かちこのアメリカ奮闘記その後

アメリカの大学院での登録栄養士(RD)を取得、帰国して日本の病院でNST奮闘中

日本臨床栄養協会の新しい研修会を企画しました

2022年05月24日 | 臨床栄養最近のトピックス

久々の投稿になります

お久しぶりです

どうしているかと思ってました?

ちゃんと生きてました

子育てして

仕事して

遊んで

仕事して

勉強してました

臨床研究の勉強をしながら昨年あたりからぽつぽつ学会発表もしています

臨床研究って面白い気がするけど、なかなか子育てもしながらすきま時間で

勉強するのがむずかしいなって思ってました

臨床研究について相談できる場もほしいし、

意見交換できる場もほしいし、

わからないことをわかりやすく誰かに教えてほしい!

そんなことを思っていたら

気付いてみたら自分の受けたい研修を自分で企画することになってしまいました

ここ1年同じ志を持つ仲間の先生方と一緒に作り上げた研修会が

なんと、2022年5月27日(金)よりスタートします!

毎回1時間、リアルタイムを見逃したらオンデマンドで繰り返し見ることができるという太っ腹設定

もちろん自分がなかなか時間をとれなくて苦労した経験から、

どんなに忙しい人も、受講できるスタイルにこだわりました

 

私も講師としても受講生としても参加しますのでお楽しみに♡

この臨床研究塾を通じて、自分自身も成長し、そして何より刺激を受けられる仲間を

作れたらいいなと思っています

興味ある方は下記ビラのQRコードより卒後研修プログラムホームページに

いけますので見てみてください

今年はなかなかドキドキワクワクの一年になりそうだ!


隠れ低栄養の女性の特徴

2017年07月01日 | 臨床栄養最近のトピックス

最近、若い女性の低栄養や、それによる不妊などが

ようやく問題として取り上げられるようになってきましたが

スラリと細身の女性が多い中、

健康的な細身なのか、

問題となる低栄養が潜んでいるのか

見分けるのって難しい気がします

私の尊敬する鈴木志保子先生はそういった女性を数多く見て、

栄養指導をされてきた方です

講演の中で、隠れ低栄養の女性の特徴について触れられていたので

私の備忘録として挙げておきたいと思います

 

隠れ低栄養の女性の特徴

①生理不順や無月経

②コレステロール値が高い

(無月経になることにより、ホルモンの原料となるコレステロールが使われなくなり、

コレステロールが上がる。)

③感情の起伏が激しい(カウンセリングで泣いたり、うれしいことがあったらびっくりするほど喜んだりする)

特に②については①についての質問をするとっかかりにもなるし、

頭に留めておきたいポイントだなと思いました

ともすると、コレステロールを下げるためにたんぱく質摂取を減らしなさい

と指導しちゃいそうですが、本末転倒!!!

低栄養のために無月経→コレステロール高値 となっている場合は

摂取栄養量を増やすことや、生理が起こるような治療をすることが最も大切

正反対の指導をしないようにしなければ!と強く思います

 

知らないって恐ろしいこと。

新しい知識を得るたびに、

知らなかったときの自分が恐ろしくなります

それが、

自分が勉強を続ける原動力かな。

まだまだ知りたいことが山積み

一歩一歩前に進めたらいいなと思います

 


アスリートの低栄養や低栄養による不妊

2017年07月01日 | 臨床栄養最近のトピックス

久々の更新です

今日は私の大好きな、そして尊敬すべき鈴木志保子先生の講演を聞きに行ってきました

志保子先生といえば、スポーツ栄養学の権威。スポーツ栄養学がまだまだ未開拓だったときに

体当たりで道を切り開いてきた先生です

たまたまご縁があったのと、家が近所だったということもあって、

壇上に立っていらっしゃらない顔も見せていただくのですが

本当にエネルギッシュで、楽しく、情熱ある素敵な先生です

さて、今日の講演で驚いたことが2つ

一つは、若い女性アスリートの低栄養問題

最近はスポーツ界でも中学生とかで活躍しちゃっている方々がたくさんいらっしゃいますが、

身体の成長が著しい時期に激しいスポーツをやっていると

必要なエネルギーを食事から補いきれずに低栄養になっちゃう人たちがたくさんいるんです

しかも、病気の人や高齢者と違って、食事ももりもり食べているし、

すごくたくさん運動や練習をこなせているし、筋肉もたっぷりついているので

私のようなスポーツ栄養の素人から見ても全く低栄養とは気づけない

一日3000kcal食べれていても、

必要エネルギー>消費エネルギー(活動と成長に必要な分)

