手づくり漆器 ~うるし うるおい うるわし~

鳥取の漆職人がお届けします。

松田 権六 その2

2009-02-28 10:35:51 | Weblog
松田権六は、日本の伝統文化をどうにかせねばならないという危機感を感じていました。戦後の日本は、敗戦により多くの伝統芸術が衰退していました。

松田権六は、戦前からでしたが正倉院の宝物や楽浪漆器(後漢時代)を手本にして、昔の漆の技法を復興しました。

偉大な漆芸家は、また偉大な教育者でもあり、立派な後継者をたくさん育てました。


松田権六展 蓬莱の棚

2009-02-27 15:32:16 | Weblog
平成16年東京国立近代美術館で、松田権六展が開催されました。私は、絶対見たいと思い、いざ東京に出向いたしだいです。 夜行バスで行きました。

複雑な地下鉄に乗り継いで、下車した駅からどういったらいいのか。皇居のお堀沿いの紀ノ国坂を歩いてまっすぐいけばいいのに、反対方向に歩いていってしまい、相当の時間をロスしたのを覚えています。

やっとの思いでレンガ造りの明治の風貌が漂う東京国立近代美術館に着きました。

時間も閉館まで1時間ほどしかなく、あわてて見なければならない羽目になりました。 

お目当ては、「蓬莱の棚」でした。 ガラスケースに収められていた蓬莱の棚の前に立ったとき、涙が溢れてきたのを思い出します。鎮魂の棚と私は理解していました。

戦争の最中に作り上げたこの棚には、ご自分の教え子や関係者が戦場に行って命を落とされたのを偲び、その歴史が刻まれているのです。

「蓬莱の棚」、鶴が群れいて いかにもその鶴の声が天にとどろくかのように描かれていました。

 来て良かった・・・。 松田権六の魂に出会ったひと時でした。

「人に学ぶ 物に学ぶ 自然に学ぶ 」(順序が違うかもしれません)
   これが、松田権六の座右の銘です。
  
蓬莱の棚
http://www.marumata-japan.com/pichosainotana.htm














松田権六

2009-02-27 09:22:13 | Weblog
昭和30年人間国宝に認定。松田権六(まつだごんろく)は、日本の漆工芸の振興に
多大な貢献をされました。

歴史的建造物や漆芸装飾の修復をされましたが、その中でも有名なのは中尊寺金色堂の修復でした。また、国会議事堂御便殿には、松田権六が塗られた漆の扉があります。

昭和38年文化功労賞 昭和51年文化勲章を受章しました。昭和61年90歳にて永眠。

 
巨匠
http://shofu.pref.ishikawa.jp/shofu/intro/HTML/H_S30601.html

大変な時代

2009-02-26 07:56:33 | Weblog
百年に一度の世界的金融恐慌。1929年(暗黒の木曜日)の時は、その後世界戦争に突入しました。やはりアメリカ発の株価暴落でしたね。戦争後、戦争特需でアメリカは息を吹き返しました。

そして今、やはりアメリカ発金融恐慌。 

昨日 オバマ新大統領の演説がありました。歴史的な演説だったと思っています。
戦争だけには向かないで欲しいです。

戦争によってどれだけの世界遺産が破壊されたことでしょうか?

造るのは大変な作業ですが、壊すのは一瞬です。



曲げわっぱ

2009-02-25 07:53:12 | Weblog
「曲げわっぱ」は、鳥取では「めんぱ」と呼ばれています。「わっぱ」は、秋田や
木曾で有名ですが、全国どこにでもこれを作る職人がいました。

 ようするに弁当ですから、必要であったわけですね。

しかし、時代とともに弁当も形を変えました。特に、プラスチックや樹脂でできた
弁当が大半占めるようになりましたね。

私達が学生のころは、アルミの弁当がありました。ストーブに弁当を乗せて、暖めて食べてました。

「曲げわっぱ」は、杉や檜を薄くして湯で煮るのです。4時間ほど煮ます。繊維が柔らかくなったころ、型どりします。 時間をかけて冷ますと、型どおり曲がった物が出来上がるのです。

簡単なように思いますが、薄いだけに割れることがあります。

きれいな目を如何に張り合わせるかも職人の技ですね。

このような職人が、どんどん消えていっているのです。鳥取では、いま智頭町でその復興に努力しているところです。


   写真は、智頭百年杉で作った曲げわっぱです。


  お問い合わせは  會州堂 かいしゅうどう
          鳥取市川端2丁目211
          TEL 0857-23-3917

 ※ 無断で写真や掲載の複製を禁じます。











智頭百年杉曲げわっぱ弁当

2009-02-24 08:25:17 | Weblog
アクセス数がどんどん増えてきたので驚いています。 なにしろ、つれづれなるままに書いていますのでご了承ください。

先日、朝早く店先を掃除していたら、鳥取大学学生のNさんが店に入ってきました。最近若い人たちも来店されるようになりましたので、ゆっくり見てもらえるようにしています。そしたら「智頭百年杉曲げわっぱ弁当を見せてください」と言われたので驚き、商品をいくつか見てもらうことにしました。

