バイクで息子の工房に行き、片隅の「秘密基地」で薪ストーブに火を入れる。
枝木から薪に次第に火が移り、全体が熾り出してくると気持ちがほっこりする。持ってきた去年の古い手帳を繰る。一枚一枚、めくりながら、一つひとつの出来事を愛おしむように思い出す。
3月初めにカミさんと二人で旅した金沢。8月の終わりに自宅で子供たちと一緒に祝ったばあちゃんの米寿祝い。9月の終わりには息子夫婦と里帰りをして、池田町にも足を伸ばした。そして11月の国立劇場と皇居。
昨年一年間を振り返ると、そこには常にカミさんの笑顔があった。なのに、今はもういない。
たった数ヶ月前のことなのに、遠い昔のことのようにも思えるし、昨日のことのようにも感じられる。
新年を迎えたのに、気持ちは新たになることなくまだ過ぎた日々の中に生きている。
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