の状態が続けば低栄養になる・・・っていうのは言葉ではわかるんですが

実感としてはわきにくいと思います

そんなアスリートの隠れ低栄養の結果がどこに現れるかというと

貧血と無月経と骨粗鬆症(女性アスリートの3主徴)

その状態が続くと、将来子供が産めない身体になってしまったり、

疲労骨折を繰り返したりして、選手生命を絶たれる人も多いとのこと。

貧血については鉄剤では回復せずに、充分なカロリー摂取と充分な睡眠で

改善されるというから驚きです

栄養士ではあるけれど一日3000kcalも摂取していて

肉もしっかり食べているアスリートが貧血で栄養相談に来たら、

今までの私だったら鉄のサプリを勧めてしまったかもしれませんが、

摂取エネルギーの不足があるかどうかをアセスメントして

不足分を補う具体的なアドバイスや、練習を減らすアドバイスをするということが

重要だということがわかりました!

 

同様に、一般の女性でも、隠れ低栄養が原因で不妊になっている人がたくさんいるということも

教えていただき、目の覚めるような思いでした

BMIが低すぎると妊娠しにくいのは知っていましたが、

普通のBMIでもそういったことが起こり、

ちゃんと栄養量を増やすことができた人がどんどん妊娠していく状況を目の当たりにした

志保子先生のお話はとても説得力のあるものでした

 

また、もう一つの特記すべきポイントは、

女性に限らず成長期のアスリートは

身体がぐっと成長するタイミングを一人一人見極めて

そのタイミングで摂取する栄養量をぐっと増やせなければ

本来到達するはずだった身長や骨格筋まで成長できずに

発達が止まってしまうということ

 

私は成人の栄養指導しかしたことがなかったので、

「今しかない!」というタイミングの感覚があまりなかったような気がしますが、

子供、青少年の栄養摂取はタイミングがとっても重要。

必要な時に摂れなかったからあとでリカバリーしたいと思ってもできないものなのですね

管理栄養士としても、母としても

タイミングを逃さない栄養指導、栄養管理を心掛けなければ!と強く思いました

 

ちなみに、ぐっと成長するタイミングって、個人個人違いますが

そのタイミングを知って栄養指導することがとっても大切です

そのタイミングを知ることができるツールが開発されたということなので

私の備忘録としてリンクを載せておきます

もし興味がありましたらアクセスして活用してくださいませ。

女子用

http://www.juntendo.ac.jp/athletes/surari/surari_download.html

男子用

http://www.nbnh.jp/download/

 

 

 


高齢者の肺炎を治療しないという選択肢(成人肺炎診療ガイドライン2017)

2017年05月01日 | 臨床栄養最近のトピックス

以前より検討されていた「成人肺炎診療ガイドライン2017」がついに発表されました

これまでの市中肺炎、医療関連肺炎などをひとまとめにし、

治療のアルゴリズムを示しているので

コメディカルにもとてもわかりやすくなっているのですが、

ここで取り上げたいのは、

「終末期や、老衰の患者については個人の意思やQOLを考慮した治療やケアを行う」

とした点です

 

病院にいると毎週のように枯れ木のようにやせて、肺炎と診断された高齢者が入院してきます

お決まりの2週間の抗菌剤投与+禁食(誤嚥したら困るから食事はなしで点滴のみ)

 

薬のお陰で熱も下がり、2週間後には確実に肺炎像は改善されているのですが

1週間以上食事も食べさせてもらえず

入院中はずーっと天井を見ているだけ

ベット上安静でトイレも行くことを許されず(転倒防止など)

認知症はどんどん悪化

今までは伝い歩きでトイレまで行けていたのに

自分では立てなくなり

自分の家じゃないところで

知らない人に囲まれて

何がなんだかわからない状態で

退院するころには寝たきりでごはんも食べれない、会話もできない

生きているけど魂がどこかへ行ってしまったような老人が

それはそれはたくさんいます!