「父が今年還暦になるのでプレゼントしたいんです。前々から欲しいと思っていたので・・・」

私の娘と同い年のNさんが、こんな泣かせるようなことを言って・・・私は、ぐっとこみあげてきましたが、胸のつまりを抑えて、「お父さん喜びますよ。誠心誠意をこめて作りましたから、私も嬉しいです。」と言ってしまいました。

にこにこしてNさんは、「ありがとうございました。今年就職なんです。東京に行く前に来ました。4月に行きます。行ってしまったら来れなくなるので来ました」

またまた泣かせる一言でした。「お父さんの誕生日はいつですか?」とまた聞いてしまいました。「6月です」とNさんはにっこりして答えました。

なんて親孝行の娘さんだろうか・・・。

そんなやり取りをした一日の出発は、やっぱり良いことがありました。気持ちが
甘酸っぱくなり、春が一足はやく来た様な幸せな気分になりました。この年して・・・。

「Nさん、東京は良い事もたくさんありますが、悪いこともたくさんあります。気をつけてくださいね。困った時や悩んだ時は、友だちに電話やメールをして下さい。
そうすれば、大丈夫ですよ。」

    Nさんあてにメールしました。


     問い合わせは  會州堂 かいしゅうどう
 
           鳥取市川端2丁目211
           TEL 0857-23-3917

※ この弁当は 東京アンテナショップ{食のみやこ鳥取」に出展しています。
          



















本固地技法

2009-02-23 08:01:05 | Weblog
本固地、蒔地、本地とあわせてこの3技法は伝統技法になります。

本固地技法を紹介します。

①木地固め ②彫芋(こくそ)かい ③ 削り 研ぎ出し ④布着せ(木地の補強)⑤ 布目ぞろい(削り 磨き) ⑦ 布目摺り ⑧研ぎ ⑨地付け(地の粉と生漆の混ぜたもので塗る)2回繰り返す⑩水研ぎ⑪地固め⑫切り粉付け2回⑬水研ぎ
⑭錆付け2回 ⑮錆研ぎ ⑯錆固め これで下地工程が終ります。約1ヶ月かかります。

下地は、素地を保護し熱汁を入れても熱伝導が直接木に伝わらないので、狂いや割れが生じません。長年使っても大丈夫と言うことです。

どうでしょうか? ここまでの工程を行った漆器は、やはり高価になりますね。

     

        お問い合わせは 會州堂 かいしゅうどう
                鳥取市川端2丁目211
                TEL 0857-23-3917

          営業 第2.4日曜日休み 9:00~19:00







根気と集中

2009-02-23 07:32:54 | Weblog
漆を取り扱うのは、正直いって難しいです。何が難しいかと言うと、まず漆の扱い方ですね。そして、塗り上げていくまでの工程です。漆は、塗ってすぐ乾きませんので、一日一工程しかできません。気の長くなる仕事です。

ですから、段取りが特に大事と言うことになります。今日は何をするのか。そして、どれほどの数や種類のものを塗り上げるのか。
これが、定まらずいい加減に取り組めば、一日が無駄になってしまいます。

効率よく、無駄がなく期限どおりに仕上げようと思えば、段取りをしっかりすることですね。

仕事にかかれば、あとは集中と根気です。スピードと正確さが必要とされます。ぐずぐずしていると漆が乾いて仕事ができなくなってしまいます。

その前に、環境作りが必要ですね。清潔でごみや埃の立たない部屋を選びましょう。

道具もキチンとそろえましょう。

  写真は、汁椀に布張りを施しているところです。本固地仕上げ技法です。

        

    お問い合わせは  會州堂  かいしゅうどう

             TEL 0857-23-3917













蒔絵教室

2009-02-22 22:09:59 | Weblog
毎月2日間 蒔絵教室があります。漆の専門家が、本格的に指導してくださいます。

京都 大阪 姫路 明石 鳥取 島根 各地から蒔絵を習いにやってきます。

2年3年5年通っいる方もたくさんいます。 それぞれいろいろな作品を作っています。蒔絵の額、蒔絵の皿、蒔絵の文庫箱。それらの作品は、どれもこれも真剣に取り組んでいる生徒さんの傑作です。

4月の展示会に向けて、作品の完成が楽しみです。



   お問い合わせは  會州堂 かいしゅうどう
           鳥取市川端2丁目211
         
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伝統法の指定を受けた漆器

2009-02-20 07:48:14 | Weblog
1975年(昭和50年)に木曾漆器・飛騨春慶が指定されて以降、全国で23の漆器が伝統法として指定されました。

順に津軽塗・会津塗・輪島塗・山中漆器・越前漆器・高岡漆器・村上木彫堆朱・京漆器・香川漆器・川連漆器・若狭塗・紀州漆器・鎌倉彫・金沢漆器・小田原漆器・秀衡塗・浄法寺塗・琉球漆器・大内塗・鳴子漆器・新潟漆器以上です。


これらの指定漆器は、当然技法も材質も違います。使用する木材の種類は多様です。

これを見ると、日本海側に面した地域が多いように見えませんか?

鳥取や島根(八雲塗)も漆器には適している地域なんですね。ホントは・・・。

写真は  輪島塗です。


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