かちこのアメリカ奮闘記その後

アメリカの大学院での登録栄養士(RD)を取得、帰国して日本の病院でNST奮闘中

巻き寿司のクラス

2011年11月22日 | ボランティア

先日、大学で太巻きのクラスをやりました

大学の教授にボランティアでやってくれないかと頼まれ、二つ返事でOKしました。

生徒は食品に全く関係ない学部の学生たち

大学の寮に住んでいる生徒たちで、交流のため、月に何度かいろいろな交流会をしているのだそうです。

特に今回来たグループは「Foodies」といって、食べもの好きの集まりなんです。

どうやらいろいろなお店に食べに行ったりもしている模様

さてさて、引き受けたはいいものの、大学の調理室使ったこともないし、どんな器具があるかもわからず、

ちょっぴり不安もありましたがずいぶん前に頼まれていたのでいろいろ教授と相談する時間もあり

無事当日を迎えることができました。

日本では考えられないけど調理室に炊飯器がなかったんだけど、寿司にご飯がどれだけ大切かというメールを送ったら

あっという間に10合のSHARP炊飯ジャーを購入してくれました

ほっ

当日来るのは25人と聞いていたので太巻きを一人一本巻く材料の仕込みと、

太巻きと一緒に食べてもらう料理を少しだけ用意。

太巻きの具は

厚焼き玉子、かんぴょう、でんぶ、ほうれん草、うなぎのかば焼き、かにかま

付け合せの料理は 

インゲンのごまあえ、お豆腐とわかめの味噌汁

いやいや、材料の下ごしらえに3時間くらいかかりました

なんといっても量が多かったので。

みんなが集まってから、寿司について、具についての簡単な説明をし

巻き方を説明してから各自巻いてもらいました。

厚焼き玉子をつくるのもみんなに見てもらったら、

ぐるぐる焼きながら巻いていくのが面白いらしくみんな関心して見てました。

私も小さいころおばあちゃんの厚焼き玉子を焼くのをいつも飽きずに見ていてあこがれたものです。

さてさて、太巻きはみなさんのご想像とおり、いろんな巻き方になりましたが、

みんな大満足で全員一人一本平らげてとっても嬉しそうでした

帰りにお土産にまきすを一人一つ持って帰ってもらったら「また作る」っていってたので

つくってくれるといいな・・・。

ちなみにクラスの様子を写真に収めようと思ってたのにやっぱり一人で教えたのでいっぱいいっぱいになって

写真を撮るどころではなかったので

最後に集合写真だけとりました

そしてこの太巻きの写真は、クラスの一週間前に

念のために家で練習に作ってみたときのものです。

ちなみに、みんなに具の説明を英語でするため、かんぴょうが何からできているか調べたんですが、

ウリ科の植物を薄く細長く削って、乾燥させてから煮たものなんだそうです。

全然知らなかった!

当日はかんぴょうが大人気だったので、これもまた新たな発見ですね。

でんぶもみんなおもしろがってたな・・・


ダイエットの患者さん

2011年11月14日 | RD(アメリカの管理栄養士)

実は今ウェイトマネージメントの授業をとっています(要は体重を落とす、ダイエット。)

その中で、自分で患者さんを探してきて

栄養指導をしないといけないというプロジェクトがあります。

前にも書いたけど、アメリカは学生の頃から実践実践!

就職したら初日からいっちょ前に仕事するのが求められるので

学生のうちにじゃんじゃん経験を積まされます。

私の患者さんはBMI26くらいの男性

肥満の知り合いがいなかったので、「誰か職場に体重を落としたいひといない?」って聞いたら

「僕がやりたい!」と言ってくれたのでお願いすることになりました。

一回目のセッションはプロジェクトの説明(私がまだ学生だということや、情報をクラスで共有させてもらうことなど)を中心に、

そして患者さんの生い立ちや今の仕事、生活、食生活、食事の好み、運動、家族の病歴(もちろん本人の病歴も)や

サプリメント、薬摂取の有無など一時間かけてたっぷり聞きました

そして第二回目のセッションまでに5日間の食事(食べ物飲み物すべて)の記録をとるよようお願いします。

さらに食べる前後の気分、食べた時間や、食べるのにかけた時間、場所などすべてを記録してもらいます。

そしてその記録をもらってから、じっくりそれを読み込み、

栄養価計算ソフトでどのくらいのカロリー、栄養素をとっているか計算し、

二回目のセッションに備えるわけです。

栄養指導は二回目のセッションから。

二回目のセッションで本人の食事を一緒に見て、栄養価をどのくらいとっているか、

どのくらいのカロリーを多くとりすぎているか、

食事のタイミングや量のバランスの問題点などをわかりやすく説明していきます。

そして、本人と相談しながら今後どうやって体重を落としていくか、プランを練ります。

ここで大切なのは本人ができそうな、そして本人がやりたくなるプランをつくること。

それはこれまでの生い立ちや、考え方、生活のリズムなどにあっていなければ長続きしないからです。

この患者さんの場合はフルタイムで働きながら、夜は大学院生をし、さらにインターンシップも週一回やっているという

超ハードスケジュールなので、相談した結果以下の目標をたてることにしました。

 

