あすなろ
昨日、「あすなろ」の歌について書いた。
「あすなろはあすなろ、どんなに頑張っても檜にはなれない」との説明では、やはり悲観的な気がする。報われぬ努力を歌うなんて、そんな悲しい歌を子どもに歌わせるなんて・・・。本当は、もっと深い意味があるのではないか? 子ども心にそれがずっと引っかかっていた。
高校生になってから、修学旅行で訪れた能登半島で、地元の人から「アテの木(あすなろの能登での呼称)が、立派な檜に憧れて、自分もそうなりたいと心に決めて、一生懸命大きくなろうと努力している姿を歌ったものです。」と聞いた時、やっと腑に落ちた。おそらく、小学生時代の幼かった私は、先生の説明の一部分しか記憶に残すことが出来なかったに違いない。N先生のことだから、きっと「頑張りなさいよ。」とのエールをこめて卒業前の私達にあの歌を教えて下さったのに違いないと。
だが、どうも気になって仕方がない。
あすなろの歌は、本当はどんな歌詞だったのだろう。
で、「あすなろ」の歌をネットで調べてみた。
すると、私が記憶していたのより、歌がもっと長いと知った。
あすなろ あすなろ 明日はなろう
お山の誰にも負けぬ程 麓の村でも見えるほど
大きな檜に明日はなろう
あすなろ あすなろ 明日はなろう
峠を越える人たちの 夏は日陰になるような
大きな檜に明日はなろう
あすなろ あすなろ 明日はなろう
いろんな小鳥が飛んできて 楽しい歌の巣を作る
大きな檜に明日はなろう
あすなろ あすなろ 明日はなろう
雨にも風にも負けないで ぐーんと空まで届くほど
大きな檜に明日はなろう
ああ、やはり、そうだったのか。
やはり、絶望の歌などではない。
うちの“樫の木”(本当は楢の木)にピッタリだ。
しかし、それにしても、再度全文をじっくり読み返してみると、なんとも説教臭い歌でもあるナァ。
いったい、いつの時代の歌だろう。
そういや、井上靖に「あすなろ物語」ってのがあったっけ・・・。