照る日曇る日 第2096回
晶文社から刊行中の吉本隆明大全集の最近版を、嬉々として読んでいることもあって、このほど岩波文庫から刊行された詩集を手に取ってみましたが、
「かれのこころは/いち早く異数の世界へおりていったが/かれの肉体は 十年/派手な群衆のなかを歩いたのである」(「異数の世界へおりてゆく」)
「ぼくがたふれたらひとつの直接性がたふれる/もたれあふことをきらった反抗がたふれる」(「ちひさな群への挨拶」)
というくだりくらいにしか、心を動かされませんでした。
なんでだろうね?
あとは強いて挙げると、「黙契」、「告知する歌」「小虫譜」「十七歳」「演歌」などはちょっと面白かったけど、どうってこたない。やはりこの人の本領は批評の文章ですね。
ヨシモトが何をいおうとカンケイないワシらはワシらの詩を書くだけじゃ 蝶人