またまた練習場で話しかけられた。
なんでこうもよく話しかけられるのか?
「いい球、打たれますねぇ」
「いやいや」
その日は球がバラついていて、どうも満足できなかった。
「力が抜けて、いいスイングされますね」
「そうですか?」
スイングはよくほめられる。
しかし、スイング判定はゴルフに関係ない。
「ほら、みんな、力が入っとるでしょ?」
「・・・」
指さす方を見た。
まぁ、確かに。
だから、練習に来ているのだけれど・・・
「もう年とると、うまくいきません」
「おいくつですか?」
80近い人だった。
確かに、ボテボテの球しか打ててなかった。
「河川敷に92才の人がいました」と言ったら、どういうわけだか、ベストスコアーが92と勘ちがいされた。
「70台は出せますよ!」
「はぁ、どうも・・・」
ゴルフ練習場で話しかけられたのはもう何回目だろう?
スキがあるのか?
キハクに欠けるのか?
タマタマなのか?
タマタマなのか?
練習場に6年間も通っていると、それなりに顔なじみが増えてくる。
しかし、自分から話しかけたことは一度もない。
店の人とも顔なじみだが、自分から話しかけたことはこれも一度もない。
ただ挨拶だけはきちんとしている。
きっと礼儀正しい、あるいは品のいいじいさんと思われているだろう。
練習場に出かけるのは友だちづくりのためではない。
スイングづくりのためだ。
そう思って、黙々とボールを打っている。
すぅ~っと来て、バカバカ打ち、またすぅ~っと帰る。
これを向こう、20年間は続けるつもりだ。
伝説のじいさんになってやる!