・カロリーの摂取を125kcal減らし、運動で125kcal消費する。(これで合計250kcalのマイナス)

・食事を地中海式の食事(Mediterranean Diet)にする

 

一つ目の目標については125kcalへらすにはどうしたらいいか、減らす食品のリストをつくり、わたしました。

(例:ビールを飲まない。間食にしていたピザをやめてヨーグルトとフレッシュフルーツにするなど)

運動についても125kcal燃焼させるための運動のリストをわたしました。

具体的には今後一週間

・昼休みに職場の近所を20分間ウォーキング(ちょっと息が切れるくらい早いスピード)

・間食を甘いお菓子やジャンクフードからビタミンやミネラル、食物繊維の多い、満腹感のある健康的な間食にする

ということになりました。

また、食事の記録から、昼ごはんから夜ご飯までの時間がとても長くあいてしまうことや

それが原因で夕食でドカ食いをして一日の半分以上のカロリーを夕食で摂取していることなどがわかったため

・昼ごはんの時間を一時間遅らせる

・昼ごはんと夕食の間の間食をやや満腹感のあるものにする

・夕食を軽めに食べるようにこころがける(油少な目)

・朝ごはんをしっかり食べる

といった感じです。

また、万歩計をもっているということだったので久々に万歩計をつけてみることになりました。

 

あれから2週間。

昨日メールが届き、プランは順調とのこと。

万歩計も最初の週は4000歩が平均だったので次の週は一日6000歩を目標にしたところ、

結果として9000歩歩いていてびっくりしたこと、

毎日お酒を飲んでいたのに、休肝日を一日つくることにしたこと、

食事もばっちり計画どおりということで、

この新しい生活様式を楽しんでいるということでした

 

すごい!やる気満々の患者さん。

このやる気がずっと続いてくれるといいな。

また2週間後に進捗を聞くのが楽しみです。

ちなみに患者さんに刺激されて私も昨日から万歩計復活!

昨日はお休みだったので友達とセントラルパークに紅葉を見に行きました。

とってもきれいな紅葉で楽しんだうえ、17000歩以上歩いて大満足!

ウォーキングの秋ですね・・・


アメリカの牛肉事情

2011年11月10日 | グルメ

今、食品業界、栄養士界でとっても話題な本を読んでいます

What to EAT という本です。(何を食べたらいいのか?)

著者はマリオンネッスルという人でDietary Guidelines of Americans などの作成にも携わる公衆栄養の分野の大御所。

私の通うNYUの教授です http://aboutusa.japan.usembassy.gov/j/jusaj-theme-youasked8.html

この本は今のアメリカの食品業界の動向や、流通している食品が政治や政策、

大企業の思惑にどう影響を受けているのかをとてもわかりやすく描いています

アメリカのオーガニック食品事情や、動物に与えられる抗生物質や成長ホルモンなどについてもとりあげていて、

とっても興味深いです

私は以前に食品会社でレトルト製品の開発の仕事をしていたので

食品業界側の立場をよくわかっていますが、

今は仕事をやめて、消費者を守る栄養士の立場。

本を読みながらいろいろな立場で食の問題を考えさせられます

 

さて、本当はこの本が日本語に訳されていればいいんですが、どうやら訳されていないようなので

たまーにちょっとおもしろいなと思った内容をのっけていこうと思います

今日はアメリカの牛肉事情について。

牛は穀物で育てられた牛(grain fed)と草で育てられた牛(grass fed)がいるのをご存知ですか?

