夏の頃から練習場で怪奇現象が続いていた。
それはボールがほとんど一列に並んで固まっているかのように見える現象だった。
それも1ヤード離れたところから15ヤードの間に限られている。
そんなのは過去、一度も見たことがなかった。
横から見ると、ボールが一本の太い棒のように固まって見える。
密集したボールの上を下を踏むことなく歩いて行けそうなくらいだ。
おそらく1回の練習ボール(150球)全部をショートアプローチに費やしているのではないだろうか?
誰だ?
こんなことをするのは?
ずっと気になっていた。
ある日の昼近く、練習場に来てみると、いた!
後ろの打席でちまちま(失礼!)打っているおじさんを発見した。
もうすでに終わりかけようだ。
まさしく一直線!
密集状態!
まるでかご一杯のボールをそのままバァ~ッと放り出したかのようだ。
靴を履き替えながら、練習風景をジッと見た。
コツン!
コツン!
1ヤードの距離を打っていた。
いい音かというとそうでもない。
うまい打ち方かというとそうでもない。
ただおじさんはひたすらちょこんアプローチをくり返している。
どっかの動画を観たのだろうか?
片山晋呉の動画でも?
おじさんはいかほどの実力の持ち主だろうか?
気になるところだ。