15期生の美宅です。
趣味からの気づきについて書きたいと思います。
私は趣味でエレキベースのレッスンを受け始めて、10ヶ月ほどになります。
学生時代にバンドをやっていましたが、就職でメンバーが離ればなれになったことや仕事の忙しさなどの理由で、音楽から遠ざかっていました。しかし急にどうしてもデカイ音が鳴らしたくなり、また、再開するなら上手くなりたいと思いプロのレッスンを受けることにしました。
月に2回、1回当たり2時間、秋葉原のスタジオに入っています。最初の3ヶ月程は、スケール練習、リズムトレーニングなどの基礎練習を徹底的にやりました。その後、バッハで運指を鍛えつつ、ジャズのスタンダードを題材にウォーキングベースラインの作り方、コード弾き、メロディー弾きなど、色々な課題に取り組んでいます。
そんなベースレッスンですが、毎回いろいろな気づきや目から鱗が落ちる体験が、10ヶ月経った今でもあり楽しくてやめられません。講師の方の引き出しの多さもさることながら、なぜそういう弾き方がいいと(講師は)考えるのか、必ず論理的に説明をしてくれる所が自分に合っていると思っています。いい講師と出会えたと思います。
前置きが長くなりましたが、今回は、最初に衝撃を受けたことを書きます。
『なでるように弾け』
最初の基礎練習で繰り返し厳しく指導を受けた内容です。
私はこれまで好きだったベーシストの影響を受けて、かなり力を入れて弾いていましたが、徹底的に脱力するよう、矯正されました。ポピュラー音楽では基本的に好きなように弾けばいいのですが、「個性は基礎がしっかりした後に少しづつ加えて行けばいい」、という指導方針を信じて、上手くなりたい一心で取り組みました。
最初は指の腹で軽くなでる(こする)弾き方でちゃんと音が出るのか半信半疑でしたが、出音には何の問題もなく目から鱗が落ちる思いでした。また、スーパーベーシストのライブ映像を見ると驚くほど脱力しているのが分かります。この弾き方でちゃんとした音が出る理由はエレキ楽器が音を出す構造にあります。
- 楽器本体に取り付けられている「ピックアップ」という装置が弦振動を電気信号に変換
- 変換した電気信号をケーブルで「アンプ(増幅器)」へ伝達
- 「アンプ(増幅器)」で微弱な電気信号を増幅し、スピーカーへ伝達
- スピーカーコーンを振動させて発音する
つまり、ピックアップが拾える程度の弦振動さえ発生させれば、必ず音が出ます。スピーカーまでの間のセッティングで音量は何とでもコントロールが可能なのです。
では、「なでるように弾くメリット」は何か?
- リラックスした状態で演奏することで、リズムが安定し、周囲の音を聞く余裕が出る。
→ アンサンブルに集中でき、突発変化に対応する余裕ができる。
- 曲想、セッションでの盛り上がりに合わせて音量の変化が付けられる。
→ 楽器本体から出力する基本の音量を低くしておけば、強く弾くだけで音量を上げることができる(最初から最大音量だと、盛り上がりたくてもそれ以上音量を上げることはできない) 。
つまり、自分の演奏を余裕を持ってコントロールできる状態にしておき、周りの状況をよく見て、ここぞというタイミングでメリハリをつけて音量を上げる。こうすることで、アンサンブルを壊すことなく、一体感を持ちながら曲想を表現することが出来るようになります。
ここまで書いてきた考え方は、ビジネスや生活のいろいろなシーンに転用できると思います。簡単に例を挙げてみます。
- プロコンとしての基礎力・考え方を身につけ、その上で自分の色を出すことが大事(守破離)
- 表現にメリハリをつけることで、注意を引き、印象づける(一本調子では、本当に伝えたいことが何か分かりづらい)
- 自分をコントロールすることで周りの状況がよく見え、結果的に空気が読める
- 激務で擦り切れそうになっている部下のテンションを一度リセットし、燃え尽きる前に手を打つ(頑張るところと自分のペースでやっていいところ、メリハリをつけることを教える)
楽しみでやっている趣味からもいろいろと気づきはある、ということに気づいたのが最も大きな気づきかもしれません。
プロコンとしての基礎力・考え方をしっかりと身につけ、(特にお客様との会議では)空気を読みながらコミュニケーションをとり、ここぞという時に熱量を上げる。その上で自分の色をどう出していくか。これからも考え、実践していきたいと思います。