高齢の誤嚥性肺炎の患者さんで
肺炎は治ったけれど
寝たきり
食事も食べられなくなったために自宅に帰れない・・・
そんな患者さんを最近よく見かけませんか?
先日都内で勉強会があり
とても興味深い内容だったので書き留めておくことにしました
食べ物を飲み込む力は年齢を重ねるごとに徐々に低下してきますが
飲み込みの機能の低下は加齢の他に
低栄養と全身の筋力低下(サルコペニア)と
関係があることがわかってきました
特に入院患者ではベット上安静によって筋力が落ち
食事を食べさせてもらえないことと
不十分な点滴からの栄養投与によって
栄養状態が悪くなりがちです
飲み込むという一連の動作は
舌や、喉の筋肉の複雑な連携によって成り立っていますが
食事を食べないことによりそれらの筋力も急速に低下します
ある研究では、
入院前は食事を摂れていたが入院時に禁食にされていた誤嚥性肺炎患者
6万6000人超のうち
41.0%が30日後に経口摂取(3食)を摂れなかった、
ということがわかりました
講演者の前田先生(玉名地域保健医療センターNSTチェアマン)は
食べる能力を保ちたい患者であれば
酸素マスクを使っている患者以外は原則禁食にしていない
と話していました
少量のゼリーでも、飲料でも
経口摂取を継続することが
嚥下機能の低下を防ぐと実感しているというのです
また、少量ではあっても経口摂取を続けることで
不足する点滴からの栄養量を補充することができます
近年では
・「舌の厚みは上腕筋量と相関している」
・「舌の力は骨格筋量と相関している」
・「咀嚼力はサルコペニアと関連している」
などといわれています
早期に全身を動かし
栄養を充足させることが重要です
安易なベット上安静と禁食は避ける!
このことが
高齢の誤嚥性肺炎患者を(食事で)自宅に帰すことにつながるのです
とはいっても食べさせることにリスクがあったり
意識レベルが安定しない患者さんが多いのも事実
禁食になってしまったら
他にできることはないのでしょうか?
禁食中でもできること
・口腔内の清掃(誤嚥からの肺炎を防ぐ)
・口腔内の刺激や、口や舌を動かす体操
・しゃべる、歌う
・車いすに乗せる、ベットアップすることにより、首の筋力を保つ
頭の重さが3kgの場合、首へかかる力は
①伏臥:0kg ②30度ベットアップ:1.5kg ③60度ベットアップ:2.6kg
・さらなる低栄養を防ぐ
口から食べて、自宅で最期を迎える
昔は当たり前だったことが
近年はとても難しくなってきていると感じます
今後ますます増えると考えられる高齢者の誤嚥性肺炎
そしてその原因となるサルコペニア
これに立ち向かうためには
医師、看護師、リハビリ(嚥下、全身)、薬剤師、栄養士
他のコメディカル
全ての職種による協力と連携が求められているのではないでしょうか
栄養士だけではできることはほんの少し
いろいろな職種の人と協力して
患者さんに寄り添う医療ができたらいいなと思います
初めまして!かおりと申します。
現在透析クリニックにて管理栄養士をしております。管理栄養士としては2年目で、まだまだわからないことがたくさんあり、自身の無力さに悶々としてる毎日です。
1年前にこのブログを見つけてから、自分の無力さに落ち込んだ時、かちこさんのアメリカでの奮闘記や、管理栄養士としての患者さんに対する姿勢をさまざま拝読し、勇気とやる気を沸かせていただいております。
うちの施設の透析患者さんは、多くが低栄養かつサルコペニアであり、栄養指導をしても、独居で十分に身体を動かせなかったり、生活保護でお金がない、施設での食事に不満だから食べないなどといった理由によって十分な栄養摂取をしていただくことが難しい状況です。
また、合併症によって入院した患者さんに関しても、ほとんど食事を摂ることもできなくなって、衰弱しきった状態であっても、痛みの伴う透析は継続しなければいけないという現状を目の当たりにしている私は、とても気の毒な気持ちになってしまいます(それはDrも悩んでいるようです、、)。
私もアメリカで行われているように、患者さんのこれからをどうしていくかをご本人とご家族を含めてしっかり話し合い、選択できたらいいのになと思います。
長文になり、大変申し訳ありません。
本題はここからなのですが、、、笑
私もかちこさんのようにアメリカで栄養学を学び直したいと思い、アメリカの大学院を探しておりますが、探し方が悪いのか、なかなかここという大学院がわかりません。
海外の大学の検索サイトを見てもnurtritionなどといった栄養学部らしき学部が見当たらず、栄養学の中で何に強い大学院なのかなど、思うように探せず悩んでいます。かちこさんの通ってらっしゃったNYU、カルフォルニア大学デービス校、エモリー大学などは素晴らしいとわかるのですが、どの分野で強いのがあまりわかっていません。私は栄養指導(カウンセリング)や臨床(栄養診断?)に強くなりたいのですが、そういったものはサイトでは見つけるのは難しいでしょうか??
お忙しいところ、このような長文を大変申し訳ありません。
かちこさんのようにプロ意識が高く、かつ楽しんで仕事がこなせる管理栄養士になりたいです。