かちこのアメリカ奮闘記その後

アメリカの大学院での登録栄養士(RD)を取得、帰国して日本の病院でNST奮闘中

最新! 2015-2020アメリカの食事指針 ③

2016年01月28日 | 気になる論文Update

追記です

今回の食事指針ではジュースなどの”added sugar (加えられた糖)”の摂取を制限すべきとの

記載が多くされています

アメリカでは清涼飲料水やジュースなどからの摂取カロリーが多く、

肥満やカロリーの過剰摂取と加糖飲料の関連性が指摘されてきました

今回のガイドライン改定では

「加糖飲料を飲む習慣をやめよう」という食習慣の改善に加え

「added sugar (加えられ糖)」からの摂取カロリーを

一日の摂取カロリーの10%未満にしましょう

としています

例えば2000kcal/日摂取の人であれば

糖からのカロリーは200kcal、糖にして50g

どのぐらいの量かわかりますか?

ペットボトル一本分(500mL)のカルピスウォーターを飲むと糖にして約55g、

これだけで基準を超えることになります

ちなみにジョージアの缶コーヒーは160mL(自動販売機の1缶)で糖約11g

日本料理では煮物などにも砂糖をよく使うことを考慮すれば

加糖飲料を飲めば量が少なくてもあっという間に

基準を超えてしまうのがわかると思います

一方で、飲料以外のおやつからくるadded sugar の量は

スコーン1個 砂糖6g程度(成分表に糖質と書かれているのは砂糖の他に小麦粉などからくる糖質も含まれます)

大福100g、中のあんこが40gの場合は砂糖からくる糖は20g程度

飲料よりも固形のおやつの方が食べた実感がしてadded sugar は多すぎないということになります

ただし、糖質であれば栄養成分表示に記載がありますが、

加えられた糖となると、

どのくらいの砂糖がくわえられているかは表示されていないためいちいち考え出すと

きりがない感じですね

やはりこのガイドラインは主に飲料からのカロリーの過剰摂取摂を抑えることを念頭において作られたっていうことでしょうか

added sugar からのカロリーを、自分の摂取カロリーの10%以下に減らそうとして

目標の数字を明記しているのはとてもいいことですが、

この数字を一般の市民がどこまで活用することができるかと考えたら

疑問の余地ありですね

 


最新! 2015-2020アメリカの食事指針 ②

2016年01月18日 | 気になる論文Update

アメリカの食事指針2015-2020の特徴のもう一つは

「宗教や人種、食習慣によらず、全ての人がより健康的な食生活に近づけましょう」

としているということ。

「アメリカ人の理想的な食事に含まれる食品群とその目安量」を挙げて、

すべての人がこのとおりにしたら健康になれます的な

書き方を見直したといえるでしょう。

そして丁寧に何度も、個人の人種宗教食習慣を尊重し、

そのうちのいくつか食習慣の調整をすることで、

今より健康的になりましょう!と説明しています

また、食事の基本パターンについては

これまで一つしか挙げられていなかったところ、

2015-2020の食事指針では

地中海食の食事パターン

ベジタリアンの食事パターン

の2種類を基本パターンに加えています

これらを指針に取り入れることで、

より多くの選択肢を提示したことになります

さまざまなバックグラウンドの人たちを国民としてもつアメリカならではの食事指針ですね

 

今後はこの食生活指針をもとに

各州の法律や学校給食などがどう変化していくか興味深く

見守っていこうと思います


最新! 2015-2020アメリカの食事指針 ①

2016年01月13日 | 気になる論文Update

今月、アメリカの新しい食事指針が発表されました

http://health.gov/dietaryguidelines/2015/guidelines/

5年ごとの更新なのですが、その新しいバージョン(2015-2020)です

これは日本でいうところの食生活指針ってとこかな?

