ある方からの依頼により、家を建てる場合の知識について書いてみたいと思います。
長くなるので、数回に分けてのアップになります。
一戸建ての家を建てる場合に考慮すべき点:
目次:
1.構法
2.設計(基礎、間取り、プランニング)
3.使用材料
4.住宅設備
5.施工管理、性能保証
1. 構法(住宅の場合には、工法ではなくて構法という語句を使うことが多い)
1.1 RCか木造か鉄骨か?
家を建てる場合にまず考えるべきこととして、RC(鉄筋コンクリート)にするのかそれ以外にするのか?という判断がある。
RCの場合、その頑丈さや耐用年数の長さなどのメリットがあるが、価格が高い、構造に関連したリフォームが難しい等の問題点もある。
他方、RCよりも日本において一般的なのは木造家屋であろう。ただし、一言で木造といっても非常に多くの構法がある。
・木造
-木造軸組
-ツーバイフォー
-木質パネル
・鉄骨造
-軽量鉄骨軸組
-重量鉄骨
なお鉄骨の場合、外壁に木造と同様のサイディングやモルタルを使う場合と、ALCのようなコンクリート系パネルを利用するものがある。
1.2 各構法の特徴など
(1)木造軸組(在来構法)
日本で普通に木造家屋を建てる場合、最も標準的な構法。町の工務店に頼む場合にはほぼ自動的にこの構法となる。特徴は、設計の自由度が高く、開口部を大きく取れることなどが挙げられる。欠点は、構造的に横方向からの力に弱いこと。最近は耐震性のアップを目的として軸組接合部を金具で補強する場合がほとんど。また、軸組特有のほぞやみぞの正確な加工には熟練を要するため、職人による出来、不出来の差が大きい。そのため最近は工場でプレカットした材料を使用するケースも増えている。
地場の工務店以外にも、大手では住友林業が軸組構法を利用している。また、積水ハウスでも軸組モデルをラインナップしている。
(2)ツーバイフォー(2×4;正式な日本名称は「木造枠組壁構法」)
米国で標準的な木造住宅の構法。名前の由来は、2インチ×4インチの柱(スタッド)を使うため。必要に応じて2×4のスタッドを束ねて柱に利用したりする。
木造軸組との大きな違いは、軸組が「柱」を基本にした家(わりばしで家の模型を作るのを想像して欲しい)であるのに対して、ツーバイフォーの場合には合板にスタッドを打ち付けたパネルを組み合わせることにより家の構造を形作る「板」を基本にした家であること。そのため、横方向からの力にも強く、耐震性も高い。また、合板にスタッドを釘で打ちつけるだけなので、職人の技量にあまり左右されない。
なお、欠点としては大きな開口部が取りにくいことが挙げられるが、現代の住宅に多いような洋風のプランニングではあまり問題とはならない。
(3)木質パネル
構造的にはツーバイフォーに近いが、断熱材等も組み込んだパネルを工場で製造し、現場ではあまり加工を行わずに組み立てる構法。ミサワホームやエスバイエルが採用。
(4)軽量鉄骨軸組
大手住宅メーカーで最も多い構法。構造的には木造軸組に似ているが、木の柱をH型鋼で置き換えた構造となっている。H型鋼の接合はボルト止めがほとんど。間取り等も木造軸組みと同じものが可能。大和ハウス、積水ハウス、ナショナル住宅等のメイン商品。
(5)重量鉄骨
軽量鉄骨よりも太いH型鋼を利用し、接合は溶接により行う。構造的には軽量鉄骨より強いが、柱が太いため家の中に柱の取り合いによるデッドスペースが多くなる。また価格も高い。積水ハウスやナショナル住宅、大和ハウス等で、主に3階建て用モデルとして用意している。
(6)その他
外壁にALC(Autoclaved Light-weight Concrete;工場で製造した気泡入りコンクリートパネル)を利用する旭化成のへーベルハウスなどもあるが、これは構造的には軽量鉄骨作り。また、積水ハイムのユニット構造住宅も、軽量鉄骨や木質パネル構法で作った住宅ユニットを工場で製造し、現地で組み立てるもの。
1.3 どの構法が良いか?
はっきり言って、これは個人の好みによるとしか言えない。どの構法であっても特に問題になるような根本的な欠点はないため。
ただし、構法毎に向き、不向きはある。たとえば、木造軸組構法では住宅の気密を取るのが難しいため、気密性能は一般にツーバイフォーより低い。
はっきり言ってしまえば、住宅の構法はどれを選んでも特に問題にはならず、それよりも家を建てる職人のレベルの方が家の出来に大きく影響すると言える。
1.4 その他(地盤調査)
住宅を建てる際に必ずやっておきたい調査。ただし、住宅の建て替え等で地盤の状況をよく分かっている場合には必要ないかも。
地盤調査を怠ると、不当沈下等によるトラブルを招く場合があるため重要。最近は、スウェーデン式サンディング法などの簡単で効果的な手法があるため、小金を惜しまずに実施するべき。
参考URL
http://www.jiban.co.jp/oseshusama/tisiki02.htm
長くなるので、数回に分けてのアップになります。
一戸建ての家を建てる場合に考慮すべき点:
目次:
1.構法
2.設計(基礎、間取り、プランニング)
3.使用材料
4.住宅設備
5.施工管理、性能保証
1. 構法(住宅の場合には、工法ではなくて構法という語句を使うことが多い)
