そぞろ神の物につきて―日本列島徒歩の旅の記録

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徒歩の旅 第90日 宗谷岬到達

2009年07月12日 | 2008年日本海側の旅
7月9日(水) 曇一時晴 (「モシリパユース」~宗谷岬~稚内市・「稚内モシリパユースホステル」)



いよいよ最北端到達の日。
早朝、目覚めたときはまだ雨が降っている。最北端到着は雨中行動かと思ったが、出発時には一応雨が上がる。
今日は宗谷岬到達を第一目標とし、到達後はバスにて「モシリパユース」へ戻る予定。ウォーキングシューズはなんとかここまで持ちこたえている。あとはできるだけ荷物を軽くして歩くべく、最小限の装備を持ち、残りはユースにおいていくつもりであった。ところが、荷物の選別過程で、どの装備もここまで3000kmの道程を一緒に来たのに、ここで二つに分けて残していく気になれず、結局いつも通りの格好で、すべての装備を背負っていくことにする。
4時45分、出発。稚内駅前を通過し、昨日歩いた市街地を戻る。
5時40分、潮見5丁目の交差点で国道40号線を右に分け、国道238号線を通って宗谷岬を目指す。稚内の距離表示は、英語読みに加え、ロシア語読みも記載されていて、国境の街であることを実感させられる。


5時55分、市街を抜けた地点のバス停にて小休止。甘納豆を食べる。
宗谷湾は雲は垂れ込めているものの、波はなく静かな海上。左手遠くに野寒布(のしゃっぷ)岬も見える。


宗谷湾に沿って古い倉庫や漁家がある。


海上では漁をする人、


浜辺にはエゾニュウやエゾカンゾウ、ハマナスが咲いている。






道路にもハマナスの花壇が続いており、雨上がりにハマナスの色が鮮やかだ。




7時10分、宗谷丘陵の上にはいくつもの風車が見える。


8時40分、増幌のバス停にて小休止。


昨日サロベツ原野で出会った自転車の男性が追いついてきて、30分ほど話しながら一緒に歩く。
大阪の人で62歳。トライアスロンをやっているとのこと。道理であの雨の中でも裸足に草履でペダルを漕いでいたわけだ。昨日はあの後礼文島にわたり、美味しいウニ丼を食べたと、丼の前で笑っているデジカメ画像を見せてくれる。礼文島に行くならぜひとも「佐藤売店のスペシャルウニ丼」を、と勧められる。これから道東を周るとのことで、エール交換をして別れる。さらに進むと、右手の宗谷丘陵がどんどん接近してくる。
10時、宗谷岬まであと10kmの地点で、トラック乗って仕事をしていた清掃作業員が車を止め、「あと少しだから頑張れ。」と言って、栄養ドリンクをくれる。
10時05分、右手に宗谷丘陵が間近になる。


10時30分、宗谷地区に入る。


11時10分、あと5キロ地点を過ぎる。
11時35分、左手の海岸に「間宮林蔵渡樺出港の地」の碑がある。彼は1808年にここから樺太(サハリン)へ船出した。宗谷岬からは、肉眼でサハリンが見える日もあるとのことだが、残念ながら今日は曇天で見ることはできない。




11時55分、いよいよ宗谷岬が近づく。


12時20分、ついに日本最北端の地である宗谷岬に到達。
宗谷公園の「最北端の碑」(北緯45度31分、東経141度56分)。
なぜか直前まで曇っていた空が、不思議なことにこの時だけ急に青空を覗かせた。歩き旅の神様が御褒美をくれたのかもしれない。


「最北端の碑」で、観光の若いカップルと記念写真を撮りあう。


間宮林蔵の像のそばに、「ご苦労さん」とザックを置き、草の上に寝転ぶ。目をつぶって、観光バスの客やチャリダーたちの歓声を遠く聞きながら、しばし旅の思い出に浸る。


4月11日に鹿児島の「圭屋(たまや)ユース」から歩き始め、ちょうど90日間、約3000キロ。最初は足が腫れたりしてどうなるかと思うこともあったが、多くの人たちの親切に支えられ励まされて、ともかく歩き通してとうとう無事にここまでやって来ることができた。この90日間に通ってきた日本海側のルートを回想しつつ、ゆっくりと至福の時を過ごす。
その後、自宅、友人、旅の間に知り合った人やお世話になった人たちにメールをしてから、「日本最北端の店」で牛乳を買って食事。
食後、宗谷岬音楽碑を見に行くと、流れているのは船村徹作曲の「宗谷岬」という曲である。


15時08分、路線バスにて宿に向けて帰る。1350円。バスに乗るのは、松江でレイクラインという観光バスに乗って以来だ。


16時30分、ユースに戻る。衣類の洗濯と乾燥。荷物整理。
同宿になったスイス人の若者と、お互いにたどたどしい英語で話をする。35歳まで出来るだけ世界中を旅しようと思っている、と言う。日本の次はタイに行くつもりだそうだ。そういえば、鹿児島のユースでもドイツ人に会ったっけ。旅の始まりと終わりに外人に会うのも奇妙なことだ。
19時25分、セイコーマートにて夜食および翌日以降のための食料調達。ビール、鶏天丼、菓子パン2個、トマト、さんま蒲焼缶、バターピーナッツ、甘納豆、蒲鉾、スナック菓子。
さて、一つ目の目的は達成した。次は利尻山に登るという二つ目の目標に向かって進もう。とりあえず明日は礼文島にフェリーで行く予定なり。

経費  4,074円     累計  335,008円
歩数  48,363歩    累計  4,578,336歩
距離  31km       累計  3,030km

(本日までの経路)



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2 コメント

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初めまして (sachi)
2009-07-12 20:54:58
ひょんなことからブログを発見し、ずっと読ませていただいておりました。

丁度一年前には第二の目標の利尻山も達成し、ご自宅への帰路だったのでしょうか?

とても懐かしかったのが、天塩です。
他界しておりますが、父が天塩から神奈川へでてきたもので、私も子供のころ何度か天塩へ行っているんですよ。最後に行ったのが19になる年に・・・。
天塩の観光案内の看板を見て、「うわぁ~懐かしい!!」と(笑)
私が子供のころはまさに看板通り電車が走っていたのですが、気づいたら廃線になっており、19になる時に行った時には、札幌からバスで6時間の旅(笑)
そんなことを思い出しながら、また最北端の碑にもそういえば行ったなぁとか・・・。

私は徒歩の旅は無理だけど、ブログを読ませていただいて、文明のリキを使った旅だけれどもいろいろな所へ一人旅したくなりました。

利尻山の日記も楽しみにしております♪
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Unknown (「そぞろ神」管理人)
2009-07-13 13:58:44
コメント有難うございます。
宗谷岬到達後、礼文岳に登り、
ちょうど去年の今日(7月13日)、利尻山に登頂しました。
天塩の川、海、原野、どれも広大で印象的でした。とくに天塩河口大橋の上からの景観は、いまもまざまざと脳裏に浮かびます。
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