手づくり漆器 ~うるし うるおい うるわし~

鳥取の漆職人がお届けします。

塗師の道具

2009-02-19 08:01:49 | Weblog
漆を塗るというのは、ラッカーなどを塗るのとぜんぜん違う。まず道具が必要です。 刷毛(各種数本) 風呂 へら(数本) 定盤 漆(各種)研ぎ出し用耐水ペーパー(各種) 炭 溶液(各種)小刀 その他。 最低このくらい必要です。

漆は、性質が他の塗料と比べてぜんぜん違います。漆は、温度20度以上 湿度70%~80%が必要です。この条件に適しないといつまでも乾きません。

漆の成分にウルシオールがあります。そのウルシオールが、水分と反応して硬化するわけです。それが漆の乾きです。ですから、漆をきれいに乾燥させるために、風呂(ふろ)という乾燥機(木でできた箱)が必要になります。

刷毛の管理は重要です。漆で洗って使います。使用後は、油(植物)で洗ってきちん管理します。刷毛は、人毛が良いでしょう。

これをきちんとしないと、次に使えなくなります。名人は、何十年と道具を丁寧に使いきっていきます。そして、見事な製品を作り上げるのです。


     写真は 刷毛を作っているところです。



   漆道具の問い合わせは   會州堂 かいしゅうどう

                鳥取市川端2丁目211
                TEL 0857-23-3917
                FAX 0857-23-0543








蒔絵師 田中稲月 

2009-02-18 09:06:59 | Weblog
平成19年11月 名工蒔絵師 田中稲月氏(田中正輝)が静かにこの世を去られました。87歳でした。

田中さんは、鳥取市吉岡温泉町に住んでいました。14歳で父初代稲月に師事し、塗りの仕事をはじめました。昭和初期は、まだ戦争の始る前でしたのでそれなりに仕事はあったようです。

田中さんの話によると、鳥取市には10人ほどの塗師屋がいて蒔絵師は二人ほど(田中さん親子)だったそうです。木地屋も元気だったようですね。

蒔絵は、初代稲月(田中勇吉)が気高郡立徒弟学校(明治43年~大正3年)で学び、その後石川県山中温泉で学びました。帰鳥して、鳥取で仕事を始めたということです。

田中さんは、その後召集されラバウルに出征しました。激戦地ラバウルで生きるか死ぬかの戦争経験については、あまり語られませんでした。

戦後復員して、再び漆の仕事につきます。それ以後、亡くなるまで蒔絵の仕事をし続けて来られました。

田中さんの蒔絵は、因幡の気質に満ち満ちた「古典風で繊細な意匠」と言っていいと思います。一言で言えば、品がありました。

道具は、きちんと管理され「流石名人」でした。


   写真は、田中稲月作 「天女」丸盆 です。







鳥取と佐治と青谷の漆と和紙の歴史

2009-02-17 09:51:43 | Weblog
鳥取県の漆産業は、江戸時代鳥取藩において奨励発展してきました。
鳥取城下では久松塗りとして存在しました。

佐治は、漆を生産する場所でした。前述したように、幕末には300貫目(約1100kg)の漆を生産しました。その後、戦争を境に掻き子の減少と輸入漆の増加、プラスチックの普及や杉山に様変わりしたことなどの原因で、昭和40年前半には、掻き子の姿が消えていきました。

漆の生えていた山は、こうぞや三椏の山になり、その後梨の山に変化していきました。

青谷は、漆を掻き、木地を作り、そこに漆を塗って製品にしていました。いわゆる、分業による生産地として存在していたわけです。

当時は(江戸時代~昭和戦後まで)和紙と漆は、産業としては共存していました。夏場に漆を掻き、冬場に和紙を作るといったサイクルがなされていたわけです。

時代の流れの中で、鳥取も佐治も青谷も漆のことを誰も言わなくなってしまいました。


写真は 昭和初期 鳥取 塗師 木村泰之介作 朱塗り布張 丸膳














青谷上寺地遺跡に見る漆器

2009-02-17 08:16:27 | Weblog
鳥取市青谷町の弥生時代遺跡の中から、様々な道具や器、建築物の破片そして圧巻は弥生人の脳みそが発見されました。弥生人の脳みそです。泥の中に埋まっていたので新鮮度は高かったようです。

そして、見逃してはならないのが赤漆の文様のある器が発見されました。当時、漆を使った器などをつくる技術はなかったはずです。発見された器を見ると、一見楽浪漆器(紀元前108年前漢武帝時代の植民地、今の北朝鮮チョンピョン郊外)に似ていました。当時の交易の様子が伺えます。

 昨年(NHKで放映された)日本の人間国宝の3人の方に、発掘された弥生時代の器を再現してもらうという番組がありました。当時の木地や指物の技術が卓越していたことに驚きました。

