気儘に書きたい

受験勉強よりもイラストを書くのが好きだった高校生の頃---、無心に絵を描く喜びをもう一度味わえたらいいのだが。

下関から見た門司港

2010-08-13 01:27:02 | 風景画
 先日久々にスケッチに出かけた。みもすそ川公園は平日とあって、人影もまばらだった。適当なテーブルを見つけて画材を広げ、絵を描き始めてすぐに、小学校の男の子と園児の女の子を連れた母親が話しかけてきた。男の子が夏休みの宿題に関門橋の絵を描きたいので見学させて欲しいという。橋の下絵はまだ数本の線しか描いてなかった。
 関門橋は書くのが面倒だからやめたほうがいいとアドバイスしたら、三人はお礼を述べて去っていった。再び絵に集中しだすと、今度は近くで魚釣りをしていた老人が寄ってきた。
 今日は引きが悪いので釣りはやめた、長府まで自転車で帰るので大変だと言う。「今頃は何が釣れるんですか。」と聞いたのが悪かった。過去の獲物のことなど嬉しそうに話し始めた。
 老人が帰ると、今度は観光客相手に紙芝居をしていた同年代と思われる男が隣に座ってきた。「3時まで紙芝居をすることになってるけど、今日は客が集まらないから暇だ。お宅のやっていることは形に残るからいいね。私のは何も残らない。」という話から始まって、自分の身の上話を始めた。神戸の出身で、阪神大震災で職を失ってここに流れついた、下関市のボランティアで紙芝居を交代でやっている、本業は音響関係の仕事だけど、夜警と音楽ライブのバイトもして何とか生活している、ジャズバンドのベースを担当しているが、自分で作詞作曲してギターの弾き語りもする、高校時代は美術と音楽が得意で担任の教師に音大への進学を勧められたが、音楽では食べていけないと思って違う道にすすんだ、云々。一時間くらい喋ってから、3時になったので引き上げていった。
 再び絵に取り組んで、色を塗りはじめたところで、タイムリミットとなり、続きは家で描いた。スケッチを楽しむつもりが、他人の話を聞きにいったような一日だった。
 今夜は一年に一度の海峡花火大会が開催される。門司と下関の両岸で1万3千発の花火が打ち上げられる。どうか天気になりますように。