かちこのアメリカ奮闘記その後

アメリカの大学院での登録栄養士(RD)を取得、帰国して日本の病院でNST奮闘中

アスリートの低栄養や低栄養による不妊

2017年07月01日 | 臨床栄養最近のトピックス

久々の更新です

今日は私の大好きな、そして尊敬すべき鈴木志保子先生の講演を聞きに行ってきました

志保子先生といえば、スポーツ栄養学の権威。スポーツ栄養学がまだまだ未開拓だったときに

体当たりで道を切り開いてきた先生です

たまたまご縁があったのと、家が近所だったということもあって、

壇上に立っていらっしゃらない顔も見せていただくのですが

本当にエネルギッシュで、楽しく、情熱ある素敵な先生です

さて、今日の講演で驚いたことが2つ

一つは、若い女性アスリートの低栄養問題

最近はスポーツ界でも中学生とかで活躍しちゃっている方々がたくさんいらっしゃいますが、

身体の成長が著しい時期に激しいスポーツをやっていると

必要なエネルギーを食事から補いきれずに低栄養になっちゃう人たちがたくさんいるんです

しかも、病気の人や高齢者と違って、食事ももりもり食べているし、

すごくたくさん運動や練習をこなせているし、筋肉もたっぷりついているので

私のようなスポーツ栄養の素人から見ても全く低栄養とは気づけない

一日3000kcal食べれていても、

必要エネルギー>消費エネルギー(活動と成長に必要な分)

の状態が続けば低栄養になる・・・っていうのは言葉ではわかるんですが

実感としてはわきにくいと思います

そんなアスリートの隠れ低栄養の結果がどこに現れるかというと

貧血と無月経と骨粗鬆症(女性アスリートの3主徴)

その状態が続くと、将来子供が産めない身体になってしまったり、

疲労骨折を繰り返したりして、選手生命を絶たれる人も多いとのこと。

貧血については鉄剤では回復せずに、充分なカロリー摂取と充分な睡眠で

改善されるというから驚きです

栄養士ではあるけれど一日3000kcalも摂取していて

肉もしっかり食べているアスリートが貧血で栄養相談に来たら、

今までの私だったら鉄のサプリを勧めてしまったかもしれませんが、

摂取エネルギーの不足があるかどうかをアセスメントして

不足分を補う具体的なアドバイスや、練習を減らすアドバイスをするということが

重要だということがわかりました!

 

同様に、一般の女性でも、隠れ低栄養が原因で不妊になっている人がたくさんいるということも

教えていただき、目の覚めるような思いでした

BMIが低すぎると妊娠しにくいのは知っていましたが、

普通のBMIでもそういったことが起こり、

ちゃんと栄養量を増やすことができた人がどんどん妊娠していく状況を目の当たりにした

志保子先生のお話はとても説得力のあるものでした

 

また、もう一つの特記すべきポイントは、

女性に限らず成長期のアスリートは

身体がぐっと成長するタイミングを一人一人見極めて

そのタイミングで摂取する栄養量をぐっと増やせなければ

本来到達するはずだった身長や骨格筋まで成長できずに

発達が止まってしまうということ

 

私は成人の栄養指導しかしたことがなかったので、

「今しかない!」というタイミングの感覚があまりなかったような気がしますが、

子供、青少年の栄養摂取はタイミングがとっても重要。

必要な時に摂れなかったからあとでリカバリーしたいと思ってもできないものなのですね

管理栄養士としても、母としても

タイミングを逃さない栄養指導、栄養管理を心掛けなければ!と強く思いました

 

ちなみに、ぐっと成長するタイミングって、個人個人違いますが

そのタイミングを知って栄養指導することがとっても大切です

そのタイミングを知ることができるツールが開発されたということなので

私の備忘録としてリンクを載せておきます

もし興味がありましたらアクセスして活用してくださいませ。

女子用

http://www.juntendo.ac.jp/athletes/surari/surari_download.html

男子用

http://www.nbnh.jp/download/

 

 

 


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