かちこのアメリカ奮闘記その後

アメリカの大学院での登録栄養士(RD)を取得、帰国して日本の病院でNST奮闘中

アメリカの牛肉事情

2011年11月10日 | グルメ

今、食品業界、栄養士界でとっても話題な本を読んでいます

What to EAT という本です。(何を食べたらいいのか?)

著者はマリオンネッスルという人でDietary Guidelines of Americans などの作成にも携わる公衆栄養の分野の大御所。

私の通うNYUの教授です http://aboutusa.japan.usembassy.gov/j/jusaj-theme-youasked8.html

この本は今のアメリカの食品業界の動向や、流通している食品が政治や政策、

大企業の思惑にどう影響を受けているのかをとてもわかりやすく描いています

アメリカのオーガニック食品事情や、動物に与えられる抗生物質や成長ホルモンなどについてもとりあげていて、

とっても興味深いです

私は以前に食品会社でレトルト製品の開発の仕事をしていたので

食品業界側の立場をよくわかっていますが、

今は仕事をやめて、消費者を守る栄養士の立場。

本を読みながらいろいろな立場で食の問題を考えさせられます

 

さて、本当はこの本が日本語に訳されていればいいんですが、どうやら訳されていないようなので

たまーにちょっとおもしろいなと思った内容をのっけていこうと思います

今日はアメリカの牛肉事情について。

牛は穀物で育てられた牛(grain fed)と草で育てられた牛(grass fed)がいるのをご存知ですか?

日本で働いていた時はどちらも肉として試食し、grain fed は柔らかくておいしいなという印象をもっていたんですが・・・

アメリカに来たらちょっと高級な食品を扱うお店はよくgrass fedの牛肉というのを大きく表示しています。

アメリカ人はgrass fed の牛肉が好きなのかな~?と軽くおもっていたんですが、

どうやら牛は本来、草を食べて育つべき動物で、穀物を食べるようにはできていないらしいんです。

本来草を消化するようにできている消化器官なので

穀物のように脂質やタンパク質の多い食事を消化しようとすると体内のいろいろな菌(善玉菌や悪玉菌)のバランスが崩れて

牛は病気をしがちになるようです。

牛が病気をすると直すためには抗生物質が必要。

そんなわけで穀物を食べて育った牛のほうが抗生物質の投与が多いのです。

さらに穀物を食べて育った牛は、その飼料の構成のために脂が多い。

これが、私が昔に味を比べたときにgrain fed の牛を食べておいしいと思った理由か~!と今納得。

でもgrass fedのお肉は人間の健康を考えたときにはgrain fedのお肉よりも

・オメガ3系の脂肪酸が多い

・脂が少ない

・ビタミンE含有量が多い

さらに抗生物質の使用量が少ない可能性が高いので優れているということ。

なるほど~!!!

 

ちなみにアメリカではオーガニックの食品が非常に増えてきていますが、

肉などでオーガニックの証明シールが貼られている製品はまだまだ少ないです。

参考までにオーガニックと証明シールが貼られているお肉は以下の条件に合致している必要があります。

・抗生物質・成長ホルモン不使用

・オーガニックの飼料を与えられている(オーガニックの牧草は化学肥料、農薬不使用、GMO不使用)

・自由に屋外に出たりでき、日にあたることができ、運動のできる環境に育ち、行動の制限が非常に少ない

・ストレスを低減させる生活環境

・牧場は定期的に所定の機関(州または国)の審査が入る

 

この上記の条件を満たすのが至難の業。特にオーガニックの資料の確保が難しく、

実際にオーガニック認定を受けたお肉を市場で探すのはなかなか難しいです。

それでも最近は増えてきてるかな。

ちなみにオーガニックがあまりに大変なので実はその下の、なんとも曖昧なランクが存在します。

それが「Natural」(ナチュラル)

これまでうそっぽいっていうか、なんなんだって疑問に思っていたんですが

この本を読んで何なのかわかりました。

「Natural」と表示するには以下の条件を満たすことが必要です。

・お肉に人口香料、人口着色料や保存料が使われていないこと

・加工が必要最小限にしか行われていないこと(ミンチにする加工はOKだが、加熱はしてはいけないなど)

・会社ごとに何が「Natural」なのか表示に説明する。

(たとえば抗生物質不使用、成長ホルモン不使用など)

