そぞろ神の物につきて―日本列島徒歩の旅の記録

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  (2011年 四国八十八ヶ所)
  (2014・15年 太平洋側)

2015年 徒歩の旅 第60日  標津町・ライダーハウス「クレイジーマッハ」へ

2016年05月29日 | 2015年太平洋側の旅-後半
2015年5月30日(土) 曇 (別海町・民宿 みつばちの宿
             ~標津町・ライダーハウス「クレイジーマッハ」)




宿のテレビの天気予報では、今日は曇のち雨。その後は少し持ち直すような話。ここまで来れば、後の大物は知床越え。その日の状況が最大の焦点である。

3時55分、出発。曇、さほど寒くはない。今日は長距離。途中から道道363号線を行く42㎞、ということで早めに行動開始。国道243号線(パイロット国道)を行く。「パイロット」、ん?


4時、すぐに西別川。


川の名の由来――アイヌ語でヌーウシペツ(nu-ush-pet)豊漁川という意味。(nu-ush は「豊富・である」、pet は「川」)。この語源から「西別川」と名付けられた、と。西別川は、すでに通ってきた釧路川、別寒部牛川とならぶ根釧台地を潤す3大河川の一つなり。


直進すると道道8号線。満開の八重のツツジあり。


5時25分、床丹川にかかる床丹橋。霧が出てくる。




白樺や新緑の中を行く。


6時20分、路傍にオオハンゴンソウの黄色い花が鮮やかだ。霧雨は止む。


6時40分、中春別交差点のセイコマートで「伊藤園1日分の野菜」を飲み、バナナ、大福などを買って、交差点を右折、黄色線の道道363号に入っていく。

覚悟の上とはいえ、周囲の様子が一気に変わる。狭い道路で、上下左右と、アップダウンとカーブが小刻みに繰り返される。消耗だが、他の道はないのでいたしかたない。こういう道が楽しめるようになれば旅人としても一人前だが、足も痛いし、一人前でなくてもいいや。

途中で出会ったお爺さんから、尾岱沼までは17~8㎞あるよ、と言われる。中春別までが12㎞だから尾岱沼までで約30㎞、それからライダーハウスまで、結構ありそうだ。

7時30分、両側に広がる牧草地や小さい林を抜けていくと、牧場の前でなにやら‥‥。


牛の蹄を削っていた。


8時、さらに、オオハンゴンソウやタンポポの咲く牧草地。タンポポの季節も終わりに近づき、白い綿毛に代わっているところもある。緑の牧草の中の鮮やかな黄色の主役はオオハンゴンソウである。


霧雨がやんだので、両側の笹薮から無数の小虫が湧き出し、体にまとわりつき、目や鼻や口に入りそうになる。

9時45分、長い単調な道路を歩いていると、自動車が停まり、男性から歩きにこだわっているのかと聞かれる。よかったら乗っていかないか、と。お言葉に甘えた。彼は別海の人で、尾岱沼に釣りをしている人の様子を見に行く途中とのこと。さらに、土曜日で仕事は休みだし、特に用事もないから標津まで行ってやるよ、というわけで結局、野付半島のライダーハウスまで乗せてもらってしまった。
車内での話は主にシカのこと。昨日の朝6時ごろ、シカにぶつかられて車が破損、7万円で修理中。今乗っている車は修理工場の代車。友人に、去年50万円かかった人がいる。根室方面ほどではないが、この辺もかなりシカの事故が多いそうだ。シカは一般に車にぶつかっても、道に倒れることはなく、そのまま行ってしまう。路肩で絶命するか、林の中でするか。厚床から根室に向かう時に見た立派なネットは去年設置したもので、この辺ではまだないそうだ。

9時55分、尾岱沼のセイコマで、今夜の食料を調達。北海道メロンジュースを2本買って、一緒に飲んだ。

10時15分、ライダーハウス「クレイジーマッハ」に着き、運転手さんにお礼を言って別れた。宿泊、素泊まり 1000円。




ライダーハウスのオーナーは、真言宗のお坊さん。といっても一般のライダーハウスと特に変わらず。夫妻ともに気さくな人。ただし、寝処の横の部屋に不動明王がいた。それと、庭にたくさんの猫がいた。


昼食後、時間があるので、野付半島に出かけた(12時~14時)。




野付湾にそそぐ茶志骨川に沿って、フラワーロードという、左の根室海峡(野付水道)、右の野付湾に挟まれた釣り針のような形の野付半島を行き、






途中で丹頂鶴が2羽。




広い野付湾。


12時40分、「第2しべつ展望パーキング」。ここは野付半島の自然観察のための展望台ではなくて、国後島を見るための展望台だった。知床や国後がうっすらと見えた。






湿原に咲くセンダイハギ。




風が強く、寒くなったので、ナラワラの手前で宿へ戻った。






帰って、オーナーから、明朝の勤行の際にお願いをするから、ということで、不動明王の前のノートに何か望むことを書いておくように言われた。他の人のものを見たら、交通安全とか、無事帰宅などだったので、「足痛の軽減」と書いたが、仏さまへのお願いなのだから、もっと哲学的なことを書けばよかったかな、と後でちょっと思った。

2015年 第60日(佐多岬より122日)

歩数  49461歩    (佐多岬より累計  6246591歩)
距離  42㎞       (佐多岬より累計  4182㎞)
※ 一部自動車に乗せてもらった。
費用  2519円     (佐多岬より累計  552783円)

「パイロット国道」は、根釧台地において1956年から始まった、パイロットファームという機械導入による大規模な酪農経営実験のプロジェクトに由来するようだ。

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