写真は 青谷上寺地遺跡の資料館です。


人間国宝の川北良造さんは、弥生の人の技術はすばらしいと絶賛されていました。

青谷の当時の姿が徐々に明らかになっていくのが楽しみです。


※ 無断で複製や転写は禁じます。
                        





三寒四温

2009-02-16 18:28:58 | Weblog
昨日まで春の陽気で気持ちよかったのに、今日は一転、雪。今ごろの天気はこんなんですね。 3月の展示会に向けて準備。

写真は、智頭町の片田舎。静かで広々としていて、ああ天国・・・・。

ラインの美しさと使いやすさの木のスプーン

2009-02-14 08:39:10 | Weblog
結構 気に入ったスプーンを探している人がいます。しかし、なかなか出会えません。

3年間かけてデザインを研究して作られたスプーン。 漆塗りで、気軽に使えます。

しっかり手になじみ、良い感じですよ。お子様にも お年寄りにも軽くて、使いやすい!!

     「こだわりの 木のスプーン」    価格 3150円(税込み)

     材 国産欅
     漆塗り

     製造 販売元 會州堂  鳥取市川端2丁目211 智頭街道


     お問い合わせは  會州堂 かいしゅうどう
              TEL 0857-23-3917
              FAX 0857-23-0543



食のみやこ鳥取 報告会

2009-02-13 11:44:12 | Weblog
昨日 倉吉で、東京アンテナショップ「食のみやこ鳥取」のオープン5ヶ月目の報告会がありました。関係者、参加企業など合わせて200名ほど(もっとかもしれません)が参加していました。 私どもとしては、鳥取の自慢の商品が東京で宣伝していただけ、販売していただけるというのはありがたいことです。

ぼちぼちですが、鳥取の代表として恥ずかしくない商品を作っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

懇親会では、平井伸治鳥取県知事がお見えになり、東京アンテナショップはチャレンジショップと思って下さい。東京では、TVをはじめマスコミで100回以上取り上げられたと言う報告がありました。東京アンテナショップにこれからもっと力を入れていきたい旨、元気になるお話を頂戴いたしました。
 
鳥取県は地理的にわかりづらいですが、新鮮な食品などを通して多くの方に知っていただけたという体験談もありました。





佐治漆 その3

2009-02-12 08:41:09 | Weblog
一度 佐治漆で塗ってみたいという願望があります。幻の佐治漆というわけですから、塗るものとしては当たり前かもしれません。

それでも、採取できそうな漆の木があるようです。今年の夏あたり可能性があるかもしれませんね。 そして今後、佐治漆として植栽の方向に行けばベストですが。 そうすると、近畿・中国地方では、丹波漆 備中漆に続いて第3弾目になるかもしれません。良質の佐治漆を実証して見たいという気持ちが、ますます湧き上がってきました。


   

 ホッと一息

2009-02-11 10:30:49 | Weblog
おはようございます。

最近、力が入って書き込んでいるような気がして一息つかないと窒息しそうです。

今日は 休みます。

 

これは、鳥取の蒔絵師 田中稲月(鳥取県無形文化財保持者 故人)の棗です。

国産漆の植栽活動と実態

2009-02-10 08:01:01 | Weblog
国産漆の植栽活動のために、昭和51年(1976年)に日本文化財漆協会が設立されました。中心は漆聖 松田権六・伊藤清三で、文化庁の補助による漆樹の植栽活動でした。

このころは、経済成長真っ盛りの時でしたね。古い建物がどんどん壊され、ビルディングが地方にもどんどん立てられていくという時代でした。環境破壊も、どんどん進んでいった時だったと思います。

 これは、植栽にとどまらず漆液の採取、漆掻技術者の養成、関連した道具製作の保護などのものでした。場所は、岩手県二戸郡浄法寺の国有林でした。

前述したように、日本全国で使われている漆の99%以上が輸入漆です。純国産漆は1%で、その中でも70%が浄法寺産の漆液なのです。驚きますね。

山林国家日本は終戦後、金になる木の植栽として杉や檜のような針葉樹を日本中の山に植えてきました。八頭郡の山は、どこもかしこも青々とした杉で覆われています。 わずかばかり、紅葉の季節になると色づいている山もありますが・・・。

現在、林業従事者の高齢化と外国材の大量輸入・後継者不足などで、これらの金のなる木は金にはならず、管理もなされないまま放置され、山が死んでしまっているといった状態にあります。山に生息する動物の生態系も変わってしまったですね・・。


漆は、植えるだけではいけないのです。それを管理するシステム(管理・育成)がないと生産しても経済には繋がらないからです。


*********** 展示会のご案内******************

   ◆ 暮らしの彩り展
   2009.2.14(土)~15(日)
 場所 鳥取ガスショールーム サルーテ
     鳥取市片原5丁目503 TEL0857-30-2020
   
  器屋うらの さんが出店します。會州堂の[杉わっぱ]も出ますよ。

  ◆ トットリプロ 「トリノス」展 鳥取からいいもの発信!!
   2009.3.11(水)~18(水)10:00~18:00
   場所 ギャラリー あんどう 
   鳥取市本町1-201 TEL0857-21-6155
  
    家具 因州和紙 焼き物(国造)漆