日本で働いていた時はどちらも肉として試食し、grain fed は柔らかくておいしいなという印象をもっていたんですが・・・

アメリカに来たらちょっと高級な食品を扱うお店はよくgrass fedの牛肉というのを大きく表示しています。

アメリカ人はgrass fed の牛肉が好きなのかな~?と軽くおもっていたんですが、

どうやら牛は本来、草を食べて育つべき動物で、穀物を食べるようにはできていないらしいんです。

本来草を消化するようにできている消化器官なので

穀物のように脂質やタンパク質の多い食事を消化しようとすると体内のいろいろな菌(善玉菌や悪玉菌)のバランスが崩れて

牛は病気をしがちになるようです。

牛が病気をすると直すためには抗生物質が必要。

そんなわけで穀物を食べて育った牛のほうが抗生物質の投与が多いのです。

さらに穀物を食べて育った牛は、その飼料の構成のために脂が多い。

これが、私が昔に味を比べたときにgrain fed の牛を食べておいしいと思った理由か~!と今納得。

でもgrass fedのお肉は人間の健康を考えたときにはgrain fedのお肉よりも

・オメガ3系の脂肪酸が多い

・脂が少ない

・ビタミンE含有量が多い

さらに抗生物質の使用量が少ない可能性が高いので優れているということ。

なるほど~!!!

 

ちなみにアメリカではオーガニックの食品が非常に増えてきていますが、

肉などでオーガニックの証明シールが貼られている製品はまだまだ少ないです。

参考までにオーガニックと証明シールが貼られているお肉は以下の条件に合致している必要があります。

・抗生物質・成長ホルモン不使用

・オーガニックの飼料を与えられている(オーガニックの牧草は化学肥料、農薬不使用、GMO不使用)

・自由に屋外に出たりでき、日にあたることができ、運動のできる環境に育ち、行動の制限が非常に少ない

・ストレスを低減させる生活環境

・牧場は定期的に所定の機関(州または国)の審査が入る

 

この上記の条件を満たすのが至難の業。特にオーガニックの資料の確保が難しく、

実際にオーガニック認定を受けたお肉を市場で探すのはなかなか難しいです。

それでも最近は増えてきてるかな。

ちなみにオーガニックがあまりに大変なので実はその下の、なんとも曖昧なランクが存在します。

それが「Natural」(ナチュラル)

これまでうそっぽいっていうか、なんなんだって疑問に思っていたんですが

この本を読んで何なのかわかりました。

「Natural」と表示するには以下の条件を満たすことが必要です。

・お肉に人口香料、人口着色料や保存料が使われていないこと

・加工が必要最小限にしか行われていないこと(ミンチにする加工はOKだが、加熱はしてはいけないなど)

・会社ごとに何が「Natural」なのか表示に説明する。

(たとえば抗生物質不使用、成長ホルモン不使用など)

要は、ナチュラルって表示してもいいけど、何がナチュラルなのかちゃんと自分の会社で決めて、

消費者にわかるようにラベルに説明を載せてねってことらしい。

なんだか不思議な決まりですが、結構これがよくあるんです。

でもこのラベルはあくまで自分の会社の信用において表示しているもので

オーガニック表示のように、第三者のチェックを必要としません。

なのでどこまで本当なのか。

こんな変な「Natural」表示ができたのはアメリカ独特の政治的理由が存在します。

日本もかなりそうだと思いますが、アメリカの食品業界は政治とのつながりが強く、

大きな力を持つ食品産業は政策などにいろいろと口を出してきました。

食品のオーガニック表示が始まった時も、肉業界が、

「オーガニック」という表示を認めたら、オーガニック表示のないお肉が

健康ではない、劣る肉だという印象を消費者に与えてしまうという理由から

猛反発をしたんです。

その結果、アメリカのUSDA(US Department of Agriculture)が肉にオーガニック表示を認めないことにしたんです。

ところが、その後の流れで野菜や果物などでオーガニックの需要が増え、

USDAは肉にもオーガニック表示を認めざるを得なくなり、

現在は肉のオーガニック表示は認められています。

ではなぜ今でもオーガニックのお肉があまり普及していないかっていうと、

スーパーの担当者や肉販売店はこれまで「Natural」という表示で一般の肉との差別化をしてきたため

「今更オーガニック表示にしなくても十分Natural 表示で差別化できてるよ~

しかもオーガニック表示にするとさらに縛りが厳しくなって、実際これをクリアできるお肉なんてほとんどない」

っていうことらしいんです。

最初からオーガニック表示を認めておけば今頃野菜や果物のように

お肉もオーガニックが手に入る時代になっていたかもしれないのに

お金と政治のちからってすごいんですね・・・。

でもこれから数年でどれだけお肉のオーガニックが増えるか、ちょっと気になります。

なんといってもアメリカのオーガニックブームは本当に目を見張るものがあるんです。

日本も近い将来アメリカのような流れになるのかな・・・