統計ブログはじめました!

各専門分野の統計技術、方法、テクニックなどを気ままに分かり易く例題をもとに解説します。

医学と統計(76)

2011-12-30 11:56:14 | 日記・エッセイ・コラム

情報統計研究所へのアクセスはここから.

ANOVAのためのWebオンラインソフト(その2)
ANOVA君 とj s-STAR について.

フリーの web オンラインソフトを使えば、前回・前前回の通り目的とするANOVAを簡単に求めることが出来ました.今回は、
情報統計研究所の「やさしい医学統計手法」の例題で計算してみましょう.
下記のURLにアクセスして下さい.
http://www3.ocn.ne.jp/~stat/medical/med_021.htm

そして、
「 5.3.4. 対応のあるとき(2元配置分散分析)」の例題 23(表 36)のデータを確認して下さい.

データは脱コレステロール剤の効果を時系列で見ており、下記(表 1)の様になっています.
表1 薬剤投与と血中コレステロール値
Originaldata

やさしい医学統計手法」(例題 23) では、単に 2元配置分散分析の計算方法を示しているに過ぎませんが、ここでは、チョトばかりデータを編集して脱コレステロール剤の使用前の血中コレステロール値を 220 mg% 以下(Low)とそれより高値(High)の2群に分けて ANOVA を求めることにしましょう(表2).
表2 2群に分けた時系列データ
Edit_data

表2の時系列データは図1 の様な「平均値±標準偏差」のグラフ(Plotmean)で表すことが出来ます.
図1 血中コレステロール値(平均値)の時系列変化
Plotmeans   

図1を見ると、2群ともに血中コレステロール値が低下している様に見受けられ、交互作用はないようです.それでは、このデータを用いてANOVAで確かめて見ましょう.
まずは、
ANOVA君での分析ですが、前回の様に既に「R」の環境でANOVA君を使える状態にしておいて下さい.そして、
MSエクセルに表3 の様なスタック形式のデータを入力してます.
表3 スタックフォームのデータ(一部省略)
Stackdata

MSエクセル上で表3 の項目名を含めたすべてを選択しコピーしてから、次のコマンドを実行して下さい.

dat<- read.delim ( "clipboard", header=T )
anovakun ( dat , ABs , 2 , 5 )

ANOVA君の出力結果は次の表4 の通りです.
表4 ANOVA君の出力結果
Resultanovakun

「js-STAR」の場合は次の表5(データ入力)と表6(計算結果)の様になります.
表5 「js-STAR」のデータの入力ホーム(一部省略)
Result_of_jsstar 

表6 「js-STAR」の計算結果
Result_of_jsstar_2

「ANOVA君」と「js-STAR」の結果を見ると、
FactorA ( Low と High ) が p>0.05 で僅かに有意とは言えず。また、FactorB ( 血中コレステロール値 )も有意ではありません。
交互作用は見られない様です。
図1を見ると時系列の FactorB に有意差がありそうに見えるのですが・・・・.

次回に続く!

***
(筆者イメージ)
Nigaoe_3
日記・エッセイ風の忘備帳的に統計手法をに投稿していますが、いつの間にか本稿へのアクセス数が16500 を超えました.平成24年も出来る限り続けて行きたいと思っていますのでよろしくお願いします. 


医学と統計(75)

2011-12-20 10:43:35 | 日記・エッセイ・コラム

情報統計研究所へのアクセスはここから.

ANOVAのためのWebオンラインソフト(その1)

商用統計ソフトが普及している今日にあって、前号、前前号のような平方和タイプの計算がどれほど役立つか分りませんが、少なくとも、有名と言うだけでデータを良く吟味せずに統計ソフトを盲信するのもどうかと思いますが・・・、とは言うものの、難解な分析理論よりも取り敢えず結果を出して、それから結果について考えるなかで、少なくとも結果の解釈や判断に必要な最低限の理論的背景を学習することも良しと考えます.
もしも、
ANOVA だけのために高価な統計ソフトの購入に迷っているなら、情報統計研究所に相談するとか依頼するとか、あるいは、「web online soft」 を利用する手もあります.
今回は、
ANOVA のための free soft 環境を作者に敬意をもって、以下にご紹介したいと思います.