 

まさに「病気を治して人を治さず。」

 

そんな状況は医者の責任ですか?

でも医者は家族が病院に肺炎の老人を連れてきたら治療せざるを得ない

 

そんな状況に切り込んだのが今回のガイドライン

 

誤嚥性肺炎を繰り返したり、

老衰のような状態の患者に無理やり抗菌薬を使ったりということをせず、

本人や家族が何を望んでいるか。

今の現状が本人の人生のスパンの中でどの位置にあるのか、

一人の人生を考えたうえでベストな治療/緩和などの選択をせよ

と背中を押してくれるガイドラインなのかなと思います

 

肺炎になっても住み慣れた家で、少ししか食べられなくても

好きなものを食べて、自然な形で命を終える、

そんなことができるようになるといいなと思います

 

ただ、私の祖母の経験を振り返って考えると、

90歳を超えて誤嚥性肺炎になったあの時は、

脳血管疾患後の嚥下障害もかなり重く、

認知症もひどく、

今のように(今も認知症はあるけど嚥下障害は3年ほどの訓練の結果改善し、今は普通食)

回復するとは誰も思っていませんでした

今回のガイドラインに当てはめると「老衰」として

諦められていた可能性も大きいと思うと複雑な心境です

 

人の命、人生の集大成、関わる私たちの責任は重いですね

 

ガイドラインの速報は以下のリンクから

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201704/551082.html

 


亜鉛欠乏治療薬が承認。

2017年05月01日 | 臨床栄養最近のトピックス

久々の記事です

引っ越しなどが一段落し、職探しが本格的にスタートしました

が、、、

少し自分の勉強のための時間をとって

ゆっくりするのもありか?

と思い始めた今日この頃

最近気になった臨床栄養関係のトピックスを自分の備忘録として

アップしていきたいと思います

マニアックすぎるので、専門分野外の方は読み流してください

 

最近「低亜鉛血症」に対する治療薬が承認されました

正確にいうと、もともとウィルソン病という、銅が蓄積する病気の治療薬の適応範囲が

低亜鉛血症にも認められたのです

低亜鉛血症は特に高齢者で多くみられ、褥瘡の治癒が遅れる原因になったり、

味覚障害(ひいては食欲不振)の原因になったりするのですが

実際は見過ごされることが多く、

医師もあまり積極的に血液の亜鉛濃度をチェックしたりしてくれませんでした

しかも血中亜鉛濃度が低くてもプロマックDという胃薬をなんだかんだと病名をつけて

処方してもらうしか方法がなく、

「低亜鉛血症って軽く扱われてるな~」という印象でした

が、ここへきて正面切って「治療」とうたえる薬が登場したわけです

ちなみにプロマックDは17㎎×2回内服で34㎎/日

新しく低亜鉛血症を治療する薬として承認されたのはノベルジン25㎎/錠で、

25~100㎎/日の投与が可能になりました

ちなみに亜鉛は牡蠣の他、牛肉やレバーなどに多く含まれており、

食事(動物性のものを含む)を普通に食べれている人では

あまり欠乏のリスクはありません

特定の薬を服用していたり、ベジタリアンだったり

食事の摂取量が減って低栄養になっていたりする人では疑ってみるのもいいかもしれません

皮膚炎や潰瘍、味覚異常、血液検査ではアルカリフォスファターゼ(ALP)が低値になっているのも

疑うポイントですね

特に肝硬変の患者などでは亜鉛の吸収が低下している上、

亜鉛が欠乏していると血中のアンモニア濃度が上がったり

肝細胞の線維化が進んだりする原因にもなるので要注意です!

 

最後まで読んでいただいてありがとうございました

https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0428507754/?utm_source=mail&utm_medium=recent170501&utm_campaign=mailmag&mi=0012800000AtrlLAAR&fl=1