主にRD(登録栄養士)や、政治家が活用するためのもので、一般向けのものではありませんが、

この指針をもとに州の法律ができたり、学校の給食が変わったりします。

例えば甘いジュースを極力飲まないようにしましょうという指針を受けて、

これまで学校にジュースの自動販売機があったところを撤去して

水や甘くない飲み物しか売らないようにする、など

アメリカは教育レベルがまちまちだし、経済状況もかなり格差があるので

栄養の改善は政治的な部分で大きな取り組みがたくさん行われています

その政策の根拠となるのがこの食事指針なのです。

さて、これまでの食事指針とどう違うのか、内容をざっと見てみましょう

 

まず、これまでの栄養素、食品という考え方から、食習慣に重点を置く考え方に変わったということ

毎食毎食をばっちり栄養バランスをとって食べるということは難しく、現実的ではない。

そんなことに気を配るより

・砂糖の入ったジュースを飲まない

・無脂肪、低脂肪の乳製品に替える、

・一日一皿野菜を増やす

・運動習慣をつける

こういったことで健康を手に入れることができる

 

今まではサプリメントでビタミンミネラルを補給していれば

あとはマフィンとピザとハンバーガーとポテトを食べて生活しても問題ないでしょ~

的な人も多かったと思いますが、

食習慣にスポットを当ててよりわかりやすくなったのではないでしょうか

 

もうひとつ変わったところ、それは

コレステロール摂取量の上限300㎎が廃止されたこと

食事からのコレステロール摂取と血中コレステロールの上昇との関連があまりないのではないかと

言われてきたことが影響しているのだと思います

一方で、コレステロールが高い食品は大抵が飽和脂肪酸も多いため

コレステロールを多く含む食品は控えめにしましょうとの添え書きがありました

日本でもコレステロールに関する考え方が変わってきましたね

今後の指針にも注目です

長くなってきたので今日はこの辺で

続きは②へどうぞ


早期パーキンソン病では体重減少が病気の進行と相関がある

2016年01月13日 | 気になる論文Update

今後は私のアンテナにひっかかった最新の論文や記事をこちらで紹介していこうと思います

今日気になる論文は「早期パーキンソン病では体重減少が病気の進行と相関がある」というもの

http://archneur.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2480880

論文(原文)は下記リンクから

http://mailer.eatright.org/t/39232/1433790/51125/37/

JAMA(Journal of American Medical Association)に載ったもので

体重減少のある早期パーキンソン病患者は病気の進行が早く、

体重が維持されている、または増加した患者は進行が遅かったというもの

病気の進行と体重の関係機序は明らかになっていませんが、

やはり栄養状態はどの病気の進行にも影響を与えるのだな~と思いました

今後ちょくちょく気になる栄養に関するトピックと論文を載せていきたいと思います

 


2016年もよろしくお願いします。

2016年01月13日 | 日本の病院での奮闘記

あけましておめでとうございます

本年もよろしくお願いします

いつの間にかブログから遠ざかって2015年は一度も更新しないまま過ぎ去ってしまいました・・・

すごい反省しています

2014年~15年は

・2014年の日本循環器病学会

http://www2.convention.co.jp/jcs2014/japan/info/index.html

でパネリストとして発表

・2015年日本臨床栄養学会で口頭発表(出産のため、当日は代理の方に発表していただきました)

・「心に残る経腸栄養の患者さんたち」に記事を書き

http://www.fuji-medical.jp/book/155-8.html

・看護師の栄養の教科書http://www.amazon.co.jp/%E6%A0%84%E9%A4%8A%E9%A3%9F%E4%BA%8B%E7%99%82%E6%B3%95-%E7%B3%BB%E7%B5%B1%E7%9C%8B%E8%AD%B7%E5%AD%A6%E8%AC%9B%E5%BA%A7-%E4%B8%AD%E6%9D%91-%E4%B8%81%E6%AC%A1/dp/4260020064

 の呼吸器疾患の章を執筆

 いたしました。 

2016年は育児のために職場からは遠ざかっていますが

ブログ更新には意欲的に取り組みますので

どうぞよろしくお願いします