迷建築「ノアの箱家」

ひょんなことからNOAに選ばれし者として迷建築「ノアの箱家」に住むことになったKOKKOの笑ってあきれる自宅建築奮戦記

迷建築「ノアの箱家」物語⑳

2012-02-19 20:06:27 | 迷建築「ノアの箱家」物語

NOAの設計士は名建築家だろうけれど、私の方はコンテナの迷人である。


 迷建築「ノアの箱家」の迷建築ぶりを記録しておくため、2010年12月24日付けの迷建築「ノアの箱家」物語⑲の続きを書いておこう。

 

ノア様、現る!

「ノアの箱家」の現況確認のために、ノア様がはるばる沖縄からやってくると知らせてきたのは、2ヶ月ほど前のこと。

その約束の2月19日がやって来た。

阪急高槻市駅に10時半にノアご一行様と待ち合わせ。囲炉裏茶屋で借りた車で迎えに行く。

今回、本庄尚美さん(本庄正之さんの奥さん。こちらも建築士)は、我が家の青少年と同じ歳の青少年連れでの建築現場のご視察である。

しゃべりまくりながらの車30分。「ノアの箱家」に戻ると、兄ちゃんたちは外壁板を貼り続けていた。

本庄さん:「自分でやってるって言ってても、肝心なところはやってもらってるんだろうなとは思ってましたけど。」

「ピンポン!!」

「あってりめ~よ~! おいら、素人だぜよ、一人でできるわけねぇじゃん!」

土佐弁だか江戸弁だか分からないような言葉で、トサカ振り回しながら答えるKOKKOちゃんなのであった。改めて、兄ちゃんとその助っ人たちの存在に感謝し、苔KOKKO~!とKOKKOちゃんは井戸端で鳴き続けた。

家の周りや家の中を、ノアの本庄さんはカメラでパチパチ。

つい一ヶ月前までは、床が見えなかった「ごみ箱の家」も、今じゃ、何とか「散らかった家」ぐらいにはなっている。どうぞ、どうぞの撮影会。

本庄さん:「まさか、ここまで手を入れてるとは思いませんでした。頑張りましたね。でも、高くついたでしょう?『結果的には、業者に任せて建てた方が安くなるはずですよ。』って、言ってたでしょ?」

KOKKO:「はい、玉城さん(NOAの若い設計士)にもそう言われてました。怖くて、今では建築費の計算やってません。領収書はとっていますので、最後に計算しますけど。」

やってるうちに、どんどんアイデアが湧いてくる。持ち合わせのお金とのからみで、企画がどんどん変化していく。当初、北へ向かっていた舟が、蛇行の末、南東に向って航海しているようなものである。

でも、決められた道を行かない楽しさと自由がある。

あれこれ考えながら、その時その時で決めていける楽しさも、決めずにほったらかしにできる気楽さもある。これを業者任せにしていたら、「与えられる」だけで、納得いくまで迷う自由はない。我がままと私好みは追求できなかった。

水仙ロードの水仙を眺めているノア様ご一行を見て、苦しかった2年前のことを思い出し、今の幸せを噛み締めて、じ~んとなった。

住む家があることって、こんなにも精神的安定を与えるものなんだ、普段は気付きもしないだろうけれど、生活の基盤なんだと、改めて「家」の持つ意味の大きさに思い至り、東北の人たちのことを思いもした。

ノアの設計士の方々は、私に「ここがお前の居場所だよ。」と場所を示して下さったのである。

あの時、あの出会いがなければ、私の“ホーム”はなかった。さ迷える魂を抱いて、さすらいの日々を苔KOKKO~!と鳴き叫びながら過ごしていただろう。やせ細り、ボロボロの羽で病にのたうち、廃鶏になっていたに違いない。

ノア様!ありがとうございます!!

こうして、2年ぶりに「ノアの箱家」建築現場で、ノア様と再会できたことを心から嬉しく思い、久しぶりにクリスチャンのように敬虔な気持ちになるKOKKOちゃんなのだった。

            

ノア様からいただいたシーサー殿に、手を合わせて拝むKOKKOちゃん。台所の棚の上にシーサー殿は鎮座ましましている。

 

落ち着いたら、本庄正之さんや玉城さんも「ノアの箱家」に来ていただきたい!

南側のコンテナで、向かいの竹を見ながら皆でさんぴん茶を飲みたい。

 

「ノアの箱家」、迷建築の証

本庄さんご一行と兄ちゃんたちといっしょにお茶を飲んでいた時、発覚したこと。

兄ちゃん:「あっ、あそこだけ、板が一枚裏向けに貼ってある!」

コンテナとコンテナのつなぎ目部分の下から四枚目の板が一枚、確かに裏向け。もう、後戻りは出来ない位置、やり直しは効かない。さすがは、迷建築中の迷建築、どこまでもやってくれるじゃないのさ! 

けれども、これは、きっと初めから約束されていたことだったに違いない。

安らかな気持ちでそれを受け入れた。「これは、きっと祝福された家の証なのだ。」と。 

        

ぱっと見ると、何のことはない。が、よく見ると、右の写真のように、一枚裏向けに貼ってある。兄ちゃん曰く、「ここは、KOKKOちゃんが貼ったところや。」KOKKO曰く、「うそ~。下のほうは、兄ちゃんが貼ったはずやで。」と喧嘩。工事中、何度喧嘩してきただろう。私が勝つこともあれば、兄ちゃんたちが勝つこともある。これを、「マホガニーとウォルナット」と私たちはよんでいる。