要は、ナチュラルって表示してもいいけど、何がナチュラルなのかちゃんと自分の会社で決めて、

消費者にわかるようにラベルに説明を載せてねってことらしい。

なんだか不思議な決まりですが、結構これがよくあるんです。

でもこのラベルはあくまで自分の会社の信用において表示しているもので

オーガニック表示のように、第三者のチェックを必要としません。

なのでどこまで本当なのか。

こんな変な「Natural」表示ができたのはアメリカ独特の政治的理由が存在します。

日本もかなりそうだと思いますが、アメリカの食品業界は政治とのつながりが強く、

大きな力を持つ食品産業は政策などにいろいろと口を出してきました。

食品のオーガニック表示が始まった時も、肉業界が、

「オーガニック」という表示を認めたら、オーガニック表示のないお肉が

健康ではない、劣る肉だという印象を消費者に与えてしまうという理由から

猛反発をしたんです。

その結果、アメリカのUSDA(US Department of Agriculture)が肉にオーガニック表示を認めないことにしたんです。

ところが、その後の流れで野菜や果物などでオーガニックの需要が増え、

USDAは肉にもオーガニック表示を認めざるを得なくなり、

現在は肉のオーガニック表示は認められています。

ではなぜ今でもオーガニックのお肉があまり普及していないかっていうと、

スーパーの担当者や肉販売店はこれまで「Natural」という表示で一般の肉との差別化をしてきたため

「今更オーガニック表示にしなくても十分Natural 表示で差別化できてるよ~

しかもオーガニック表示にするとさらに縛りが厳しくなって、実際これをクリアできるお肉なんてほとんどない」

っていうことらしいんです。

最初からオーガニック表示を認めておけば今頃野菜や果物のように

お肉もオーガニックが手に入る時代になっていたかもしれないのに

お金と政治のちからってすごいんですね・・・。

でもこれから数年でどれだけお肉のオーガニックが増えるか、ちょっと気になります。

なんといってもアメリカのオーガニックブームは本当に目を見張るものがあるんです。

日本も近い将来アメリカのような流れになるのかな・・・


Ceci Cela (ケーキ屋さん)

2011年02月05日 | グルメ

今日は一週間がんばったご褒美にずっと行きたかったケーキ屋さんに行ってきました

Ceci Cela というフランス菓子のお店。

私はナポレオン(ラズベリー入り)とパリブレスト(プラリネクリーム)を注文。

ナポレオンはクリームはそれほど甘くなく、どっしりしているものの重すぎずにいい感じでした。

ただ、私はカスタードクリームは柔らかいのが好みなんですが、やや想像したよりも固かったのが

少し残念だったかな・・・・

でもカスタードが固めだったためか、普段ナポレオンを食べるときはフォークでケーキを切るのがとっても難しいんですが、

今日はきれいに切れて、落ち着いて食べることができました。

これは狙ってこうなってるのか、ただ単なる結果なのか・・・。興味深いとこです。

パリブレストはプラリネ好きとしては採点が自然と甘くなってしまうんですが、

とってもおいしかったです!

シュー生地はパリッとしていて、上のアーモンドは香ばしく、

中のプラリネクリームも甘さとナッツの香りも絶妙。

生クリームも少し入っているので

重すぎず、もう一つ食べられそう・・・。

お店はどこかなつかしい感じのする、木をふんだんに使った内装になっていて、

席はテーブル席が6つくらいしかないこぢんまりした感じ。

モダンな感じも好きだけど、ここはなんだかおばあちゃんの家に遊びに来たような

安心して長居したくなっちゃう雰囲気が漂っています

ひさびさにカフェラテとケーキでのんびりできました

 


カフェ サバスキー (Cafe Sabarsky)

2011年01月09日 | グルメ

昨日はずっとずっと行きたかったカフェサバスキーという

ドイツのカフェに行ってきました

コーヒーとザッハトルテの有名なお店です

かの有名なメトロポリタンミュージアムのすぐ近くにある、

ノイエギャラリー(これも美術館)に併設されているカフェです

建物は美術館らしく、どっしりした構えのヨーロッパ調。

なんだか銀座にあるアンリシャルパンティエを思わせる外装です

中も木目調の落ち着いた雰囲気

ドイツ名のメニューがまたおしゃれ。

迷いに迷った挙句注文したのはクリムトトルテ(ヘーゼルナッツクリームの入ったザッハトルテ)

ヘーゼルナッツのクリームがチョコレートに負けておらずバランスのよいケーキです

チョコレートの層とヘーゼルナッツクリームの層、スポンジの層がとてもきれいにでていて、

でも、ケーキとしての一体感は抜群!

口どけといい、風味の上品さといい、

風味の豊かさ、重みといい、

文句のつけどころのないケーキです

さらにさりげなくあしらった金箔の映えること!

おいしいカプチーノとともにいただき、大満足でした!