ANOVA君(「R」の環境が必要)
http://riseki.php.xdomain.jp/index.php?ANOVA%E5%90%9B

js-STAR 2012(インターネットJava環境で使用)
http://www.kisnet.or.jp/nappa/software/star/

それでは、
前前回の例題のデータをもう一度見てみましょう。
表1 疾患別被験者の運動前後のQRS-T angle 
Sqrtdata

上記のデータを「MS Excel」 に次の表2のように記載しておいて下さい.
表2 スタック形式のデータフレーム
Stackform

この例題では敢えて例数が不揃いのデータとしています。
このデータを使って「ANOVA君」と「js-STAR 2012」で ANOVA 分析をおこなってみましょう。
各ソフトの使用方法などは上記の URL で確認しておいて下さい。

「ANOVA君」の使用方法:
 ・「R」Cosole を起動し、使用方法に従い「R コードのソース読み込み」を行っておくこと.
 ・MS Excel上の表2 を項目名を含め選択し クリップボードにコピーする(単にコピー).
 ・そして、次のコマンドを実行する.

 dat<- read.delim("clipboard", header=T)
 anovakun(dat, "ABs", 3, 2)

出力結果は次の通りです(一部のみ掲載).
表3 「ANOVA君」による結果(平方和Type Ⅲ)
Summaryanovakun 

「R」では次のコマンドで分散分析表が出力されます.
 summary ( aov ( QRS.T ~ f.A * f.B , data=dat )

「ANOVA君」では分散分析表(平方和TypeⅢ)だけでなく、基本統計量や多重比較なども出力されます.詳しくは上記のURLで確認して下さい.
次に、
「js-STAR 2012」でのANOVA ですが、これも上記の URL で使用方法などを確認して下さい.表2 のデータで ANOVA を求めてみましょう.なお、
本例題の実行は「STAR ダウンロード」から「Star 5.5.7j」 をダウンロードして使用しました。
 ・ 「Star 5.5.7j」の「 index.htm 」を起動する.
 ・ 分散分析の「ABs(2要因参加者間)」をクリック.
 ・ 使用方法にしたがい Data Type にデータを入力する.
 ・ データは以下の表4の通り記載する.
表4 入力データの形式
Datajsstar_3

   ・ 「計算」をクリックする.
     ・ 表5 の結果が出力される.

表5 出力結果
Summaryjsstar

「js-STAR」では調和平均を使用しているので「ANOVA君」の結果と少し異なります.

次回も、
「ANOVA君」と「js-STAR」の使用経験(予定)です.

 

 


医学と統計(74)

2011-12-09 11:17:04 | 日記・エッセイ・コラム

情報統計研究所へのアクセスはここから.

ANOVA Type-Ⅲ について.
前号では平方和 Type-Ⅰと Type-Ⅱについて述べました.
今回は、
平方和 Type-Ⅲの計算方法について、前号を同じデータ数の不揃いな例題での計算方法です。その前に、
Type-Ⅱ とType-Ⅲ の違いは前者が交互作用を無視しているのに対して、後者は交互作用で調整していることです。
つまり、
データ数が不揃いで交互作用で調整しないのが Type-Ⅱであり、交互作用で調整するのが Type-Ⅲです。したがって、
ANOVA の結果は違ってきますが、幸運にも、ANOVA はデータ数がキッチリ同じで交互作用がなければ Type-Ⅰでも Type-Ⅱ でも Type-Ⅲ でも結果は同じです。そもそも、
ANOVA はデータ数が同じであることを前提としていたのですが、その不都合を解決するために考えられたのが平方和 Type です。それでは、
Type-Ⅲの計算方法ですが、例題のデータを表1 のようなダミー変数にします。

表1 Type-Ⅲの計算に使用するダミーデータ
Type3_calc

表1 のブルーの変数部分( QRS.T、X1~X2X3 )のダミー変数について、QRS.T を従属変数として回帰分析をおこないます.回帰分析の手順ですが、
 ・全独立変数( X1~X2X3 )を用いた回帰分析をおこなう.
 ・全変数から( X1とX2 )を取り除いた回帰分析をおこなう.
 ・同じく、全変数から( X3 )を取り除いた回帰分析をおこなう.
 ・最後に、全変数から( X1X3、X2X3 )を取り除いた回帰分析をおこなう.

この様にして求めた回帰分析の結果を表2 のようにまとめ Sa、Sb、Sab などを求めます.

表2 Type-Ⅲの計算結果
Type3_sq

実際は、
商用統計ソフト SPSS などを使えば標準で Type-Ⅲ が出力されますが、Type-Ⅱ であってもかまわないと言われていますので統計環境ソフト「R」を使えばType-ⅡのANOVAを簡単に求めることが出来るでしょう. 
例えば、
統計環境ソフト「R」では「ANOVA君」を、また、Webオンラインで「ANOVAScript」を Free で利用することが出来ます.

次回は、
「ANOVA君」と「ANOVAScript」を作者に敬意を持ってご紹介したいと思います.