1.1 RCか木造か鉄骨か?
家を建てる場合にまず考えるべきこととして、RC(鉄筋コンクリート)にするのかそれ以外にするのか?という判断がある。
RCの場合、その頑丈さや耐用年数の長さなどのメリットがあるが、価格が高い、構造に関連したリフォームが難しい等の問題点もある。
他方、RCよりも日本において一般的なのは木造家屋であろう。ただし、一言で木造といっても非常に多くの構法がある。
・木造
-木造軸組
-ツーバイフォー
-木質パネル
・鉄骨造
-軽量鉄骨軸組
-重量鉄骨
なお鉄骨の場合、外壁に木造と同様のサイディングやモルタルを使う場合と、ALCのようなコンクリート系パネルを利用するものがある。
1.2 各構法の特徴など
(1)木造軸組(在来構法)
日本で普通に木造家屋を建てる場合、最も標準的な構法。町の工務店に頼む場合にはほぼ自動的にこの構法となる。特徴は、設計の自由度が高く、開口部を大きく取れることなどが挙げられる。欠点は、構造的に横方向からの力に弱いこと。最近は耐震性のアップを目的として軸組接合部を金具で補強する場合がほとんど。また、軸組特有のほぞやみぞの正確な加工には熟練を要するため、職人による出来、不出来の差が大きい。そのため最近は工場でプレカットした材料を使用するケースも増えている。
地場の工務店以外にも、大手では住友林業が軸組構法を利用している。また、積水ハウスでも軸組モデルをラインナップしている。
(2)ツーバイフォー(2×4;正式な日本名称は「木造枠組壁構法」)
米国で標準的な木造住宅の構法。名前の由来は、2インチ×4インチの柱(スタッド)を使うため。必要に応じて2×4のスタッドを束ねて柱に利用したりする。
木造軸組との大きな違いは、軸組が「柱」を基本にした家(わりばしで家の模型を作るのを想像して欲しい)であるのに対して、ツーバイフォーの場合には合板にスタッドを打ち付けたパネルを組み合わせることにより家の構造を形作る「板」を基本にした家であること。そのため、横方向からの力にも強く、耐震性も高い。また、合板にスタッドを釘で打ちつけるだけなので、職人の技量にあまり左右されない。
なお、欠点としては大きな開口部が取りにくいことが挙げられるが、現代の住宅に多いような洋風のプランニングではあまり問題とはならない。
(3)木質パネル
構造的にはツーバイフォーに近いが、断熱材等も組み込んだパネルを工場で製造し、現場ではあまり加工を行わずに組み立てる構法。ミサワホームやエスバイエルが採用。
(4)軽量鉄骨軸組
大手住宅メーカーで最も多い構法。構造的には木造軸組に似ているが、木の柱をH型鋼で置き換えた構造となっている。H型鋼の接合はボルト止めがほとんど。間取り等も木造軸組みと同じものが可能。大和ハウス、積水ハウス、ナショナル住宅等のメイン商品。
(5)重量鉄骨
軽量鉄骨よりも太いH型鋼を利用し、接合は溶接により行う。構造的には軽量鉄骨より強いが、柱が太いため家の中に柱の取り合いによるデッドスペースが多くなる。また価格も高い。積水ハウスやナショナル住宅、大和ハウス等で、主に3階建て用モデルとして用意している。
(6)その他
外壁にALC(Autoclaved Light-weight Concrete;工場で製造した気泡入りコンクリートパネル)を利用する旭化成のへーベルハウスなどもあるが、これは構造的には軽量鉄骨作り。また、積水ハイムのユニット構造住宅も、軽量鉄骨や木質パネル構法で作った住宅ユニットを工場で製造し、現地で組み立てるもの。
1.3 どの構法が良いか?
はっきり言って、これは個人の好みによるとしか言えない。どの構法であっても特に問題になるような根本的な欠点はないため。
ただし、構法毎に向き、不向きはある。たとえば、木造軸組構法では住宅の気密を取るのが難しいため、気密性能は一般にツーバイフォーより低い。
はっきり言ってしまえば、住宅の構法はどれを選んでも特に問題にはならず、それよりも家を建てる職人のレベルの方が家の出来に大きく影響すると言える。
1.4 その他(地盤調査)
住宅を建てる際に必ずやっておきたい調査。ただし、住宅の建て替え等で地盤の状況をよく分かっている場合には必要ないかも。
地盤調査を怠ると、不当沈下等によるトラブルを招く場合があるため重要。最近は、スウェーデン式サンディング法などの簡単で効果的な手法があるため、小金を惜しまずに実施するべき。
参考URL
http://www.jiban.co.jp/oseshusama/tisiki02.htm