送の「ワンセグ」や電子決済の「おサイフケータイ」などが浸透。デジカメの高機能化や液晶画面の3D対応なども進んだが、近年は目玉機能に乏しく各社が買い替えの促進に苦労していた。

 一方、スマートフォンはパソコンと同様、アプリを取り込みながら機能を拡張できる使い方を提案。携帯各社もパケット定額制への加入で契約当たり月間平均収入(ARPU)の底上げを期待できることから販促費を積み増し始めた。

 スマートフォンの方が従来型より安いため、よく分からず買い替える消費者も多いという。スマートフォン出荷台数は15年度に3056万台まで拡大し、総出荷台数の74%を占める見通し。

 難しいかじ取りを迫られているのが国内端末メーカー。

 従来型も高齢者や未就学児、女性向けなど特定の利用者を狙った端末が広がりを見せているが、かつてのような量産効果は期待できない。

 肝心のスマートフォン市場では各社が軒並み出遅れ、国内メーカーの出荷台数シェアは11年4-9月期で計4割強と苦しんでいる。

 パソコンと同様に汎用OSを使うスマートフォンの浸透で、海外メーカーは日本市場に進出しやすくなった。米アップルの「iPhone」のようにワンセグやおサイフケータイといった日本固有機能に対応していなくても売れる機種は多い。

 10年度の携帯電話国内出荷台数に占める国内勢のシェアは約75%。海外勢のシェア拡大を食い止め、自らの海外展開を強化するために残された時間は少ない。




【記事引用】 「日本経済新聞/2011年11月17日(木)/4面」


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