他のザッハトルテバリエーションもあるので

ぜひ次に行ったときにさらに開拓してみようと思います。

夜はワインを飲みながらクリムトトルテという大人っぽい組み合わせも

なかなかいいかもしれません


NYケーキ食べ歩き: Cafe Farai

2011年01月05日 | グルメ

学校が冬休みということもあって

以前に友人からもらったケーキ&カフェの本を参考にケーキを食べに行ってきました

もともと甘いものには目のない私

ずっとずっと行きたかった Cafe Farai (http://falainyc.com/caffe/) です

イタリアン系のレストランでケーキもおいしいと評判です

今回は友人のスポーツ系のカメラマンと、その友人のアート系カメラマンと一緒

店に入ると予想どおりの洗練されたケーキがショーケースに並んでいます

友人二人は私のケーキ好きを知っているので

「3人分好きに選んでいいよ~」だって!

そんな大役・・・と思いつつどれにしようか悩むことしばし。

お店の人にゆっくり選んでいいよ

と優しく言われる始末。

結局選んだのは 

ラズベリー系のソースののったパンナコッタ

Black Moon (濃厚なチョコレートでできたドーム型のケーキ)

クレープケーキ

の3種

一緒に頼んだカプチーノはミルクの泡のきめの細かさと

泡でつくったリンゴの絵に感激

ケーキは運ばれてきたらナイフをお借りして3つに切り分け、

全員が3種類食べられるようにしました

まずパンナコッタ

濃厚な、そしてちょっとだけもっちりする食感も絶妙で

さらに上にのっているベリー系のソースがとってもフレッシュ&フルーティ

クレープケーキはクレープ一枚一枚が手で丁寧に焼いたという感じがとってもしっかり出ている感じ。

間に入っているホイップクリームの量も甘さも絶妙です

一番上の層は少しだけカラメライズされていて香ばしいのと

ちょっとだけパリッとした食感に大感激

Black moon は想像どおりの濃厚なカカオ感。

とてもなめらかで口どけよく、大満足です

 

3つのケーキを堪能していると

すっとテーブルにケーキののったお皿が出てきました。

すでに3つのケーキは出てきた後だったので

「これ、頼んでませんけど???」と言ったら

ケーキを出してくれたオーナー風のイタリア人の男性が

「私もケーキがとても好きなので、ぜひケーキが好きなあなたたちに食べてもらいたくて」って。

結局そのあとさらにもう一つケーキをサービスで出してくださって

私たちは驚くやらうれしいやら・・・

話を聞くと、そのオーナー風の方は日本の銀座にあった

エノテカピンキオーリというイタリアンレストランで働いていたことがあるとか。

私がお店の名前を知っていて、ずっと行きたいと思ってたって話をすると

とっても嬉しそうでした

帰ってきてからエノテカピンキオーリを検索したら22年12月30日をもって

銀座店は閉店とのこと。

ああ、残念

でもNYの Cafe Farai はケーキの品質もお店の雰囲気やサービスもとてもとても

よかったのでちょくちょく通いたいなと思います・

どうやらランチやディナーもすごくおいしいとか。

これは行かないわけにはいかないってところです

またまた行ったら報告載せますね~。

 


2009年最後のディナー

2009年12月31日 | グルメ
2009年12月31日がやってきました。
一年いろいろありました。
大学院に受かるかどうか不安な日々。
フルブライトの奨学金を受けると決まってからは、
なんとかどこかの大学の入学許可をもらわないと、と
必死で出願書類を準備する日々。
と同時にいつ会社にどうやって辞める意思を伝えるか、
同僚に理解してもらえるかどうか。
考えても考えても答えのないことばかり。

それでも結局いろんな人に理解されて、渡米できたのは
本当に幸せなことです。
さらに2009年は人生初の病院生活もあり、
患者さんとしての立場で生の現場を体験することもできました。
考えてみれば本当に波乱万丈な一年間でした。

一年の最後のディナーは仲の良いタイ人の子と
タイ料理で締めくくることに。
タイ人の子にタイレストランを紹介したのは私です。
なんだか変な話ですが・・・。

ここのタイレストランはいつも超満席。しかも従業員がほとんどタイ人というのも
うれしいところ。トムヤムクン、サテー&もち米のごはん、グリーンカレー、マンゴーとココナツともち米のデザート、タイ風アイスコーヒー。
本当に超私好みの味付け!さらにいい素材を使っているのが食べててわかるのがうれしい。お互い旅行に行っててあんまりしゃべってなかったので
心行くまで料理を楽しみ、つれづれにおしゃべりをするのもまた
楽しかったです。

さて、2010年はどんな年になるのかな?
不安もありつつ、たくさんの人が楽しい一年を過ごせますように