遊心逍遙記その2

ブログ「遊心逍遙記」から心機一転して、「遊心逍遙記その2」を開設します。主に読後印象記をまとめていきます。

『MARGRET & H.E.REY'S Curious Grorge Feeds the Animals』 Houghton Mifflin Harcourt

2023-02-01 10:45:53 | 英語学習教材
 しばらく出会うことがなかった一行が表紙に記された英語絵本電子書籍版を読んだ。
 Illustrated in the style of H.A.Rey by Vipah Interactive という表記。この絵本のコピーライトは1998年と記されている。過去に読んだ絵本にも多分明記されていたのだろうが、その時は確認できていなかったのが、Vipah Interactive は何か?グループ名であることは推測できるのだが・・・・。
 本書のコピーライトの記載箇所を読み、C.Becker, D.Fakkel, M.Jensen, S.SanGiacomo, C.Witte, C.Yu という人々で構成された集団であることがわかった。まあ、知らなくてもどうということはないのだけれど、気になっていたことが解消した。

 この絵本、ジョージが友達の黄色帽子の男と一緒に動物園にでかけるというお話。目的は動物園に、「RAIN FOREST」という観覧エリアがグランドオープンするので、ジョージと黄色帽子の男が一番乗りをしようと出かける。動物園に入園したものの、新しい観覧エリアは開場時間が遅らされていた。そこで、しばらく園内の他の動物たちを見て回ることになる。そこで、ジョージが失敗をしでかす。その後、お役に立つことをして喜ばれて、ストーリーはハッピー・エンドになるという次第。

 この絵本、イラストも多いけれど、従来通り30ページの絵本としては、本文が相対的に結構長い。その分、文字の大きさが小さくなっている。対象層は年長の子供たちなのだろう。

 今回、動物園でジョージが起こす騒動は、動物たちに次々にジョージが餌をやるという失敗をしでかすことである。園内を巡る最初に、ジョージは、zookeeper がアザラシ(seals)たちに餌(小魚)を投げ与えるのを眺めた。その行為に好奇心をそそられる。ここでまず、動物園の飼育員が zookeeper という単語で表現されている。わかりやすい単語だなと思った。
 黄色帽子の友達がジョージに何か食べるかいと尋ね、スナックを買ってジョージとシェアした。ジョージはそのスナックを次々と動物たちに与えることで、飼育員の真似を始めてしまう。それが失敗の元。勿論、動物園の檻の傍には、「DON'T FEED THE ANIMALS」という禁止行為の看板が設置されてある。そんなことに、ジョージは気づかない。
 飼育員に見咎められる。一旦、ジョージは逃げるが飼育員につかまり、ベンチの所で説教される。
 ここで学んだのは、婉曲的な禁止行為の表現である。飼育員がお客さんであるジョージに言うことなので、こんな表現をするのだろう。
   ”Don't you know you're not supposed to feed the animals ? "
この表現パターンは知っておくと便利な気がした。
 勿論、飼育員はジョージに理由を述べる。”The wrong food might make them sick."と。文句を言うだけでなく、WHY - BECAUSE の論理でちゃんと明確に説明される。
さらに、ここでは仮定法過去の文型が使われているので、子供たちは仮定法の表現を自然に学んで行くのだろう。

 ジョージは、自分のしたことに怖くなる。 George felt awful.

 そこに、別の飼育員が、”Come quick! Someone saw the parrot!”と叫びながら現れる。最初の飼育員はジョージに事情を説明し、ベンチで待つように言って、去っていく。ところが、しばらくすると、その parrot (オウム)がスナックを狙ってさっと舞い降りてきて、ジョージの手許のスナックをつまむ。この場面で、次の文が記されている。
   ”Now George knew he wasn't supposed to feed the animals....but
this one had helped itself. "
パーティの場面で、help your self の表現が使われることを昔学んだ記憶がある。久しぶりに出会った表現。辞書には文例が出ていて、自由にとって食べると説明されている。ジョージのこんな場面でも使える表現なのだ。

 オウムがジョージの傍に留まっていたことで、今度はジョージが飼育員を助ける側になる。オウムは、「RAIN FOREST」つまり、熱帯雨林を模した新規エリアから逃げ出していたので、この観覧エリアの開場が延期されていたということだったのである。
 これを契機に、ハッピーエンドへと転換していくことに。ジョージは、さらに飼育員さんたちの手助けをすることになる。

 最後は、ジョージと黄色帽子の友達は、開場の一番乗りをする。めでたしめでたし。

 このストーリーから、子供たちは、上記の表現や文法的なことと併せて、少なくとも2つのことを学ぶのではないかと思う。
1つは、動物園で禁止行為があること。その大切さ。
2つめは、動物園に関連した語彙。zookeeper, rain forest, new exhibit などの言葉の一方で、動物の名前とその単語の綴りを自然に学ぶのだろう。この絵本には多くの動物が登場する。
  seal, crocodile, koala, elephant, kangaroo, lion, hippopotamus, ostrich,
  giraffe, monkey, parrot
これら動物たちのイラストはこの絵本にすべて描かれている。

 最後に、私には一つ課題が残った。日本語ではアザラシ、アシカ、オットセイと区別している。英和辞典を引くと、seal という単語の説明に、「アザラシ、アシカ、オットセイ」が説明として併記されている。総称で使われる単語のようだ。ならば、具体的にはどういう表現でこれらの動物を識別するのだろうかと・・・・。

 いずれにしても、英語絵本から学べることが多くある。英語学習のリハビリには手頃。
 ご一読ありがとうございます。

補遺
アザラシ  :ウィキペディア
アシカ   :ウィキペディア
オットセイ :ウィキペディア
オットセイってどんな動物?  :「京都大学WRC海獣班」 
3,849点のオットセイのストックフォトと写真 :「gettyimages」
37,048点のアザラシのストックフォトと写真  :「gettyimages」
482点のタテゴトアザラシのストックフォトと写真 :「gettyimages」
アザラシを英語で何という?覚えておきたい表現3選 :「英語塾 六単塾」
Earless seal  From Wikipedia, the free encyclopedia
Fur seal    From Wikipedia, the free encyclopedia
Sea lion    From Wikipedia, the free encyclopedia
Eared seal   From Wikipedia, the free encyclopedia
Walrus     From Wikipedia, the free encyclopedia

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こちらもお読みいただけるとうれしいです。
『HAPPY HALLOWEEN’ Curious George』
               HOUGHTON MIFFLIN HARCOURT PUBLISHING COMPANY
『Curious You On your way!』 ILLUSTRATED BY H. A. REY
               HOUGHTON MIFFLIN COMPANY
「遊心逍遙記」に掲載した英語絵本シリーズの読後印象記一覧 最終版
                     2022年12月現在 20冊

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