気儘に書きたい

受験勉強よりもイラストを書くのが好きだった高校生の頃---、無心に絵を描く喜びをもう一度味わえたらいいのだが。

昭和40年4月16日の授業風景(イメージ)

2008-02-06 21:59:55 | イメージ画
 突然、午後の授業が、中断した。担任教師が教室の入口で事務員から連絡を受けると、私を呼んだ。教室を出ると、先生が聞いた。
 「お父さん、入院してたの。」
 「昨日からです。」
 「叔父さんが迎えに来てるから、すぐに正面玄関に行きなさい。」
 心配そうに見つめる先生を後に、階段を駆け下りた。
 指示された場所に、弟もやって来た。
 叔父が、幼い兄弟を、会社のトラックの助手席へ促した。
 「父ちゃんをよく見ておくんぞ---。」
 
 病院へ向かう車の中で、小さな胸の内に重苦しいものが渦巻いていたが、平穏な教室から、私一人が暗転していく様子が、ドラマを見ているようで、現実感がなかった。
 その夜、父は死んだ。
 一週間後、登校した私は、教師や級友に暖かく迎えられた。
 そして、周りの雰囲気が、もはや私に道化を認めないことに気付いた。